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第3話 聖女様との再会

「おまえ、聖女様の知り合いだと言っていたな」

「はい、私は聖女様、唐沢杏さんの大学の後輩なんです。小原玲子といえば、わかるはずです」

 尋問する女性の顔は更に険しくなり、尋問はそれでうちきりになった。監視の人たちは私達を遠巻きにしている。下手に会話もさせない気らしい。しかたがないので、トイレとか飲み物とか必要になるたびに大きな声で呼びかける。時間の経過がとても遅く感じられた。


 子どもたちが起きてきたのでじゃんけんしたり、変顔をしたりして遊んであげる。かわいそうなのは駆け回ってあそばせるわけにはいかないことで、私はなんとか彼女たちの気を引くよう、変顔のレパートリーはすべて出し、それどころか新しいのまで考えた。


「昼だ。食べろ」

 必死に子どもたちの相手をしていたので、食事の匂いにも気が付かなかった。導かれるままにテーブルにつくと、朝とはうってかわってかなりの量、肉・野菜・パン、さらにはフルーツまで並んでいる。私への量も子どもたちへの量も同じである。

「食べられるだけでいい。無理して食べないように」

「ありがとうございます」

 乱暴な言葉にも気遣いが感じられるので自然にお礼が出た。まほちゃんも、

「おねえちゃん、ありがとう!」

と言うので他の二人もそれにならい、甲冑の女性の表情が柔んだ気がした。


 昼食後も子どもたちと遊んであげたり、お昼寝させたりして過ごす。気を使うので疲れる。


「お前も寝たらいいだろう。子どもたちは私達がみておく」

「ありがとうございます」

 抗う気力もなく、寝させてもらうことにした。


 部屋が騒がしくなり私は目を覚ました。水色の服を来たみおぼえのある女性が目の前に見える。

「玲子ちゃん、だいじょうぶ? わかる?」

「聖女様、ですよね」

「うん、杏だよ。玲子ちゃん、安心して」

「はい、あの3人は?」

「うん、私は知ってる。大丈夫だよ。説明するから」


「レギーナ!」

 聖女様が言うと私を尋問していた人が駆けつけた。

「あの4人は本当に私の知り合いだから大丈夫」

「わかりました。聖女様の知り合いだという言い分をそのまま信じるわけにもいかず、申し訳ありません」

「いや、その判断は正しい。4人には騎士団の責任者として私から謝っておく。で、悪いんだけどあの子達に内密の話があるから、私達だけにして欲しい」

「承知しました」

 甲冑の人たちは部屋を出ていき、私達4人の他には聖女様とあと女性3人、男性4人が残った。全員で一つの大きなテーブルを囲むように座った。


 聖女様はまず、まほちゃんみほちゃんあかねちゃんに語りかけた。

「みんな大変だったね。私、わかるかな、唐沢杏、こっちではベルムバッハのアンと呼ばれてる。最初に紹介しちゃうと、まずステファン王子、私の配偶者。修二くんだよ。みんなのことは私達が全力で守るから、安心して。あとね、パパとママのところにもかならず帰れるから。ちょっと時間はかかるけど、かならず帰す。だから、ほんとに安心してね」

 まほちゃんたちは泣き始めてしまった。


 三人が泣き止んだところで、聖女様は説明を始めた。


 この世界はやっぱり地球でない異世界であること。のぞみ先輩はヘレン、岩田明先輩はフィリップ、木下優花さんはフローラ、村岡健太さんはケネス、恩田真美先輩はネリス、笠井智樹先輩はマルスだという。おどろいたことに昨日4組いっぺんに結婚式を挙げ、新婚旅行をかねてこの離宮に来たところだという。

「それはみなさん、おめでとうございます。おじゃましてしまったみたいで……」

「そんなことより玲子ちゃんたちのほうがたいへんだよ。あのね、私はこれでもこの国ノルトラントの聖女なの、だから絶対みんなを守るからね」

 すると横からフィリップさんが口をはさんだ。

「ステファン殿下よりえらいんだぞ」

「うるさい、フィリップ」

 遮ったのはヘレンさんだ。そしてそのやりとりからこの二人が明先輩、のぞみ先輩であることを確信した。

「レイコちゃん、聖女様はな、聖騎士団の団長でもあるんじゃ。ここで見た女の騎士たちはみな、聖女様の部下なのじゃ」

 口ぶりからネリスさんは真美先輩、心配そうに横にいるマルスさんはカサドン先輩だと私は納得できた。

「そうだ玲子ちゃん、あのね、まほちゃんとみほちゃんは東海村の新発田先生のお嬢さん、あかねちゃんは榊原先生のお嬢さんなの」

 聖女様は説明をつづけてくれた。

「そうだったんですか、でもなぜ私達はこちらに来たんでしょう?」

 とたんに聖女様の表情が暗くなった。

「ごめん、ルドルフのせいだと思う」


 実は聖女様達は、以前こちらの世界に転移してきたことがあったそうだ。一度地球の世界に戻ってきたが、昨日から今朝にかけての間にまたこっちに来てしまったという。そのとき聖女様の養子のルドルフくんが、私達を連れてきてしまったというのだ。

 私がその話を理解しようと苦労している間に、みほちゃんが言った。

「るーくんはどこにいるの?」

 それに対して聖女様は、

「今はここにいない。呼べば来るから。あとで会わせるから」

と、とても申し訳無さそうに答えた。


 窓の外が一瞬暗くなった気がした。そして聖女様が、

「ルドルフが来たわ。会いに行きましょう」

と言った。ルドルフくんが来たのが何故わかり、どうしてこの部屋を出なければいけないのかわからなかった。


 とにかくみんなで聖女様のあとについて歩き、今朝私達がいた中庭に出た。そこには大きなドラゴンが座っていた。

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