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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 神崎ユウト


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第7話 国家案件

 依頼書は、やけに簡素だった。


 装飾も、余計な文言もない。

 必要最低限の情報だけが、整った文字で並んでいる。


 発行元――王国軍務局。


「……国家、か」


 声に出した瞬間、その重さが腹に落ちてきた。


 翌朝、ギルドの応接室には、見慣れない人物がいた。

 軍服。階級章は控えめだが、隙のない佇まい。


「アルベルトと申します」


 第二王子。

 名乗られて、空気が一段下がった。


「率直に言います」


 彼は回りくどい前置きをしなかった。


「あなたの支援は、戦争の被害を減らせる」


 それは、提案というより事実の提示だった。


「我々は勝てます。

 ですが――死にます」


 言葉が、冷たい。


「あなたがいれば、死者は減る。

 それだけで、呼ぶ理由としては十分です」


 俺は、すぐには答えられなかった。


「現場に出るのは、俺一人ですか?」


「いいえ。

 あなたの安全は最優先で確保する」


 その“安全”が、どこまでを意味するのか。

 考えたくなかった。


「拒否権は、ありますか」


 王子は、ほんのわずかに目を細めた。


「あります。

 ですが、その場合――代替策はありません」


 つまり、選ばなければ誰かが死ぬ。


 会談のあと、リーナが静かに言った。


「……断れないやつだね」


「はい」


 それでも、俺は一つだけ条件を出した。


「俺が支援するのは、戦場に立つ人間だけです。

 政治の道具にはなりません」


 アルベルト王子は、少し考えてから頷いた。


「理解しました。

 あなたは“兵器”ではない」


 その言葉が、なぜか一番怖かった。


 準備期間は、三日。


 その間に、もう一つの情報が入ってきた。


「今回の作戦に、外部の冒険者パーティが合流します」


 ローゼンの報告に、嫌な予感がした。


「名前は……」


 彼は、一瞬だけ言葉を切った。


「《蒼刃》――

 あなたの、元所属パーティです」


 胸の奥が、静かに軋んだ。


「向こうは、俺がいるって知ってるんですか」


「いいえ。

 国家案件では、情報は必要最低限しか共有されない」


 つまり、知らないまま再会する。


 その夜、リーナが剣を磨きながら言った。


「会ったら、どうする?」


「どうもしません」


 そう答えたが、心は揺れていた。


 怒りは、もうない。

 ただ――怖かった。


 あの場所で、

 俺がいなかった“結果”を見るのが。


 三日後。

 軍の前線基地に、冒険者たちが集結する。


 ざわめきの中で、聞き覚えのある声がした。


「……なんで、ここに?」


 振り向くと、グラッドが立っていた。


 視線が、交わる。


 一瞬の沈黙。


 彼の目が、俺を“認識”する。


「――レオン?」


 その名を呼ばれた瞬間、

 俺ははっきりと理解した。


 これは再会じゃない。

 **検証だ**。


 俺がいなかった時間の、答え合わせ。


 そして、

 俺が“ここにいる”意味を突きつける場所だと。


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