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メイの登録


買い物も済んだので、冒険者の登録をするために冒険者ギルドへとやってきた。

両開きの扉を開けて中へと入った。


ギィ!


中に居た全員の視線を一気に浴びた。

この感覚も久しぶりだ。

そして、一人の中年の男性が俺の方へとやってきた。


「ここはお前みたいなガキが女を連れて遊びで来るところじゃねーんだ。

 分かったら、帰って乳繰り合ってろ!」


イキナリイチャモンを付けられたんだが、この中年の男性、何処かで見たことが…あっ!


「ジャック先輩! ジャック先輩じゃないですか! お久しぶりです!」


「あぁ? 何を言って…ん!?」


どうやら覚えていてくれたみたいだ。少し震えているみたいなのだが、寒いのかな?


「その節では大変お世話になりました。

 お礼と言うのもアレですが、ジャック先輩さえ良ければ1杯奢らせてもらいたいのですが、宜しいでしょうか?

 もちろん、お仲間の分も奢りますよ!」


「あ、ああ。」


ジャック先輩の了解も得られたので、財布から金貨1枚を取り出してカウンターに置いた。

此処は酒場も兼用しているので、楽で良かった。


「これで、好きなだけ飲み食いして下さい。

 俺は別の用事が有るので、また今度お話しして下さいね。」


「あ、ああ。」


俺はそう言ってジャック先輩から離れた。

相変わらずジャック先輩は震えていたが、お酒でも飲めば体も温まるだろう。


「「「「いやほおおお~~~!!」」」」


酒場で歓声が上がり、宴会が開始されたみたいだ。

俺もジャック先輩にお礼が出来たのでwin-winだ。


「ねぇ、アレ良いの?」


メイが聞いてきたので教えてあげることにした。


「ああ、前にジャック先輩の御蔭で怖い人たちに絡まれることが無くなったからな。

 ホント、ジャック先輩には頭が上がらないよ。」


「へぇ~、あの人がねぇ~」


さてと、当初の予定通りに、メイの冒険者登録をしに行くとしますか。

窓口には知ってる人が居ないなぁ…ヘレンさんも、アイナさんもお休みなのかな?

仕方が無いので、適当に並ぶことにした。


「こんにちは。本日はどの様な御用でしょうか?」


「こんにちは、今日はこの子の冒険者登録にやってきました。」


「はい。冒険者の登録ですね。

 では、こちらの書類の記入をお願いします。

 文字が書けなければ代筆も致しますが必要でしょうか?」


「いえ、大丈夫です。」


俺は書類へと目を向けた。

えっと、名前はメイで、年齢は…


「なぁ、メイの歳っていくつだ?」


「はぁ? 女の子の年齢聞くなんて失礼なんじゃない?

 私は花も羨む女子高生よ! あれ? 女子高生って何だっけ?

 と、とにかく、18歳なの! 分かった?」


「お、おう。」


この話は深く掘り下げると危険なので終わりにする。

年齢は18歳っと、種族は俺と同じ人族でいいか、職業はどうするかな。


「なぁ、職業はどうする?」


「職業って学生とか?」


「多分違うと思う。おそらく剣士とか魔法使いとかプリーストとかそんな感じだと思う。」


「シュウは何の職業なの?」


「俺は一応剣士にしている。」


「剣も使わないのに?」


「うっ…良いんだよ細かいことは! …武術家の方が良かったかな? まあいいや。

 で、職業はどうするんだ?」


「そうねぇ~、何か魔法とかって使ってみたいし、魔法使いが良いな。」


「使いたいで使えたら世話無いと思うんだが…」


一応メイの希望の通りに魔法使いにしておく。

スキルは、魔法使いなんだから、火魔法とかにしておくか。


「出来ました。」


「では、この内容で発行してきますので、少々お待ちください。」


そう言って受付嬢が何やら機械にカードを通して作業をしている。

ガシャコン! とカードが排出された。


「はい、こちらがメイ様のギルドカードとなります。

 説明とかは如何いたしましょうか?」


「あ、俺がするんで結構です。」


俺はカードを受け取り、メイへと渡した。


「わかりました。では、本日は冒険者ギルドに登録して頂きありがとうございます。

 私、ロゼッタが対応致しました。」


「あ、ちょっと良いですか?」


「何でしょうか?」


「ヘレンさんって今日はお休みですか?」


「えっと、もしかしてヘレン先輩のことですか?」


「多分それだと思う。」


「ヘレン先輩なら5年前に寿退社しましたけど。」


「えっ? そうなの?」


「はい。」


「おかしいな…さっき会ったばかりだった記憶なんだけどな。」


「ね、ねぇ。」


メイが俺の袖を引っ張って小声は話しかけてきた。


「なんだよ。」


「シュウの言ってたさっきって、何時の話?」


「え? メイを捕まえる前だけど?」


「私があんたに捕まってから、多分だけど10年は経っているわよ?」


「え? そうなの? 知らなかったよ。」


「…もういいわ。」


何か可哀相な人を見る目でこっちを見ているんだが、失礼なヤツだな。


「あれ? 10年経っているとしたら、俺がメイに会った時ってメイって8歳!?」


「そ、それは…良いじゃない! 細かいことを気にする男って嫌われるわよ?」


「まあいいか。メイはメイだもんな。」


「その通りよ。」


「あ、あの。それでヘレン先輩がどうしたんでしょうか?」


「いえ、居ないのなら結構です。

 ありがとうございました。」


「は、はぁ。」


メイの冒険者登録も済んだので、冒険者ギルドを後にした。


18歳と346ヵ月ですね。良くわかります。

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