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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第24話 距離を決める

 決断は、夜が明ける前だった。


 街はまだ眠っている。

 治療所の灯りだけが、ぽつぽつと残っていた。


 俺は、書類を机の上に置いたまま、窓の外を見ていた。


「……受けるの?」


 リーナが、静かに聞く。


「全部じゃない」


 そう答えて、書類を手に取る。


「期間限定。

 現場指定。

 支援内容は、俺が決める」


 条件を、一つずつ口に出す。


「国家は責任を取る。

 俺は、判断を放棄しない」


 それが、俺なりの線だった。


 カイルが、腕を組む。


「つまり……

 国家の“駒”にはならないけど、

 無視もしないってことか」


「はい」


 曖昧で、面倒で、効率が悪い。


 でも。


「それが、一番壊れにくい」


 イオナは、少し驚いたように俺を見る。


「……神殿も、同じですね」


 彼女は、ゆっくりと言った。


「全面的には認められない。

 でも、否定もしきれない」


 それでいい。


 完璧に受け入れられる場所なんて、ない。


 朝。

 王国の使者が、再び訪れた。


 今度は、簡素なやり取りだけ。


「条件、確認しました」


 使者は、淡々と言う。


「殿下は、了承されています」


 紙に、署名をする。


 震えは、なかった。


「ただし」


 俺は、ペンを置いて続けた。


「この街を出ます」


 使者が、目を瞬いた。


「……協力期間中ですが」


「ええ」


 頷く。


「だからこそです」


 ここに留まれば、

 また“前提”になる。


「必要な場所に、呼ばれたら行く。

 それ以外は、俺が決めます」


 使者は、少し考えてから頭を下げた。


「……伝えます」


 昼前。

 街を出る準備をする。


 大きな見送りは、なかった。


 でも、イオナは来た。


「……ありがとうございました」


 彼女は、深く頭を下げる。


「あなたがいなくなったら、

 また苦しい現場になります」


 正直な言葉。


「でも」


 彼女は、顔を上げた。


「私たちは、祈ります。

 考えます。

 選びます」


 それでいい。


 それが、人だ。


「……また、どこかで」


 そう言って、背を向ける。


 街道に出ると、風が吹いた。


 守られていない。

 管理もされていない。


 でも、孤立もしていない。


 国家とは、距離を取った。

 宗教とも、距離を取った。


 それでも、世界とは繋がっている。


「……楽じゃない道だな」


 リーナが笑う。


「はい」


 俺も、少し笑った。


「でも、これでいい」


 誰かの機能じゃない。

 誰かの代わりでもない。


 呼ばれたら行く。

 必要なら断る。


 助けるかどうかも、

 どう助けるかも、

 俺が決める。


 それが、

 追放された回復支援職が辿り着いた――

 **俺なりの立ち位置**だった。


 街は、背後に遠ざかっていく。


 そして、

 次に呼ばれる場所が、

 もうすぐ現れる予感がしていた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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