05.出会いは必然、最悪な偶然
----あの子に・・・会いたい。
突然、頭の中をそんな衝動が駆け巡った。
幻想だってかまわない。僕は人間に飢えているんだ。
蔑まれても構わない。
きっとあの子も孤独だ。あの子の元へ行くしかない。
僕はあの子を守りたい!
・・・あ、やっぱり僕は変態だ。
16年越しにようやく分かった・・・僕の異常さに。
これは蔑まれても仕方がない。
でも、なぜあの子がこの世界にいるのか・・・
まだ名前も聞いていない。
でも・・・
・・・いやいや、幻想だろう?
人間に飢えているだけだろう?欲望から生まれた幻想かもしれない。
もうどうだっていい。
僕はがむしゃらに走っていった。
どこまでも、あの子のためなら・・・
・・・気が付くと、僕は倒れこんでいた。
意識が遠のいていく。ようやく死ねるのか。
でも、まだ未練がある・・・
・・・あれ、思い出せない。
誰を探しているのか、何の目的があって歩いているのか。
いつの間にか、僕の頬に涙が伝っていた。
おかしいな、笑っちゃうよ。
何の意味もなく泣いているなんて。
----数時間ぐらい経っただろうか、僕は意識を取り戻した。
しかし、僕の周りには靴跡がある。
その靴跡は、どこかへと続いていた。
・・・そうだ、あの女の子を探していたんだ。
記憶が蘇った。
あの子の靴跡だと信じて、その靴跡が続いている方向へと進んでいった。
そして・・・
靴跡が途切れたところには、あの少女がうつぶせに倒れていた。
しかも、パンツが見えている。
「・・・」少女は意識が無い。
本来なら意識を戻すのが先だが、なぜかパンツに視線が向いていた。
「・・・薄い黄色だ」
そうつぶやいた瞬間だった。
突然、顔面に強烈な痛みが襲った。
いや、殴られたのだろう。
「この・・・ド変態!!!!!!」
「待て、誤解だ・・・ってなんでもう一発殴るんだあああああ!!!」
「どこが誤解だよ!!色まで言ってたじゃん・・・」
やばい、この状況。
もう言い逃れはできない。ここは謝ろう。
「・・・お前なぁ!人の事を変態とか言ってのけて!人間として最低だな!」
・・・やばい。言ってはいけないことを口に出してしまった。
「・・・なんで怒るの?ボクは何にも悪いことはしていないのに」
ダメだ、この状況。
でも、あの子は泣いていない。
これはまだ取り返しがつく。謝ろう。
「本当に申し訳ございませんでした」
「怒ったり謝ったり、あなた本当に変わってるね。」
「それって・・・許してもらえるってことか?」
僕は安堵した・・・と思った。
「分かった。許して・・・あげるわけないじゃん、死ね」
今度は腹に一発を食らった。
「死ね」と言われたが・・・むしろ殺してくれ。
「逆に僕を殺してほしい。」
「やだ」
即答だった。
「というかボクは死ねとは言ってるけど、流石に殺しはしないからね。」
彼女はそうつぶやくと、
「あなた、ひょっとして自殺を図ってこの世界に転生したの?」
「転生」・・・なんだよそれ。
でも、なんでわかったんだ?
「そうだよ、でもなんでそれを・・・」
「ボクも、死にたかったから。」
・・・え?
「でも、人間がいなかったのに、なんでわかるの・・・?」
僕はそう問いかけた。すると・・・
「ボクはこの世界で、何人もの人を見つけた。でも、どの人も自殺を図った結果、ここに転生したらしいんだ。」
・・・この世界には、僕と彼女以外にも人がいたのか。
でも、僕と同じような人ばっかりなのか。
「結希・・・だったっけ。」
「・・・そうだけど」
僕の名前を憶えてる・・・
でも、僕はその子の名前をまだ知らない。
「あの・・・名前を教えてくれ。君の名前が知りたい」
たかが名前を教えてもらうことだけで緊張したのは初めてだ。
「えー、まあいいか。ボクの名前は、駒崎恵月だよ。苗字はわかると思うけど、名前がややこしいの。恵む月と書いてエルナ。笑えるでしょ?」
あ、キラキラネームだ。
「ま、エルナと呼んでね、結希」
「了解」
すぐに了解したが、女の子を名前で呼ぶのはかなり久しぶりだ。
小学生以来かもな・・・
「さ、早く草原を抜けよう」
・・・エルナはそう言ってるが、無限に続く草原を抜けられる訳がないだろう。
「どこまで続くんだ?この草原は」
エルナに問いかけてみたが、
「分からない」
という答えしか返ってこない。
でも、一回だけでもエルナに付いていこう。
僕はそう覚悟を決めた。
塾の宿題をしながら小説を書いてたら、もうこんな時間に・・・
1時くらいから書いてたぞこれ。
でも肝心の宿題が終わってません・・・
まあそこは置いておいて、今回の話はまあまあ苦労しました。
やっぱり会話文は難しいです・・・
まあ、楽しく読んでくれたらうれしいです。
あ、レビュー・感想と指摘をしてくれるとさらに嬉しいです。