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○小畑希望、三日目(前)
衝撃だった。今日は、彼女には冷蔵庫にいてもらっていた。写真部の部会の日だったので、持ち歩いているのは、危険だと考えたのだ。
その彼女が、腐っていた。
腐敗の定義は知らないけれど、これは明らかに腐っていた。まだ、外から見ただけではっきりとした変化が見られる程ではなかった。でも、触ってみると、明らかに昨日より感触がぶよぶよしていた。
さらに強く握れば、かさぶたが中の圧力に耐え切れず、破れてぐじゅぐじゅした中身が、そこからぼとぼととこぼれ落ちる気がした。さらに悪い想像が頭をよぎる。握った部分の皮が破れだし、その間から臭い腐肉が出てくる気もしたし、毛穴から汁状となって出てくる気もした。
視覚以上に、嗅覚以上に触覚に訴えてきた。固体というより、ゼリーに近い。
「これは……、しんどかね」
辛かった。僕は、ただただ辛かった。
触るに堪えない彼女のことも、自分が彼女を捨てるしかないということが、薄々わかっていることも。




