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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第52話 中央統制案

 王都の会議室は、いつになく騒がしかった。


「感染地域、二十一」


 官僚が地図を指す。


 赤い印が増えている。


 だが。


「致死率は低い」


 別の官僚が報告する。


「連盟の初動対応により、重症化は抑えられている」


 机を叩く音がした。


「だが拡散している!」


 声を上げたのは、国家衛政局の強硬派だった。


「感染症は数だ。

 広がれば必ず崩れる」


 会議室が静まる。


「中央統制を宣言すべきだ」


 提案書が机に置かれる。


『移動制限』


『物資配給統制』


『治療指揮の中央化』


 つまり。


 すべてを国家が握る。


「早すぎる」


 アルヴェインが静かに言う。


「連盟が機能している」


「今はな」


 強硬派は即座に返す。


「だが、彼らは組織として未熟だ」


 事実だった。


 連盟は生まれたばかり。


「中央統制は秩序を守る」


「秩序は、遅い」


 アルヴェインは言う。


「現場判断が先行している」


「それが危険だ!」


 机を叩く音。


「責任は誰が取る!」


 沈黙。


 その問いは、国家の核心だった。


 責任。


 分散は、それを曖昧にする。


「連盟代表を呼ぶべきだ」


 強硬派が言う。


「責任を明確にさせる」


 視線がアルヴェインに集まる。


 彼はゆっくり頷いた。


「……呼ぼう」


 王都からの伝令は、翌日ルドナに届いた。


『連盟代表、王都出頭要請』


 ミナトが紙を握る。


「……来ましたね」


 予想していた。


 国家は、空白を嫌う。


 成功していても。


 管理したくなる。


「どうします」


 代表の一人が聞く。


 俺は答える。


「代表会議で決める」


 個人ではない。


 それが連盟の形だ。


 夜、代表会議が開かれた。


「行くべきだ」


「行けば、統制の理由を与える」


「拒めば敵対だ」


 議論が続く。


 長い時間。


 最後にミナトが言った。


「行きましょう」


 全員が彼を見る。


「逃げたら、連盟は終わる」


 若いが、真っ直ぐだ。


「俺たちは、隠れる組織じゃない」


 沈黙。


 やがて、全員が頷いた。


 決定。


 代表団が王都へ行く。


 翌朝、出発の準備。


 ミナトが聞く。


「レオンさんは来ますか」


「行く」


 短く答える。


 だが。


「代表としてじゃない」


 彼は少し笑った。


「やっぱり、そうですか」


 街道を進む馬車の中。


 地図を広げる。


 感染点は、増えている。


 まだ制御可能。


 だが。


 妙だった。


「……広がり方が変わった」


 ミナトが言う。


 点の配置が違う。


 街道だけではない。


 川沿い。


 水路。


 俺は、静かに地図を見つめる。


 連盟は、速い。


 だが。


 速さだけでは、足りない可能性がある。


 王都は近い。


 そして。


 この疫病もまた。


 **次の段階に入ろうとしていた。**

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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