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俺と女傑と可憐な華と  作者: Kazuya2009
第1部・4.可憐な華は毒を制す
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可憐な華は毒を制す・5

 正直なところ困った事が発生した。

 レイナ達からの最初の報告で、キーマス伯爵は白である可能性があるという事が分かったのだ。

 報告書の内容を一言で言うなら、キーマス伯爵自身に怪しい動きがないのである。

 コレストバス公国側の人間が多いのも、アルストム王国との和平を考えたときに友好関係にあった方がいいからのようだ。

 コレストバスとの友好関係を重視してきたからこそ交流も盛んなものになり商業における取引も多くなってきているとのことだった。

 アスベル隊長からの話と今回の報告から考えても、こちらは偽の情報を掴まされたことになるのだ。

 俺は引き続き調査続行し、再度情報に間違えがないのか、仕入れているレックルの流れの詳細、キーマス伯爵の部下の動き、出入りする人物等を十分注意して調べるよう指示を出した。最後にキーマス伯爵を疎んでいる人間も同時に調査するようにと入れてある。

 さて、そもそもの事の発端はレックルの葉を使った魔薬からだ。

 レックル自体はキーマス伯爵かファルファンド侯爵のどちらかしか正規の輸入ルートでは国内には入ってこない。あとは闇取引があるかどうか。

 そこから考えられるのは、大きく分けて二つ。

 一つ目はキーマス伯爵を陥れようとしてる人間がいるのではないかという事だ。

 レイナからの報告とアスベル隊長の話を真実とするなら、キーマス伯爵の活躍を疎む人物が必ずいるはずだ。この場合、裏付けを取るために接触を試みるファルファンド侯爵が一番怪しくなってくる。

 一応、ファルファンド侯爵と王国側の利害が一致したからこその動きなのだ。

 ファルファンド侯爵がキーマス伯爵を良く思っていないという事さえ、偽情報なら完全に踊らされたことになる。

 二つ目は一つ目のファルファンド侯爵の情報さえ偽だった場合だ。こうなると国自体に混乱をもたらそうとしている人間がいる事になる。しかもリムルの近くにだ。

 一体、誰がリムルに情報を提供したのかこれが問題である。

 少なくともこのタイミングで王都を手薄にする必要があったか、陽動が目的なのかだろう。

 ともかく何かしら行動を取らざるを得ない事態になった。


 レイナからの報告を受けて数刻。

 俺はセシルに分隊長を全員集めるように通達を出した。

 今の状況の説明と、今後の行動について案を評価してもらおう思ったからだ。

「隊長、みんな集まったよ。それで話というのは?」

 俺の部屋に四人の分隊長が集まった。

 まずレイナからの報告と、クレアと共にアスベル隊長から聞いた話を伝える。

 アスベル隊長からの話は俺が間違って理解していないことをクレアに客観的に話してもらった。

「とりあえず、現時点ではアスベル隊長の話とレイナからの報告はほぼ一致するという事態になった」

「ちょっと待ってよ。キーマス伯爵が怪しいからこうしてファルファンド候爵領まで来たんじゃないの?」

 セシルの言葉に俺は頷いて答えた。

「その通りだ。だからこの事態は正直に言って異常事態と言っていい」

「じゃあ、どうするのですか~」

 リリナがのんびりした口調で、しかし真剣な眼差しで俺に問うてくる。

 もちろんリリナが言いたいことは分かった。

 偽の情報を掴まされて分断された状態になった今、どう行動するべきなのかという事なのだ。

「一つ案がある。まず第四、第五分隊は俺と共に王都に戻る。第六、第七分隊はここに残りレイナからの報告を受けて欲しい」

「隊長、わたし達は報告を受けるだけでいいの?」

 パトリシアの質問に俺は小さく笑って答える。

「まさか。スカーレット隊の分隊長とあろう二人をただの連絡受けにするわけないだろう?」

 もちろん考えはある。

 だからこそ、第四、第五分隊は戻すのだ。

「まずは次の定時連絡でレイナへの伝言を渡してくれ、内容はこれから書くが基本的にセシルたちに出す指示と同様のものになる」

「わかった」

 セシルは頷いて答えた。

 リムルを誰が欺いたか知らないが、この報いは受けてもらわないとならない。

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