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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 神崎ユウト


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第8話 噛み合わない前線

 前線基地は、張りつめた空気に満ちていた。


 作戦開始まで、あと数時間。

 冒険者と正規兵が入り混じり、準備に追われている。


「……まさか、ここで会うとはな」


 グラッドの声は、低かった。

 視線は俺に向いているが、どこか定まっていない。


「久しぶりです」


 それだけ答える。

 それ以上の言葉は、今は要らない。


 元パーティの面々は、明らかに消耗していた。

 装備は新調されている。回復役もいる。

 それでも――立ち方が違う。


「今回の作戦、聞いてるか?」


 グラッドが言う。


「前線を押し上げる。短期決戦だ」


「聞いてます」


 俺はそれ以上、口を出さなかった。


 作戦前の合同演習が始まる。

 敵役は、訓練用の魔導機構。


 最初の衝突で、違和感が走った。


「……遅い!」


 バルドが声を荒げる。

 剣と魔法の連携が、微妙に噛み合っていない。


「回復、間に合ってるか!?」


「やってるわよ!」


 エルナの回復は、数値通りだ。

 だが、タイミングが合わない。


 俺は、意識を広げた。

 ――整えない。


 今日は、まだ。


 別働の部隊。

 リーナたちの動きは、静かだった。


「……来る」


 誰かが言う前に、盾が上がる。

 斥候が動き、魔法が重なる。


 演習は、あっけなく終わった。


 結果は、明白だった。


「同条件で、この差か……」


 将校の一人が、呟く。


 グラッドは、歯を食いしばっていた。

 彼は、理解し始めている。


 “強さ”の正体を。


「お前……」


 彼が俺に近づく。


「何を、してる?」


 俺は、少し考えてから答えた。


「何も。

 ただ、ズレてるところを戻してるだけです」


「それを……」


 グラッドの言葉は、続かなかった。


 彼は、気づいてしまったからだ。

 自分たちが、どれだけ“支えられていたか”を。


 夜。

 作戦前夜の会議。


 アルベルト王子が、全体を見渡す。


「明日の戦闘では、レオンの支援を前線全体に限定投入する」


 ざわめきが走る。


 元パーティの面々が、息を呑むのが分かった。


 ――俺が、前に出る。


 それが、決まった。


 会議後、グラッドが一人で立っていた。


「……悪かった」


 絞り出すような声。


 俺は、首を振る。


「まだ、始まってません」


 それは、拒絶でも赦しでもなかった。


 ただの事実だ。


 翌朝。

 霧の中で、号令が響く。


「――前進!」


 その瞬間、俺は理解していた。


 今日の戦場で、

 “答え”が出る。


 俺が、ここにいる意味の。


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