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俺と女傑と可憐な華と  作者: Kazuya2009
第1部・2.波乱の始まりと華の園
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波乱の始まりと華の園・7

 彼女達の連携は素晴らしいものだった。

 戦いが始まってすぐに、ナーシャが斬りかかって来たと思えば斬撃はフェイント。後方から矢が襲い掛かってきたのだ。 

 もし開戦直後からガード・フィールドを展開していなかったら一瞬で頭を撃ち抜かれていたことだろう。

 俺がガード・フィールドを展開しているのを確認すると、次に魔法攻撃が途切れることなく来たのだ。

 四元素が乱れるように俺を目掛けて放たれる。

 しかし一見、乱れているように見えて巧妙に計算されていた。

 俺が避ける方向にバースト・ファイアで足元を崩し、バランスを崩すのを狙ってきたかと思えばウォータ・ジャベリンで水たまりを作った。そこへサンダー・レンジで電撃を放つと、ファイア・サークルで範囲攻撃系の炎攻撃を放ってきたのである。

 ファイア・サークルを見届けた彼女達は一気に距離を取った。

 次の瞬間、閃光と爆風を訓練場で発生した。強烈な光は視力を奪い、爆風はガード・フィールドを突き破る。

「電撃による水の分解で発火性気体の発生と、炎による反応爆発を利用した攻撃か……。恐れ入ったな」

「今のが決まりませんか」

 ナーシャが悔しそうに呟く。

 間違ってなければ、今の攻撃は先手必勝の攻撃パターンだったのだろう。

 俺のような自意識過剰な人間を相手にする時には良いかもしれない。こんな方法、普通は考え付かないからだ。

 しかも水に電撃を加えると非常に発火性の高い気体が発生するのは一部の魔導士しか知りえない知識だ。

 名のある魔導士の家柄だけが独占し得る知識を用いた広範囲爆発攻撃。

 さすがスカーレット隊と言わざるを得ない。

「俺は一応、スティングレー家の人間だ。国内では屈指の魔導士の家系だ。君たちがやろうとしたことは容易に分かったよ」

「腐ってもスティングレー家というわけですね」

「まあな」

「しかし、今のでガード・フィールドは破れたはずなのですが」

 ナーシャたちは不思議そうに俺を見る。

 確かにあの爆発の威力はガード・フィールドだけでは防ぎ切れない。だが、それは文字通り「ガード・フィールドだけ」の単発の障壁での話だ。つまり。

「俺は魔法の多重展開が可能だ。それがどういう意味だか分かるか?」

「ガード・フィールドの多重展開ですか」

 そう。いかにガード・フィールドだけで防ぎ切れないとしても何層にも展開しておけばどこかで防げるのだ。アブソルート・フィールドを使わなくとも彼女達の攻撃は防げる。

「さて、もう終わりか?」

 俺の挑発にナーシャたちが再度、仕掛けようと動き始めるのだった。


 結果から言えば、俺の勝利で終わった。

 いかに連携が素晴らしくとも、いかに魔法の理論を知り尽くしていても、俺は彼女達の戦術の悉くを破り捨てた。

 スティングレー家の魔導士になる際に、ある教育を受ける。

 それは混戦教育だ。戦場では混戦になることを前提とした戦い方だ。

 近接、格闘、中長距離からの攻撃、支援魔法による身体強化や魔力強化といった全てを想定した対処法を学ぶのである。しかも実践をもってだ。

 だからある意味彼女達と俺は互角のなのである。となると魔力が尽きなければ俺の方が有利なのだ。

 訓練場で膝をついて呼吸をする彼女達に呼び掛けた。

「一応、聞いておこうと思う。俺に君たちの指揮は取れないと思うものはまだいるか? いるなら手を挙げるなり何かしらの反応を示してほしい」

 俺の呼びかけに誰一人反応を示すものはいなかった。

「なら、俺が隊長としての最低ラインは突破したと思っていいか?」

「あたしは異論ありません」

 ナーシャが代表して言う。

 他の隊員たちも頷いてそれに答えた。

 何とか、彼女達に俺の実力を教えることは出来たようだ。

 レイナが言うとおり、力を示すことで指揮官としての最低限の資格は得られたようであった。

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