三文字 3
部屋でプラモを作ってたらねぇちゃんはスパーン!!と襖をあけて
「ねぇ!!聞いてっ!同僚がおっきくなったの!!」って言ってきた。「成長期だろ?」って言ったら「そういうのじゃないよ!」って、もーっていいながらねぇちゃんは腰にてをあてて仁王立ちをした。
「そんなレベルじゃないの!」って。
でっかいやつのレベルってなんだよ。「雄三レベルか?」って聞いたら「誰よ?」って言われた。なんだ、ねぇちゃん知らないのか?「でっけぇ男だよ!」って言ったら、ねぇちゃんは少し考えて「なら、そのくらいなのかもしれないわ」って納得してた。
雄三レベルの男がいるとか…すげえなそのバイト
夕飯をたべながらねぇちゃんが「バイトの職場にちょっとおバカな子がいるのよね」ってぼやいた。
「いっつも失敗して、しかも、反省しなくって。やる気だけはあって暑苦しくってうっとうしいんだけど…なんか嫌いになれないの」
俺が「そういうやつに限って居なくなると一気に空気悪くなるから大事にした方がいいぞ」って言ったら「あ~そういえばそうかも」こんどはもう少し優しくしてあげよう。って遠くを見ながら呟いた。
後日ねぇちゃんは部屋で「どうせ部下なんて使い捨てよね…」って暗い目をして呟いていた。
どうやらねぇちゃんバイトは昨今流行りのブラックバイトらしい。
学校から帰ってきたあとにスーパーに買い物に出掛けたら、ちょうど仕事帰りのねぇちゃんと一緒になった。
せっかくだからって夜桜を見に大きな桜の木がある幼稚園の前を通った。俺もねぇちゃんもこの幼稚園を卒園した、懐かしの場所だ。
園児の居ない幼稚園バスが置いてあるのを見ながらねえちゃんは「幼稚園バスは絶対に狙っちゃいけないの公共の乗り物もね」って真面目な顔して俺に言ってきた。
「そんなん当たり前だろ」って言ったら「それがわからない奴がいるんだよね。」ってこまった顔してため息をついた。
そのバイト…まじでやめたほうがいいんじゃないか?
だれも居ない家に向かって「ただいま~」っていったら「お帰り~」って返事が帰ってきた。「あれ?ねぇちゃん、今日早くねぇ?バイトは?」そういいながら居間に行くとねぇちゃんが座ってコーヒー飲んでいた。
「うん、私の出番終わったからさ~」
「出番?」
「そう、だからもういかなくていいの。」
こんな変な時期に珍しいなって思ったけど、ねぇちゃんがなんか微妙な顔してたから何も言わずにおいた。
コーヒーをのんでからねえちゃんは「なんかさ、口うるさく言い過ぎちゃったみたいで。」ってため息をついた。
なんだ、クビになったのか。
「めずらしいじゃん。ねぇちゃんがそんなに言うなんて」
「うん、なんかほっとけなくてね~まぁ言ってもダメだったんだけどさ。だからまた新しいバイト探さなきゃ」そういってねえちゃんはちょっと寂しそうに笑った。
その日からねえちゃんはブラックバイトにいかなくなった。
ねえちゃんが思わず経営に口出すほどブラックな会社だったんだろうな。