第3話:万能なスライム、初陣。影に潜むNo.2への道標
都市の危機と、出撃準備
部屋の窓から見下ろす街の郊外は、騒然としていた。
先ほど感知した低級魔物の群れは、予想以上に数を増している。ゴブリン、コボルト、そして中級魔物であるオークまでが混ざり、小さな街の城壁に迫っていた。
「レベル3(中堅)の冒険者じゃ、対応しきれないな」
普段なら、街の冒険者ギルドがすぐに対処する。しかし、この街の主力は、俺を無能扱いしたレベル5(上級)未満の者がほとんどだ。しかも、先日の影狼騒動で、ジンたちレベル5の有望株はすっかり戦意を喪失している。
俺の秘密の要塞は、**【異空間隔離の法則】のおかげで安全そのものだが、街が壊滅すれば、俺の築いた「平穏な生活」**の基盤が崩れる。
「ルナ。お前の初陣だ」
俺はルナを抱き上げ、そう言った。ルナは**「プルルッ!」と威勢の良い音を立て、銀色の身体を震わせた。聖銀狼への進化準備を完了し、レベル9に近い魔力を内部に秘めたルナは、もう『スライム』**の概念を超越している。
「いいか、ルナ。絶対に**レベル7(人間最強)以上の力は見せるな。周囲には『優秀なA級冒険者が一人で対応している』**と誤解させる必要がある」
【無限創造】の力がなければ、ルナはレベル9の存在だ。この街はおろか、一国を滅ぼせる。だが、俺の目的は平穏だ。目立ちすぎて、教会のレベル7の英雄や、王国騎士団長といった人間最強クラスに目をつけられるのは面倒だ。
「わかったな、ルナ。お前は、**『最強のA級冒険者(レベル6)』**のふりをするんだ」
俺は、ルナに**「完璧な演技力と、レベル6の魔力制御の概念」**を付与した。
そして、俺は部屋の中に**『瞬間転移の概念(座標固定)』**を創造し、ルナを城壁の外側に一瞬で転移させた。
最強の仲間、レベル6の演技
城壁の外側。数千の魔物が押し寄せる中、ルナは銀色の身体を輝かせていた。
魔物たちは、突然現れた手のひらサイズの生物に戸惑う。ゴブリンが棍棒を振り上げて突進してきた。
「ピィィ!」
ルナは小さく鳴くと、【万能変異】スキルを発動させた。その身体が、一瞬で銀色の炎を纏う。炎は、**【無限創造】で付与された「攻撃力最大化の法則」**を帯びていた。
――ドドドドドッ!
炎は波紋のように広がり、瞬く間に最前線のゴブリン数百匹を一瞬で灰に変えた。その速さと威力は、通常のレベル6のファイアストームを遥かに凌駕する。
城壁の上で指揮を執っていた冒険者たちは、その光景に呆然とした。
「な、なんだあの銀色の塊は! 一撃で千匹近くの魔物を……!? まさか、**伝説の『聖銀の魔物』**か!」
「いや、違う! あれは……スライム? スライムがこんな芸当を! まるで、レベル6の超上位スキルを複合発動させたみたいだ!」
ルナの周囲には、すでに魔物の死骸が山を築いている。しかし、ルナは表情一つ変えずに(スライムに表情はないが)、次の行動に移る。
ルナは、次の魔物たちに炎を放つ代わりに、身体を透明に変化させた。**【水属性魔法:レベルMAXの概念】**を応用し、周囲の水分を操って、巨大な水の槍を無数に創造する。
――ザシュッ!
水の槍は、レベル6の硬さを誇るオークの厚い皮膚を容易く貫き、そのコアを破壊していく。戦闘開始からわずか5分で、魔物の数は半分以下に減っていた。
アレスの万能な指揮
秘密の要塞。アレスは部屋に創造した**「全領域監視の概念」**で、ルナの戦闘を詳細に観察していた。
「よし、ルナ。次はオークの群れの奥にいるコボルトのリーダーを狙え。そいつが指揮を執っている」
アレスは、**【無限創造】で「絶対精度の長距離通信の概念」**をルナに付与している。ルナは、まるでアレスの指示が聞こえているかのように、正確に動く。
しかし、ルナの攻撃がコボルトのリーダーに届く直前、突然、影がルナの攻撃を弾いた。
「何……!?」
ルナの放ったレベル6相当の水の槍が、空間に現れた純粋な影の壁に阻まれた。その壁は、ルナの攻撃エネルギーを全て吸収し、無力化してしまう。
――キィィン……
影の壁から、黒い狼のシルエットが現れた。それは、先日の影狼よりも遥かに純粋で、洗練された**『影』**そのものだ。
<<No.2影の存在を確認しました>>
ルナのステータスウィンドウが、アレスの頭に警告を表示する。
「シャドウ(No.2)が、ルナに敵意を向けている……?」
この影の魔物は、明らかにルナが偽装しているレベル6の力を凌駕している。その存在感は、以前遭遇した影狼とは比べ物にならない。**レベル7(人間最強)**クラス、いや、それ以上かもしれない。
シャドウとの遭遇と、忠誠の理由
影の魔物は、ルナを警戒しつつも、敵意を魔物の群れにも向けている。
――ヒュン!
影の魔物は、魔物の群れに向かって**「影の鎖」を放った。鎖に捕らえられた魔物は、生気を吸い取られ、一瞬で干からびていく。その光景は、レベル7の英雄が使うスキルよりも、遥かに効率的かつ強力**だ。
「ルナ。戦闘の継続は危険だ。一旦引け」
俺はルナに指示を出す。しかし、ルナは影の魔物に怯えるどころか、逆に興味を示しているようだった。
ルナは、影の魔物に向かって**【無限創造】で付与された「万能のカリスマ」**をわずかに発動させた。
「プルルルッ……」
ルナの銀色の身体から、**『神聖なる銀色の波動』**が、影の魔物に向かって放たれる。
その波動を受けた影の魔物は、一瞬硬直した。その瞳に宿っていた**「野生の敵意」が、「畏敬の念」**へと変わっていく。
影の魔物は、魔物の群れを完全に無視し、ルナに向かって跪いた。その行動は、ルナを**「王」**として認めたことを意味する。
<<No.2影の忠誠概念を確認しました。テイム可能です>>
「なんだと? テイム可能だと……? 俺が何もしていないのに?」
驚いたのは、俺の方だ。ルナの**「無限種」**のカリスマが、**シャドウ(No.2)**の魂を惹きつけ、従属させたのだ。
影の魔物は、ルナの足元に影となって潜り込んだ。
シャドウのステータスウィンドウが表示される。
名前シャドウ
種族影の騎士(進化途中)
スキル【絶対影化】【生気吸収】【高速移動】...
レベル7
進化可能黒竜騎士 → ???
レベル7。やはり、人間最強クラスだ。そして、黒竜騎士への進化ポテンシャル。
最強の仲間が、ルナの**「王の資質」**によって、あっけなく増えてしまった。これぞチート。
ルナは、まるで戦利品を得たかのように、満足そうに**「プルルッ」と鳴いた。そして、ルナとシャドウが協力し、残った魔物たちはレベル6の演技**を保ちつつ、瞬く間に掃討された。
次なる仲間への道標
魔物の群れは一掃された。街の住民たちは歓喜し、城壁の冒険者たちは**「伝説の聖銀の魔物」**の噂で持ちきりだ。
その喧騒をよそに、俺はルナを回収し、再び秘密の要塞に戻った。
「やるな、ルナ。まさか、俺がテイムする手間を省いてくれるとは」
ルナは、俺の腕の中で自慢げに揺れている。ルナの身体の下には、影の魔物シャドウが潜んでいるのが分かる。
「よし。次はシャドウの進化だ。そして、拠点づくりを本格化させる」
シャドウは**「影の騎士」。隠密、情報収集、そして夜間の警備には最高の戦力となるだろう。そして、この最強の仲間を手に入れたことで、俺の「都市計画」**は一気に加速する。
俺は、シャドウのステータスを改めて確認した。影の騎士(進化途中)……その進化には、**『闇の宝珠』と『古代の契約書』**が必要らしい。
【無限創造】で、それを無から創り出すのは簡単だ。
「さあ、シャドウ。お前もルナに負けない、最強の仲間になれ」




