09.亀裂が走る大地
----あいつと出会ってすぐなのに、なんで一緒に笑いあえるんだろう。
結希と出会ってから、たとえどんな状況でも楽しかった。
草原、緑、土…
何も変わらないことが一番の幸せだ。
しかし、この退屈さは何なんだろうか。
今日も変わらず歩いている。
ただ、あいつは上機嫌なのか、いつもよりもペースが速い。
普段はボクの方が早いのに…
「見て」
結希が指さした先には、ひび割れている地面があった。
「なに、これ…」
それ以外口に出せなかった。これが絶句というものなんだろうか。
「…」
結希は黙り込んでいたが、表情は笑っていた。
まるで意味が分からない。この世界が崩落するかもしれないというのに…
「なんで笑ってんだよ…正気か!」
狂ってる。そうにしか見えない。
「目を覚ませ!このバカ!」
いくら言ってもボクの言葉は響かないのか、あいつは一向に口を開かない。
「なんで!なんで!なんでだよぉ!!!!!!」
涙をこらえながらボクは叫ぶ。本当に不安だった。
「…落ち着けよ、君はどうして悪い方向に考えるんだ?」
結希はようやく口を開いた。
「ただの亀裂ごときで、そんなに驚く必要はあるか?」
確かにボクは早とちりしていた。そもそも亀裂はなんなのか、分からないのに。
「その亀裂が何なのか、僕は見てみたい。ひょっとすると、何かが見つかるのかもしれないし」
「そっ…それは本当なの!?」
欲望にまみれた思いが、ボクのどん底にあった感情を完全に打ち消した。
「分からない」
結希の言葉を聞かずにボクは、亀裂が続く地面を思い切り走っていた。
本当に久しぶりで申し訳ないです。
ようやくしっくりくる内容が描けたと思うので今回の久々の更新に踏み切りました。
ということで、感想、レビュー、指摘をしてくれるとありがたいです!