相談してみた
と言う訳で冒険者ギルドへとやってきた。
何故だか俺を見る人たちは2度見をするんだが、何か変なのだろうか?
まあいいや、並ぶことにした。
「ヘレンさん、こんにちは。」
「ショウさん…貴方は…いえ、もう良いです…」
「え? どうしたんですか? 俺何かご迷惑お掛けしましたか?」
ヘレンさんが大きなため息を付いた。
「貴方は心配するだけ無駄だと言うことが良く分りました。」
「えっと?」
「2ヵ月ですよ! 2・ヵ・月! この言ってる意味が分かりますか?」
「お日様が登って沈んで、夜が来るのが60回のことですよね?」
「あ~~~!!! もう!!」
ヘレンさんが頭をガシガシを掻いている。
髪の毛がぐちゃぐちゃだ、折角の美人さんなのに勿体ない…
「で、今日は…あぁ、それの売却ですか。」
なんかやさぐれているな…普段から苦労しているんだろうな…受付嬢って大変な仕事だな。
せめて俺くらいは苦労を掛けないで、優しくしてあげるとしよう。
「はい。全部で20本有ります。宜しくお願いしますね。」
せっかく気遣って丁寧に言ってあげたのに睨まれてしまった。解せん…
「はい、金貨20枚。」
ドンとカウンターにお金を置かれた。受付嬢がそれで良いのか?
「はい、確かに。」
「次に来るのは3ヵ月後くらいですかねー?」
「どうでしょう? そんなに掛からな…あ、そうだ! 相談したいことが有ったんだっけ。」
「へぇー、相談ですかー、大変ですねー、どんな相談なんでしょうねー」
物凄い棒読みだ。何か怒らせるようなことした記憶は無いんだが…
「え、えっと、今回みたいに武器を抱えてると、戦闘時にちょっと大変なので、運ぶ方法が無いかな~って思いまして…はい。」
「そうですかー、大変ですねー、頑張ってくださいねー」
あ、これは答えるつもりは無さそうな感じだ。
仕方がない諦めるとするか。
「また来ます…」
俺は冒険者ギルドを後にするのだった。
さて、どうしようか。
「そうだ! 武器のことなんだから武器屋に聞けば良いんじゃね?」
そうと決まれば、俺は武器屋へ向かうことにした。
「すいませ~ん。」
「いらっしゃいませ。」
お、今回は普通に対応してくれた。
「少し相談したいことがありまして…」
「新しい武器か? 良いぞ。」
「いえ、武器を買いに来た訳じゃないんです。」
「おいおい、うちは武器屋だぞ? 武器を買いに来た訳じゃないなら帰った、帰った。」
「そんな~、本当に困っているんですよ。」
「まあいい、聞くだけなら聞いてやる。言ってみろ。」
「ありがとうございます。実はですね、大量の武器を運ぶ方法を教えて欲しいんです。」
「大量の武器? それなら馬車でも使えば良いじゃ無いか。」
「それが運ぶ場所がダンジョンでして。」
「はぁ? ダンジョンだぁ? ダンジョンにそんなに武器を持って行ってどうするんだ?」
「逆です逆! ダンジョンから持ち帰るのに使いたいんですよ。」
「そんなもん、普通に持って帰ってきたら良いじゃ無いか。」
「数本ならそれでも良いのですが、往復するのが面倒なので一気に持って帰りたいんですよ。」
「一気にって何本くらいだ?」
「出来れば100本ほど。」
「100本!? そんなに一杯持てる訳が…もしかして持てるのか?」
「たぶん?」
「マジかよ…」
店主が少し考える素振りをする。
そして、何かを思いついたみたいで、俺に質問してきた。
「そこに有る机を持ち上げられるか?」
机? これか? 俺は机を持ち上げた。
これってバルサ材みないた木で作られた机か? ん? バルサ材って何だ? まいいや、とにかく見た目と違って随分と軽いみたいだ。だけど、店主は口をあんぐりと開けて驚いている。
「持ちあげましたが、これで何が分かるんでしょうか?」
「とりあえず、坊主が冗談を言っている訳じゃないのが分かった。」
「そうですか。」
今一つ、何が分かったのか分からなかったが、納得してくれたのならそれで良いか。
「金は幾ら有る?」
「えっと、金貨20枚なら有ります。」
「よし、待ってろ!」
店主が店の奥へ入って行った。
奥でカンカンと鍛冶をしている音が聞こえてきた。
どうやら何かを作ってくれているみたいだ。
しばらくして店主が戻ってきた。
「出来たぞ。」
店主が持ってきたのは、鉄で出来た背負子だった。
そして、ベルトの部分は何かの皮が使われていた。
「こいつなら、剣の100本や200本でも大丈夫だ。」
「200本!? そりゃ良いですね。」
「普通の布や皮じゃこうは行かねぇ、この特殊な魔物の皮だからこその強度だ。
でな、ここの加工がポイントで…」
何だか店主のうんちくが始まってしまった。
適当に聞き流すことにする。
「…ってな訳で、こいつなら問題無いぞ、どうだ?」
「買わせて頂きます。お幾らですか?」
「金貨20枚。」
これが高いのか安いのか分からないが、必要な物だし、買うことにした。
俺は財布から金貨20枚を取り出し、支払った。
「まいど! いい仕事させて貰ったぜ。」
店主が良い笑顔でそう言った。
野郎の笑顔を見てもなぁ…まあいいか。
「また何か有ったら来ますね。」
俺はそう言って武器屋を後にした。
ヘレンさん…




