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第53話 再会

 フローラ先輩、ヘレン先輩が怒ってくれたおかげか、聖女様は初夏に森の魔女様を訪問することができることになった。期間は約1ヶ月である。同行者は私とルドルフくんだけになった。


 そして春が来て、北国のノルトラントも初夏と呼べるような日があった。もうすぐ森の魔女様のところに行かねばならない。

 私は光魔法を身に着けたかった。聖女様も同様だが、ついでに生活魔法などのコントロールもできるようになりたいと言っていた。


 ひと月にわたり公務に穴を開けるのであるから、出発前の聖女様の忙しさは尋常でなかった。まず女学校のみならず各騎士団で行われる算術の授業は従来の倍行った。私もその手伝いに駆り出された。

 本来の聖女の仕事は祈祷など宗教行事だが、こちらはある程度聖女代理のジャンヌ様にやってもらうことでなんとかなった。

 聖騎士団のほうは、聖女様に言わせれば優秀なスタッフに任せれば大丈夫とのことだ。緊急時の指揮はレギーナ様がとることになった。

 女子大はというと、学年末のテストと入学試験の問題作成がたいへんだった。これまた私も駆り出された。


 多忙を極め、毎日王宮には寝に帰るだけでステラ様のお相手はほぼできなかった。毎日遅くに王宮に帰着する私を、なんとヴェローニカ様は私の部屋で毎晩待っていてくれた。

「おかえり、今日も遅いな」

「只今戻りました。遅くなり申し訳ありません」

「ハーブティーを淹れよう、眠りを誘うだろう」

「ありがとうございます」


 ソファに身を投げ出すように座ると、ヴェローニカ様はハーブティーだけでなく、甘いお菓子も私の前に置いた。

「毎晩すみません、ステラ様はおよろしいのですか?」

「うむ、よく寝ているよ。ミハエル殿下がべったりだ」

「そうですか、私も大変ではありますが、聖女様もたいへんですよ」

「ははは、あいつにはステファン殿下がいらっしゃるからな、私の出る幕はないよ」

「それもそうですね」

「あと3日で出発だな」

「はい」

「準備はだいたいできたか」

「はい、大体目処は立ちました。あとは明日、残った仕事をするだけです」

「そうか、ならば今日も早く寝るのだな」

「ありがとうございます」

 ヴェローニカ様にお答えした通り、明日女学校と女子大で残りの授業をこなせば出発前の仕事は終わりだ。明後日は1日休養日にあてている。


 森の魔女様はシュヴァルツヴァルトの森の中に住んでいる。森の奥に一人で生活していて、一番近い村はエーデンバッハという。エーデンバッハから魔女様の家までは徒歩で1時間ほどの距離とのことだ。深い森で馬も通れないという。エーデンバッハまでは騎士団の護衛で移動し、王都から2日かかる。エーデンバッハで一泊し、そこからは聖女様と私、それにルドルフくんの3人で移動する予定だ。つまり合計3日かかるので、出発前に念の為休養日をとった。


 日が明けて女学校に顔を出すと、先生たちや生徒たちから「気を付けて」とか「いってらっしゃい」とか言われた。ありがたく思う。女子大でも同様だった。授業をすべて終えて聖女庁にも顔を出した。マリアンヌ様が笑顔で迎えてくれた。

「いよいよ明後日ですね」

「はい、不在の間、ご迷惑をおかけします」

「それで今日は?」

「いえ、ご挨拶に伺いました」

「どうせ出発時にお会いするでしょうに」

「そうですけど、そのときは聖女様が主役ですから」

「まあそうですね、ですけど今日は来てもらって良かったですわ」

「なにか仕事残ってましたか?」

「いえ、あなた早く王宮へもどったほうがいいわ」

「そうですか、で、何でしょうか」

「ヤニックさん、来てるわよ」

「え」

「だからきっと、どこかであなたのこと、待ってるわよ。急いだほうがいいわ」


 急いで聖女庁をあとにした。鼓動が早い。


 馬車はいつもの護衛のマリカさんがいっしょだが、彼女は私に話をするのを遠慮しているように感じた。日が長いからまだまだ昼間のような道を馬車は進む。景色は詳細に見えるし会話もないし、馬車の進みが遅い気がする。


 それでも我慢していれば王宮の職員用の門にたどり着いた。そのあたりにヤニックさんがいるかと思ったのだが、探しても探しても彼の姿は見えない。諦めて中に入ることにする。守衛さんに通行証を見せると、

「来客です」

と言われ、会議室の一つに行くように言われた。記憶によれば20人くらいが入れる会議室である。


 言われた会議室の出入り口には、ものものしく近衛騎士団の2名が警護していた。名を告げるとすぐに入室が許可され、ドアを開けてくれた。


 ドアの中にはいきなり国王陛下ご夫妻、王太子殿下ご夫妻のお姿が見え、男性一人が向かい合って座っていた。

「ああ、レイコさんがいらしたわよ」

 王妃殿下がそうおっしゃり、振り返った男性はヤニックさんだった。

「ヤニックさん、レイコさんをお迎えしなさい」

 ヤニックさんが立ち上がりやってきて、私の手を握ってくれた。

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