07.エルナの本性
----相変わらずエルナに引きずられながら、僕らは草原を歩いている。
しかし、どこまで歩いても景色は変わらない。
次第にエルナのペースも落ちていく。
それと共に、表情も暗くなっていく。
「ボク達・・・どこに向かってるんだろうね」
突然、エルナが涙声で話しかけた。
「知らないよ・・・進もうといったのはエルナだろ」
僕は低い声で言った。
「な、なんで怒るの?喧嘩とか、売ってないけど・・・」
どうやら、声が低かったせいか、エルナには僕が怒ってるように聞こえたらしい。
「怒ってない。お前の勘違いだ」
しかし、そう声をかけた時には遅かった。
「ひどい・・・結希のバカぁ」
「・・・なんでそう言われるんだよ」
「ひっく、だって、だって・・・」
今にも泣きだしそうな声でしゃくりあげている。
「子供じゃないんだから、泣くな」
「ボク・・・子供だよ。ぐすっ」
全てを論破された。
そういえばまだ未成年だから子供扱いになる。
・・・んなわけないだろう。
「世間じゃお前は大人だ。子供で許されるのは小学生までだろうが」
「でも・・・でも・・・ボク、うぇっ、まだ成人・・・してないっ!」
「だから成人以前に、お前は小学校を卒業してるじゃないか」
「えっ・・・ボクまだ何も教えてないのに。でも、いいよ。結希にだけ、教えてあげる。ボクの事」
僕もエルナの事をあまり知らない。素直に聞くことにした・・・
「結希が言った通り、転生前の世界なら、小学校も、中学も卒業してる。今は16歳」
・・・どうやら涙が引っ込んだのか、急に落ち着いた声で話し始めた。
「でも、両親が離婚したの。理由はパパの家庭内暴力。ボクはパパ側に引き取られて、毎日のように殴られてた。」
・・・最悪な父親だ。僕なら女を殴るより、口論で相手を罵るだろう。
「そして、いつしかボクは毎日のように、薬物を多量摂取していた」
・・・僕はそれでも死ねなかったけどな
「すると、急に意識が無くなって・・・無くなって・・・」ポロッ
ダメだ。また泣き始めた・・・
「変態が目の前にいる世界に転生してしまったんだよ!!!!!」
「ってそこかよ!」
「やだ・・・もうこんな世界から逃げ出したい・・・」
「まるで僕が悪いような言い方をしてるな」
・・・やっぱりエルナといると、こっちまで頭がおかしくなるな。
「ぐすっ・・・もう・・・このまま進んだって・・・何の意味がないの?・・・うぅ」
嗚咽がさっきよりも激しくなっている。
「いつになったら・・・結希が離れてくれるの」
・・・むしろお前が離れてくれ、という冗談は抑えて、本音を言っておこう。
「お前1人だと、心配だよ」
「・・・え?」
「お前1人だと、何をするのか分からないから」
今さらっと酷いことを言った気がする。だが、エルナは・・・
「嬉しいよ・・・変態」
「いいから変態と呼ぶのはやめてくれ」
「うぅ・・・ぐすっ、ぐすっ」
・・・何故エルナは泣く前に嗚咽するのか。
「・・・うぇえええええええん!」
「うるせぇええええええええええ!!」
・・・いつになったら、エルナは離れてくれるのだろうか。
実は6話を書くのは二度目です・・・
パソコンが重くなったのでデータが消えました。
ショックで泣きかけ、一時は小説を書くのをやめようかと考えてたんですが、なんとか書き終わりました。
まあこの話は小説と言えるのか謎ですけどね・・・
感想、レビュー、指摘をしてくれるとありがたいです!(毎回の締め)