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崖下へ落ちた俺は、必死で助かる方法を考えた。

このまま落ちたらおそらく死ぬだろうからだ。


すると、下の方に何やら光る何か出っ張りみたいなものが見えた。

俺はその出っ張りへ手を伸ばした。


ガッ!


やった! 掴んだぞ!!

後は腕に掛かる衝撃を覚悟した。


ガン!


腕に衝撃が走る前に、出っ張りに顎がぶつかった。

そして、その衝撃で首の骨が抜けたみたいだ。

頭蓋骨から離れたことで、体への信号が途絶えたのか、折角掴んだ腕はそのまま落ちていいった。

俺? 俺は出っ張りに頭が引っかかった状態で残されたよ? 動けないよ? どうすんのよこれ…


・・・・


あれから色々と試した結果、見ること、顎をカタカタと震わせること、考えること以外は何も出来ないみたいだ。

時々仲間の骨や、人間らしきものが落ちていくのをただ見ているだけの人生だ。暇だ…

ちなみに俺が引っかかっている出っ張りは、どうやら剣みたいだ。

おそらく、落ちた人間が剣を崖に突き立てて、落下を防いだのだろうが、他の人の助けが無かったために、結局は力尽きて落ちたのではと考察している。

そして、その残っていた剣に俺の頭が引っかかったと。だから何だという話でも有るけどね。


・・・・


どれだけの時間が経ったのだろうか…寝ることが無いから正確な所は分らないが随分と経ったのではなかろうか。

今日は久々にお仲間が落ちて行った。


・・・・


暇つぶしに数を数えてみた。

84億5674万3572まで数えた所で、お仲間と人間が一緒に落ちて行ったのを見て、何処まで数えたのかを忘れてしまった。

ちょっとだけ恨んだ。


・・・・


一人しりとりをやっている。

途中からカメ、メダカ、カメ、メダカがずっと続いている、同じ言葉は禁止するべきだったな。

その時、裸の女が降ってきた。目は逝ってて口から血を流していたので、殺されて捨てられたのだろう。

思わずビックリしてメダカ、カン~!? と言ってしまって俺が負けてしまった。

この恨み末代まで祟ってやる…


・・・・


世界の真理について考えてみた。

あと少しで真理が分かると言う所で人間の男がフハハハハハハハッと笑いながら落ちてきた。何だったんだろう…

あれ? 何だっけ? 何を考えていたのか忘れてしまった。

絶対に許さん!!


・・・・


考えるのも飽きてきたので、歌を歌うことにした。

もちろん作詞作曲は俺だ。

4兆3291億1900万3349曲まで作って歌っていた(正確にはカタカタ言っていた)所で、俺の引っかかっていた剣が崖から抜けてしまった。

おそらく振動により、徐々に緩くなって居たのだろう。

俺は剣と一緒に落ちて行った…


運が良いことに俺は骨だ。軽い。しかも頭蓋骨だけなので上手い具合に頭頂部の骨が空気抵抗でパラシュートみたいになっているため、落下速度が緩やかだ。

この速度なら落ちても平気かもしれない。


落ちること数時間、まだ落ちている最中だ…って深すぎじゃね?

さらに5日後、俺はとうとう地面へと到着することが出来た。


ドカッ!


思いっきり地面に激突したが、落下速度がゆっくりだったため、何とか死なずに(?)済んだ。

まぁ、多少のヒビは入ったかもしれんがな。

そして、その衝撃で今まで作った曲をすべて忘れてしまった。

この事態を起こした奴、ぜって~許さん!! …って俺でした。サーセン。


さて、この崖下なんだが、周りには何も無い…いや、向こうの方に何か白いのが見えるな。

だが動けない、何とか進むことは出来ないだろうか?

とりあえず顎をカタカタと動かしてみる。


コロン…


やった、動いたぞ!! だが、そっちじゃない、あっちだ!

余計に遠のいてしまった。


・・・・


あれからカタカタと試行錯誤をしている。

あっちへコロコロ、こっちへコロコロとしていたが、何とかコツを掴んできたみたいだ。

何とか白い物へと近づくことができたんだが、これは…


この時点で何年引っかかっていたのだろう…

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