第31話 試写会
1986年7月23日
完成初号試写会当日
仕上げ会社や動画スタジオなどの関係者全員を集めての試写会
ボクたちスタッフは一番後ろの壁にもたれかかって観ていた
上映が始まった
ボクたちが今まで描いてきた絵が動いている
絵コンテでストーリーは知っている
フィルムチェックで画面そのものもすでに知っている
試写で観るのもこれが初めてではない
(´・ω・`)………
ボクはスタジオジブリに入社して、密かに心に決めたことがあった
それは宮崎さんに、先に「おはよう」と「お疲れ様」を言わせないこと
でも、もう1つ決めたことがあった
それはラピュタが完成するまで休みを取らず描き続ける事だ
宮崎駿監督が手がけるこの作品の製作に関われたのだから
自分のすべての時間を使ってでも作品作りに携わり続けたかった
そう決意して以来、土日祝日はもとより、大晦日も元旦も
ボクはひたすらスタジオに通い詰めた
その結果がこうして映し出されている
上映が終わった
館内に凄まじい拍手の嵐が巻き起こった
座席から立ち上がって拍手をする人
「ブラボー!」と叫んだ人
ハンカチを手に拭う人があちこちに見える
……
(⌐●_●)「あれっ?ヒロカツくん、泣いているの?」
(´;ω;`)「え……」
自分でも気がつかない内に涙が流れていた
(´;ω;`) .。oO(ボクはなんで泣いているんだろう?)
ラピュタに感動したから?……いや、違う
終わったという達成感?……いや、違う
……理由は分からない
その日、ボクが分かっていたことは
心が空っぽになっているということだけだった




