魔導書
本屋は武器屋のすぐそばに有ったので、さっそく入ってみた。
「こんにちは~」
「おや、見ない顔だね、ここは初めてかい?」
「ええ、その通りなのですが、ここって本屋で合ってますか?」
俺が疑問に思うのも仕方が無いと思う。
だって、店の中にはカウンターにおばあさんが座っている以外は何も置いてないからだ。
「そりゃあ、本は高価な物だからね。盗まれない様に管理しておるんじゃよ。」
「なるほど。」
「それで、何の本を探しているんだい?」
「えっと、魔導書が欲しいのですが、有りますか?」
「あるよ。各属性の魔導書なら、それぞれが金貨15枚、4属性の魔導書なら金貨50枚だ。何が欲しい?」
「じゃあ、4属性で。」
俺は白金貨を1枚出して支払った。
「何の迷いも無く白金貨を出すとは…随分と稼いでいるみたいじゃな。」
「まぁな。でも、必要な物にお金をかけないのも駄目じゃね?」
「それが出来ないのも多いんじゃよ、そしてみんな死んでいくのさ…」
そういう物か。
「ほれ、お釣りの金貨50枚と、4属性の魔導書だ。大事に使いな。」
「魔法を覚えるにはどうするんだ?」
「適性の有る人が持てば使えるぞい。勝手に理解するじゃろうて。」
「そういう物?」
「そういう物じゃ。」
俺はおつりと一緒に魔導書を受け取ったのだが、何も起こらなかった。
「どうやら、お前さんは適性が無いみたいじゃの。」
使えないのはどうしようもないな。魔導書はメイに渡した。
メイが魔導書を受け取った瞬間、魔力が放出されたのかぶわっっと風が起きた。
「な、何これ~!! 呪文が頭の中に入ってくる~!!」
「お嬢ちゃんは適性が有ったみたいじゃな。しばらくすると落ち着くじゃろう。」
「もし、火魔法にしか適性が無かった場合は?」
「火魔法だけ覚えるだけじゃな。」
「ふ~ん。」
メイは、脳に強制的に書き込まれているためか、ずっと頭痛を感じているみたいで、苦しそうにしている。
しばらくすると風が収まり、それと同時に、メイの頭痛も収まったみたいだ。
「う~! 痛かったよ~!」
「お疲れさん。」
「どれ、お嬢ちゃんは何の魔法を覚えたのかな?」
おばあさんがメイから魔導書を受け取り、パラパラとめくっている。
魔導書の中は白紙で、何も書いてなかった。
「ほう、4属性全部覚えたみたじゃな。」
どうやら覚えた魔法は消える仕組みになっているみたいだ。
「この白紙の魔導書はどうするんだ?」
「こうなってしまったら単なる紙さ、記念に持ってるか、売っても銅貨1枚じゃな。」
「どうする?」
「折角だし、持ってても良いかな?」
「いいぞ、要らなくなったらその時売れば良いしな。」
「ありがとう。」
「うし、用事も済んだし、行くか。」
「うん。」
俺達は本屋を後にした。
魔導書をインストール中…
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インストール完了!
魔法アプリを実行しますか?(Y/N)




