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第24話 ステラ姫

 私達は聖女様により国王陛下に紹介された。

「みな、事情は聖女アンから聞いている。苦労をかけていること、遺憾に思う。王として、みなの生活や教育などは責任をもつことを約束する。聖女アン」

「はい、陛下」

「引き続き、この四人の世話をたのむ」

「はい、陛下」

 あとで説明されたところによると、これで正式に私達は国の保護化におかれることになったとのことだ。

「では足労だが、我が孫に会ってやって欲しい。ミハエル王子、案内してやってくれ」

「はい、陛下」


 先頭に立つミハエル殿下は聖女様の夫ステファン殿下のお兄様にあたる。どことなくステファン殿下と似たところもあるし、兄弟仲は良好と聞いている。ミハエル殿下はヴェローニカ様をエスコート、その後ろでステファン殿下も聖女様をエスコートして更にその後ろに私達が続く。ステファン殿下が聖女様をエスコートしているのだが、どうも聖女様がステファン殿下を引っ張っているように見え、自然に私は笑いそうになってしまって困った。聖女様はステラ様に早く会いたいのだろう。そう言えばステラ様の名前も聖女様が決めたと聞いている。


 明るい部屋でステラ様は寝かされていた。ついていた女性が、

「聖女様、ステラ様はよくお休みでございます」

と言うと、聖女様は、

「そうですか。サビーネ、この子達にステラの顔をみせてあげていいかしら」

「どうぞ、御覧ください」

 手招きされ、ステラ様の小さなベッドに近づく。なるべく小さな足音で近づいたつもりだが、ステラ様は目を開いた。お母様似の美しい金髪、お顔もかわいい。将来やっぱりヴェローニカ様のような美しい女性に育つだろう。

「ステラ、聖女様のお仲間だよ。こちらがレイコ、こちらがマホ、それからアカネ、ミホだよ。みんなともだちになりたいそうだ」

 ヴェローニカ妃殿下が私達を紹介してくれた。

「もっと近づいてやってくれ」

 そう言われて私達はベッドの枠にふれるところまで前に出た。するとステラ様は私のほうに手をのばしてきた。自然と私が手を伸ばすとステラ様は私の手の先を握り、笑ってくれた。

「あ、ずるい」

と聞こえたのは、聖女様の声だろう。子どもたちも手を伸ばすと、ステラ様は順々に手を握った。

「いいな、いいな」

とまたも聞こえ、小声で「いい加減にせい」とネリス先輩に注意された。聖女様の方を見るとステファン殿下につかまったまま、聖女様は口を尖らせている。失礼ながらこういうところが聖女様のかわいいところである。


 ステラ様のベッドのところでほんわかとした時間を過ごしていたら、

「玲子ちゃん、ちょっと」

と聖女様に呼ばれた。


 呼ばれていった先はステラ様の部屋のはじの応接セットだ。すでにミハエル殿下、ヴェローニカ妃、ステファン殿下が着席している。聖女様に導かれてミハエル殿下の正面に座らせらせられた。

「私から話しましょうか?」

と聖女様が言ったが、ミハエル殿下は、

「いや、私からきちんと説明したい」

とおっしゃられた。


「レイコさん、率直に言いますが、あなたたち四人にステラの遊び相手になってほしいと思っているのだ」

「はい、その事自体、私には異論はございません。あの3人も喜ぶでしょう」

 私はまほちゃんたちを見ながら言った。

「それでだな、君たち四人の居場所なのだが、大変申し訳無いのだが王宮へ移ってもらえないだろうか」

「え」

「レイコ殿、私から説明しよう」

 ヴェローニカ妃が発言された。

「本当は私としては騎士団が古巣でもあるし、私達が騎士団に行くという手もある。ただそうすると、第一王子夫婦・第二王子夫婦が一箇所に集中してしまい、警備上好ましくない。大丈夫ではあるのだが、聖騎士団への負担が大きくなってしまう」

 すると聖女様が口を挟んだ。

「聖騎士団としては、十分に対応可能な負担でありますが」

「ははは、正確には近衛騎士団から不満が出るのだ。ステラを警備させろと」

「ヴェローニカ様は第三騎士団の元団長として、それでよいのですか」

 聖女様はとても不満そうに発言する。

「まあまあそう言うな、アン。そりゃ私が以前の立場ならアンと同じ意見だよ。ただ、立場というものがな」

「ヴェローニカ様が、立場、とおっしゃいますか」

「言うようになったな、アン」

「はい、聖女ですから」

 ようやく私は、二人は単純に冗談の応酬をしていることが理解できた。

「レイコ殿、実を言うとな、アンたちが女学校にあがったころ、騎士団どころか病院とか宮廷とかで四人の取り合いになったんだよ」

「そうなんですか」

「ああ、大変だった。ただ、それはアン達自身が解決したんだ」

「え」

「自分たちはまだ適性が明らかでないから、全部勉強したいと言ったんだ」

「はあ」

「レイコ殿、よいか、これを8歳の子たちが理路整然と言うんだぞ」

「それはすごいですね」

「ま、私としては第三騎士団が女性騎士団であることを最大に利用して、なるべく訓練とか警備は我々がやったがな」

 私はそろそろ話を戻す必要を感じた。

「とにかく、あの子達3人の意見も聞いて、お返事いたします。落ち着いて考えたほうがいいでしょうから、一旦帰ってからお返事いたします」

「ああ、それが良いだろう。あとな、君たち自身のこともあるんだ」

「そうなのですか」

「さっきアンたちが取り合いになったことを話したろう」

「はい」

「その聖女様が見つけてきた君たちだ。存在が明らかになると、やはり方方から来てほしいと要請が来るだろう」

「そうですかね」

「ああ、特にレイコ殿、君が危ない」

「うむ、君はアン達同様の学問に詳しいそうじゃないか」

「そうですね」

「だから当面は、王家または聖騎士団の庇護下に置いておくのが妥当だと思う」

「はい」


 話が終わり、ステラ様のところに戻ると、子どもたちがとても楽しそうにしていた。聖女様の護衛の女騎士たちが、微妙に視線を泳がしていることに気がついた。

「聖女様、護衛の騎士さんたちも、ステラ様にご挨拶がしたいみたいですよ」

「そうだよね、わかるんだけど、私から言い出しにくかったんだよね」

 聖女様はミハエル殿下のところに行った。

「殿下、私の警護の者にも、ステラ様にご挨拶させていただけないでしょうか」

「ああ、そうだな、将来は警護を頼むことになるからな」


 許可が出たので女騎士たちはひとりずつ、ステラ様のところに行った。その顔は全員、騎士でなく一人の女性のものとなっており、とても美しかった。


 気がつくと隣にミハエル殿下が来ていた。私は話しかけた。

「大人気なのですね」

「うむ、ありがたいことだ」

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