はじまり
子供の頃の堪忍袋というものは、やはり子供らしくその緒も短かったのだろう。
だからあの時、彼らが何を理由に喧嘩をしたのか今となっては知る由もない。
子供の喧嘩だから、振り返ってみれば案外滑稽な理由だったのかもしれない。
あの子が叩いたからだとか、あの子がズルしたからだとか。
理由の大小こそあれど、それが些細な喧嘩であることには違いない。
感情の起伏の激しい子供だからこそ、一晩経てば喧嘩のことなどケロッと忘れて次の日にはハイ仲直り。
何事もなかったかのように笑いあい、また遊び始めるのが情緒豊かな子供の常である。
けれど、彼らの喧嘩は一晩経てども解決することはなかった。
大泣きしながら家に帰ってきて、喧嘩のことを思い出して、また泣き出すうち眠りに就いて。
そして訪れた次の日の朝。
目を覚ました時には既に、三人とも離れ離れになってしまっていたのだから。
初めましての方、初めまして。
そうでない方、お久しぶり。
こんばんは、夜斗です。
本日より新作『コイヒメサクヤ』がスタートします!
……なお、これはお話の序文になりますので、細かなあとがきは次話にて。
だいたい30分後に、第1話を公開します。