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ソラノセカイ:理想郷  作者: Suzu8
第一部三章 『波乱の始まり』
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第四話 『魔族出現』

 ソラとリゲルはメリクリウス邸に残って鍛練を続けることにしたが、シリウスは任務があるということで先に騎士団に帰っていった。シリウスがいなくなってやることがなくなったリゲルも、本来の役目だったソラへの指導に加わることになった。


「おい、魔力が剣の先端の方までこもってねえぞ。ゆっくり流す感じだよ」


「突きのときは姿勢を低くですぞ」


「あ〜〜〜難しい!二人とも教えていることは間違っていないんだろうけど、魔力関係のことと実際の剣術関係のことを同時に教えられても、できないんだよ〜」


「それは失礼をいたしました。ソラ様は飲み込みが早いゆえ、無理を言いすぎてしまいましたな。少し休まれますか?」


「いやいや、まだ全然大丈夫。あと、”様”はつけなくてもいいって」


「おいおい、これくらいでへばってちゃ一流の騎士にはなれないぜ」


「先輩は教えてる姿はいいんだけどなあ…。もったいない」


「どういう意味の『もったいない』だよ!」


「そういえば、フィーデルさんってやっぱり元騎士ってだけあるし、体格いいな〜」


「いえいえ、私のような老骨と比べてあなた方はまだ若いですから」


「いや、老骨って、今でも全然俺より強そうなんだけどね」


「その身体のおかげで私はここまで長く生きてこれたのかもしれませんな」


 そんなふうに仲良く話しながら稽古をしていた三人の注意は、突然近くの山でゴオッという音とともに立った巨大な火柱に奪われた。そして、近くにあった木についていたスピーカーから放送が流れた。


『緊急事態、緊急事態、近くにいる騎士は直ちに今現れた強大な力の出どころに向かってください。また、近くにいる住民の方々は避難を。繰り返します、近くにいる騎士は……』


「なんだあれ!?」


「何かはわからんが、確実にヤバいことはわかる…!ソラ、俺たちも行くぞ!でもお前はまだ戦えないから無理すんなよ」


「その優しさには感謝するけど、大丈夫だ、先輩。俺も行く。俺にも何かできることはあるかもしんねえし」


「はっ、やっぱりシリウスの言ってた通りだな。よし、じゃあついてきな」


「了解!そういえば、フィーデルさんはどうすんだ?ついてきてくれると心強いんだけど」


「恐れながら、私はメリクリウス家の執事という立場でございますので、ここに残らせていただきます。お力になれず、申し訳ない」


「いいっていいって、あんたは悪くないよ。元気でな。また今度稽古よろしく」


「そちらこそ、お気をつけて。ご武運を」


「ああ、行ってくるぜ」


 ソラとリゲルは、二人で目的地に向かって駆け出していった。






 山の上では、十数名の騎士たちが一人の変わった風貌の男を取り囲んでいた。その男は二本のツノが頭に生えており、マントを羽織っていた。また、男の体からは炎が立ち昇っていて、彼の足元の草は灰へと化していた。


「そのツノ、貴様魔族だな!なんの目的でここに来た」


「おいおいおい、そんなに警戒しないでおくれよ。別にお前たちと戦いに来たわけじゃないんだしさ。オレは、ただ一人の男、”ソラ”とやらを探しに来ただけさ」


「その男になんの目的があるんだ?何をする気だ?まず、お前は誰だ!?」


「そんなに立て続けに質問するな、困るだろ。オレは”七大魔・業火”、ブラン・インフェルノだ。お前たちがその”ソラ”とやらを差し出してくれるなら見逃してやるよ」


「そんな者知らん!知っていたとしても、お前のような危険な者に渡せるか!」


「これはこれは困ったな。嫌だなあ人間って、燃やすと臭いんだよな…」


 騎士たちが剣を構えてブランを囲んでいる間に、ソラとリゲルが現場に到着した。


「なんだあいつ!?なんか身体が燃えてて、ツノ生えてる!」


「ヤバい、こいつめっちゃ強えぜ…!誰か隊長レベルがいねえとまともに戦えねえくらいに」


「おやおやおや?そこにいるのは”ソラ”とやらじゃないか。わざわざオレの方まで会いに来てくれたのかい?手間が省けて助かるよ」


「…!!?なんで俺の名前を知っている!?」


「それじゃあオレについて来てもらおうか、”ソラ”。抵抗しなければ燃やさないでやる」


 ブランは脅しのように、炎を手から出した。その炎は、近くにあった木々を一瞬で燃やし尽くした。その行動に死の恐怖を感じたソラと騎士たちだったが、震えながらソラは口を開いた。


「なんで俺が、お前について行かなきゃいけないんだ…?」


「オレの勝手だ。来い、”星の器”」


「星の、器…?」


「行くな、ソラ!こいつについて行くな!みんな、ソラを守れ!」


「周りが邪魔だな。焼いておくか」


 ブランが手を構えた瞬間、ソラの背後に突然雷が落ちた。その雷の跡には、ブランとは別のツノの生えた男が立っていた。

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