初夜
食事を終えた俺達は、部屋へと戻ってきた。
とりあえず最後までキッチリ食べてみたが、体に不調とかは現れていないので大丈夫だろう。
メイは、これからのことを想像したのか、また少し緊張しているみたいだ。
俺はメイをギュッと抱きしめることにした。
メイは少し震えていたので、落ち着くまでそのまま抱きしめて頭を撫でることにした。
少しすると落ち着いたのか震えも止まり、緊張も和らいだみたいだ。
「メイ…」
俺が声を掛けると、メイはピクリと反応した。
「お願い、先に体を洗わせて。」
「ああ。」
俺は用意してあったタライにお湯を張り、メイへと声を掛けた。
「用意出来たぞ。」
「ありがとう、恥かしいから出来れば向こう向いてくれると助かるんだけど。」
「出来ないなら見てても良いのか?」
俺が冗談でそんなことを言うと、
「馬鹿…」
「ごめんごめん、これで良いか?」
俺は壁の方へ向いた。
後ろの方で、布の擦れる音がする…
するする…ぱさっ。
「んっ…っと。」
パチッ…ぱさっ。
シュル…ぱさっ。
何か音だけ聞いていると想像力が働きまくるな。
ちゃぷ…
「ふぅ~気持ちいい。」
「湯加減はどうだ?」
「うん、丁度良いよ~」
「そか、久々だろうし、ゆっくりすると良い。」
「シュウが居るからゆっくりってのは難しいかな?
あっ、こっち向いたら駄目だからね!」
「へいへい。」
先に注意されてしまった。
こうなったら俺の能力を開発するしかないな。
開け! 全てを見通す第三の目!!
・・・・
まあ、無理だよな。うん、知ってた。
だけど、ふと頭の中に『中二病』という言葉が浮かんだんだが、どういう意味なんだろうか?
そんなことを考えている内にメイの湯あみは済んだみたいだ。
「終わったよ~」
言われたので振り向くと、毛布に包まっているメイが居た。チッ!
「今舌打ちしなかった?」
「めっそうも御座いません。」
だが、メイはジト目だった。
「そ、それじゃ、俺も綺麗にするとしますか。」
タライのお湯を張り直し、服をすぽぽぽ~んと抜いた。
「きゃあ! いきなり脱ぐな~!!」
「え? 俺は別にメイにだったら見られても平気だけど?」
「心の準備ってものが有るって言うの!」
メイが向こうを向いてブツブツ言っているのが聞えた。
あれが男性の…とか言っていたんだが、見たこと無かったのか?
俺の方は、女性の裸と言うか、その手の経験の方はどうだったんだろう?
ふと、DVDとかエロゲ、同人誌と言う言葉が浮かんだのだが、これはどういった意味なんだろうか?
湯あみを済ませ、片付けを終わらせて、メイの脇へと移動した。
メイは恥かしそうに毛布に包まっている。
俺がメイの毛布へ手を伸ばしたところで、メイが懇願してきた。
「お願い、明かりを消して…」
「え?」
「え?」
「明かりも何も、この部屋、もともと明かり何てものは点けてないぞ?」
「あっ…」
そうなのだ、俺達は種族の特性で暗い所でも明るく物が見えたのだ。
部屋の明かりの必要性が全く無いため、最初っから真っ暗だったのだ。
メイもそのことに気が付き、気まずそうにしている。
「あ、あの、あのね、どうしたら良いかな?」
「目を瞑るとか?」
「嫌よ! そんなことをしたらシュウの顔が見れないじゃない! あっ…」
思わず言ってしまった言葉に対し、真っ赤になって恥ずかしがっていた。
それを見た俺は。
「ごめん、メイがあまりにも可愛くて我慢出来なくなった。」
「うぅ~! 初めてなんだから優しくしてよね。」
「もちろん。」
どうやら明るいことに対しては諦めたみたいだ。
こうして俺達の結婚初夜は過ぎていくのだった…




