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第71話 女子集合

 森の魔女様の許を辞した私達は、とりあえずエーデンバッハに一泊した。雨も降っていたので明るいうちに森の入口であるヴァルトアインガングに到着できそうになかったからである。とりあえず聖女様にルドルフくん、そして私は村長さんのところに挨拶に行った。


「おかえりなさいませ、聖女様」

「只今戻りました、いろいろとエーデンバッハには迷惑をおかけしてしまって」

「とんでもないです聖女様、ただ広場を使うだけにもお金をいただいてしまって」

「ご不便をおかけしているのですから、当然です。お気になさらないでください」

「恐縮です。それより魔女様のところで、成果はありましたか?」

「ええ、おかげさまで当初の目的は達成できました。いろいろな魔法が使えるようになりました」

「それではこれからのお仕事に役立つのでしょうね」

「ええ、これまでより仕事が捗ることと思います」

「それで聖女様、しばらくこちらにご滞在で?」

「いえ、残念ですが王都で仕事が待っていますので……」

「そうですか……」

 村長さんは本当に残念そうである。それを見て気の毒に思ったのか、ネリス先輩が口を挟んだ。

「村長どの、聖女様は殿下に一日も早く逢いたいのじゃ」

「ネリス!」

 村長さんの家の中は笑いに包まれた。


 その晩は行きのときと異なり、私とルドルフくんは聖女様と一緒に村長さんの家に泊まった。別にテント泊を期待していた訳では無いがちょっと拍子抜けした。雨の野営はそれなりに大変だろうから、正直助かった。

 睡眠不足だった私はその夜、食後早い時間にあっさりと眠ってしまった。


 それから2日間にわたって馬車の旅をして王都に帰還した。私はそれなりに疲れが溜まっていたらしく、2泊目のヴァルトアインガングまで車中から周囲の警戒をするべきだったのだが、うつらうつらしてすごしてしまった。それを周囲の騎士たちに謝ると、

「聖女様もそうでしたよ。よっぽど厳しい修行だったのですね」

などと言われてしまった。厳しくなかった訳では無いが、楽しい日々でもあったのでちょっと恐縮してしまう。そんな感じの旅程であったから、王都までの旅は長いようでもあり短いようでもあり、気がついたら馬車は聖騎士団の砦に入っていた。


 騎士団の車寄せには大勢の騎士たちが迎えに出ていた。聖女庁のジャンヌ様、マリアンヌ様の姿も見える。騎士団長そして当代の聖女の帰還であるから当然であろう。なんとなくそう考えていたら、迎えの人々の中にヤニックさん、まほちゃんみほちゃん、あかねちゃんまでいて驚いた。

 聖女様は馬車を降りてにこやかに騎士団と聖女庁の幹部たちに話しかけている。私はすぐにでもヤニックさんのところに行きたいのだが、立場上そうもいかず、呆然と立っていた。するといつのまにかヘルガさんが横に来ていて、

「レイコさん、こちらへ」

と脇の方に引っ張っていかれた。

 そこにはヤニックさんが立っていて、

「おかえりなさい」

と迎えてくれた。私は思わず彼の手をとり、

「ただいま」

と言った。あいかわらずの力強い手をにぎっていると急に手が離され、私はヤニックさんの体温に包まれた。


 この時間が永遠であればいいと思う頃、私はヘルガさんの声で現実に戻された。

「レイコさん、これから聖女様と陛下に謁見していただきます。騎士団の部屋をお借りして着替えていただきます」

「は、はい」

 ヤニックさんは、

「また、今度」

とだけ言って、離れていった。


 ヘルガさんに連れられて、私は聖女様の私室へ連れて行かれた。

「湯浴みをしてください」

「え、聖女様のお風呂でですか」

「はい、聖女様はもう少ししてから到着されますので、その前に」

「わかりました」


 私は急いで入浴した。旅の汚れを落とすだけだから、お湯に浸かってのんびりしている暇はない。話によると聖女様はお仲間とよく一緒に入浴されているらしいから私が長湯しても気にしないかもしれないが、私が気にする。

 いそいで湯船から出ると、ちょうど服を全部脱いだ聖女様がネリーさんと一緒に入室してきた。

「あ、もう上がっちゃったの? 一緒にお風呂楽しもうと思ったのに」

 私はつい本音で返してしまった。

「私、ネリス先輩じゃありませんから」

「むむ、ワシがなにか?」

 なんとネリス先輩が近くにいた。それをごまかすため、私は話題を変えた。

「聖女様、殿下とはお会いになりました?」

「ん、まだ。王宮で会うことになってる」

「じゃ、急がないと」

「そ、そうね」

「ワシも風呂に入りたいのじゃが」

「いいけど遊んでるとマルスと会うの遅くなるわよ」

「そ、そうじゃな」


 私はそのまま聖女様の私室を借りて着替えていた。聖女様はよっぽど殿下に早く逢いたいのか、びっくりするくらい早くお風呂から上がってきた。おいかけてきたネリス先輩の髪はまだ濡れている。


 そういえばまほちゃんたちはどうしているだろうか。

「ヘルガさん、まほちゃんたちは今、どうしていますかね」

「別の部屋で休憩中です。お呼びしますか?」

「聖女様、いいですか?」

「うん、私も会いたい」

「承知しました」

「ワシが行く」

 ネリス先輩は髪が濡れたまま子どもたち3人を呼ぶために部屋を走って出ていった。


 聖女様は聖女の略装に着替えた。見慣れていた服装だが、久しぶりに見るのでなんか美しく見える。

「奥様」

 ネリーさんが歩き出そうとする聖女様を止める。

「お化粧いたしましょう、殿下にお会いになるのですから」

「そうね、おねがい」


「あんちゃ~ん!」

 あかねちゃんの声が響いた。まほちゃん、みほちゃんも満面の笑顔で化粧し終わったばかりの聖女様のほうへ走ってきた。

 うしろからは騎士姿のヘレン先輩、ネリス先輩、フローラ先輩が続いている。

「あんちゃん、きれいになったね」

 みほちゃんの言葉に聖女様は嬉しそうにしている。騎士姿の先輩たちも、なんかカッコいいしキレイである。そろそろ18歳になる4人は光り輝いていた。


「女子はみんなそろったわね」

との聖女様の言葉にフローラ先輩が、答える。

「そうね、久しぶりね、集まるの」

 確かにそうである。

「じゃ、みんなで王宮へ行こう!」

「「「ハイッ!」」」

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