暗礁3
福沢夕子と桐原大介の精密検査の結果が出たというので、それぞれの母親である福沢薫と桐原紀子が、病院に呼び出された。
ケガを負った2人は、まだ集中治療室で面会謝絶の状態である。
ダメージが大きかった夕子だけは、特別に15分だけ薫との面会が許されたのだった。
病院の総合受付では待ち合わせた薫と紀子は、上の階へ向かうエレベーターに乗り、外科病棟を目指した。
目的のナースステーションに着くと、
居合わせた看護師に、
「大門先生と13時のお約束でお伺いしました」
と薫が伝えると、
看護師は、「お待ちしておりました」と立ち上がり、
「どうぞ」
と2人を先導しながら診察室と書かれた部屋の前で立ち止まる。
そして
「こちらでお待ちください」
と告げて、すぐにまたナースステーションに戻って行った。
扉を開けると、病院らしい真っ白な室内に、10畳ほどの割と大きめの広さに、ホワイトボードやテーブル、そして折りたたみの椅子などが、無造作にセッティングされていた。
薫と紀子は1番聞き取りやすい、
最前列の席に腰掛けると、
そこへ白衣の医師2名と、ナースキャップをかぶった看護服の婦長が姿を現した。
まず、大門医師が、
「今回桐原大介くんと福沢夕子さんの治療のチーフを務めます外科部長の大門です。
となりが精神科の木戸医師、そして病室で2人の世話をする婦長の下沼です」
「どうそ、よろしくお願いします」
と頭を下げる薫と紀子。
「それではさっそく、警察の方から届いた実況見分をご報告いたします。
事故を起こした運転手は、不慣れな土地だったため、携帯を操作しながらトラックを運転していた為、赤信号に気づかずに交差点に侵入。
そのまま2人乗りのタンデム自転車を、横から直進で跳ね飛ばし、ケガを負わせ、当病院に緊急搬送されました。
ふたりが予想外に重症にならなかったのは、自転車の大きく張り出したハンドルとフットペダルが、衝突の衝撃をうまく吸収して、地面との間でクッションなったことが原因だと思われます。
私どもの所見は、上腕、大腿の骨折、そして脳挫傷も被害が最小限に済んだ要因は、上記の幸運に恵まれたものだったと結論づけております。
また、保険の担当者も100パーセント運転者の過失を認めており、費用の全額を支払うことで話が進行しています。
事故に関係する報告は以上になります。
何か質問等はありますか?」
真っ先に福沢薫が、
「あの女の子なので、病状がとても心配なのですが?」
それについて大門は、
「今うちの専門分野のカンファレンスを通して、さまざまなケースを考え、2人にとって最適な治療を考えていきますので、心配なさらないでください」
「ありがとうございます」と薫はホッとした表情を浮かべた。
to be continue




