また昇格した
冒険者ギルドへやってきた。
両開きの扉を開けて中へと入る。
ザワッ!
「お、おい、あれって伝説の…」
「ああ、間違いない、伝説のアレだ。」
「話には聞いていたが、マジヤベーな。」
「こりゃあ、またスケルトンソルジャーの剣が値下がりするな。」
「ってこたぁ~俺もあの剣を手に入れられる機会が出来たってことか?」
「買いだな!」
「ああ、買いだな!」
何だ? 何かギルド内が騒がしいな。
「ね、ねぇ。」
「何だ。」
「周りの話しているのって、私達のことだよね?」
「伝説かどうかは知らないけど、たぶん?」
「あんた、何をしでかしたのよ!」
「俺は無実だ! ここには登録と、剣を売る時くらいしか来てないぞ?」
「…その剣が問題だったんじゃない?」
「マジで?」
「マジで。」
「う~ん、まあいいか。」
「軽いわね~」
それが俺なんだし仕方ないじゃ無いか。
と言う訳で窓口へと並ぶことにした。
もちろん知り合いがロゼッタさんしか居ないので、そこに並ぶことにした。
俺の順番になったのだけど、ロゼッタさんの態度が何か変である。
「あ、あの、それ全部、う、売るんでしょうか?」
「そうだけど?」
すると、ロゼッタさんはプルプルと震え出した。
「せ、先輩~!! た、助けて下さい~!!」
「何故!?」
「そりゃあ、こんなに沢山持ってきたら困るって物でしょうが…」
メイが溜息と同時に、呆れた目で俺を見ていた。
「部下が大変失礼をしました。私、エリーが対応させて頂きます。」
「あ、ども。」
「まずは、買取品を確認させて下さい。」
俺は背負子からスケルトンソルジャーの剣を降ろした。
ガラガラガラガラ…
何となくだが、エリーさんの顔が引きつっている気がする…
1本、1本、状態を確認しながら数えている。
暫し待つこと。
「えっと、全部で352本ですね、状態も良いので全部買い取らせて頂きますが、宜しいでしょうか?」
「問題ありません。」
「では、お二人のギルドカードの提示をお願いします。」
「「はい。」」
俺とメイが自分のギルドカードを取り出して渡した。
「お預かりします。」
エリーさんがカードを機械に通して操作している。
「えっと、シュウ様は、11年ほど活動をされていなかったみたいですが、何をなされていたのでしょうか?」
「え? この前来たばかっりなのに!? 変だなぁ…」
「でも、カードの記録では11年前となっております。」
「シュウは時間にルーズだからね、多分それで合ってるんでしょ?」
「まあいいか、それで何をしていたかですが、パートナーのメイの育成と、その剣を集めていました。」
「ぱ、パートナ…」
メイが両手を頬に当てて、クネクネしている。
「そうですか、確かにこの量ですと、それくらいかかるかもしれませんね。」
何か納得しているみたいだが、これ11年で集めたヤツじゃないぞ? 言わないけどさ。
「今回ので、シュウ様は銀ランクへ昇格しました。メイさんも銅ランクへ昇格です。おめでとうございます。
こちらが、新しいカードとなります。」
「お、上がったんだ。」
「私の場合は当然よね。」
メイはドヤ顔だ。
とりあえず新しいカードを受け取ることにした。
「報酬のお金ですが、白金貨3枚、金貨が52枚となります。ご確認下さい。」
「半分にするか?」
「いいよ、シュウが持ってて。必要な時に渡してくれれば、それでいいよ。」
「そうか、じゃあ預かっておくから何時でも言ってくれ。」
「うん。」
「それでは、私、エリーが対応させて頂きました。
またのご利用をお待ちしております。」
ここでの用事も済んだので、俺達は冒険者ギルドを後にした。
時間の感覚が分からなくなってきた。




