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プロローグ 『星空の下で』
満点の星空だった。多数の星々が闇の中で周りに負けじとさまざまな色の光を放っている。
街の灯りが見えないような山奥の草原で、一人の少年が仰向けに寝そべって空を見上げていた。
「このままずっとこの星空を眺めていたいな」
幼い願望を口にしながら、彼は同じ姿勢のまま双眼鏡を構え、星々の観察を始めた。
彼が観察を始めてからまもなく、空の果てから一筋、また一筋、と光が降り注いできた。
少年は双眼鏡を下ろし、その光-流星を自分の目で見ることにした。
宇宙という人智を超えた存在から放たれる無数の光の筋は、言葉に表せないくらい美しいものだった。
ーーこの美しい星空の向こう側には、どんな世界が広がっているのだろうか。
突然、流星の中に鮮血のような真紅の光が現れた。
その光が彼の視界に入った直後、彼は今までに無いような猛烈な眠気に襲われ、体の自由を失った。彼の意識は、夜の深い闇の中に沈んだ。