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俺と女傑と可憐な華と  作者: Kazuya2009
第1部・4.可憐な華は毒を制す
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可憐な華は毒を制す・8

 アスベル隊長との話はすんなり終わった。

 向こうもこういう状況では合同訓練は出来ないことを申し訳なさそうに伝えてきたのだ。

 俺は気にしないで欲しい事と、ついでにキーマス伯爵を悪く言う人物がいないかを聞いてみた。

 結果はキーマス伯爵の敵は多いという事だ。

 特に反国王派の貴族との折り合いは良くない噂を聞いているという。

 キーマス伯爵が反乱を起こそうとしているという情報を受けた旨を伝えてみると、キーマス伯爵に限ってそれはないはずだと言っていたのだった。

 恐らく、今回リムルに偽の情報を渡し運が良ければそのまま消してもらおうと考えた可能性がある。

 少なくとも利用されたのは確かだ。


 話が終わり、兵舎の前まで戻ると全員整列して待っていた。

「ねえねえ、隊長。これからどうするの」

 パトリシアが俺が来るなり抱き着くと、胸を押し付けながら聞いてくる。

 俺は小さくため息を付いた。

「すまんが、パトリシア。一先ず離れてくれないか?」

 胸を押し付けられるのは悪い気はしないが、今はそういう場合ではない。

 あと何となく皆からの視線が痛いのも離れてもらいたくなる要因だったが。

 つまらなそうに頬を膨らませると俺から離れる。

 まあこの緊張感ある中で、こういう態度を取ってくれるのはありがたいにはありがたいのだが。

「俺が戻っている間に、レイナからの連絡はないよな?」

 セシルに確認をすると首を振って答える。

「ないよ。その前に襲撃が来たんだから」

 俺が王都に引き上げてから早馬で戻ってくるのに約五日。二週間おきの連絡である以上、まだ連絡はないか。

「キーマス伯爵の件は上がってきた報告自体、虚偽だった可能性がかなり高い。リムルがそのことを知ってた以上、間違いないだろう」

「ねえ隊長。まさかとは思うんだけど、こっちは陽動でレイナ達を狙ってるってことはないかな?」

 セシルが神妙な面持ちで言う。

「レイナ達をか……」

 可能性としてはある。

 俺としてはレイナよりこっちをメインにすると考えたわけだが、どうだろうか。

 直接戦っただけに、レイナが簡単にやられるとは思えない。

「レイナだって万能じゃないよ。レイナ一人だけならいいけど、もし他の子が盾にでも取られれば動きにくいし」

「確かにな」

「例えば、隊長が駆け付けたときにわたし達が人質だったらどうした?」

 セシルの質問は最もだった。

「不味いかもな。物理的に目の前にいるなら、アブソリュート・フィールドで隔絶してその間に敵を倒すが」

「隊長……。力に物を言わすやり方が出来るからこその考えだと思うけど、はっきり言って乱暴だよ?」

「あはは。まあ、セシルのいう事を考えると、レイナの事は確かに心配だな」

「合流する?」

「合流はするが、俺と何名かで行こう。素早く動くにはこの人数はまだ多い方だ」

 二個分隊しかないとは言え、それでも二十名近いのだ。

「セシル、パトリシア誰か適任なメンバーを出してもらえるか? 人数も任せるが出来るだけ少数で頼む」

「はーい!」

「分かったよ」

 二人が返事をするとメンバーの選出を考え始める。

 俺はレイナ達との合流に当たって、起こりえる可能性がある事柄を数パターン予想し始めるのだった。

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