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第一話 転生は突然に

リクエスト頂きました要素を詰め込んだ小説です。

[リクエストされた要素]

◯ざまぁされる幼馴染の美少女に転生して運命を変える。(相手は美少年の主人公。性格もリクエストで細かく指定して頂きましたが……上手く盛り込まれているか……)

◯ファンタジーの世界観で。


上手く詰め込めたか不安ですが良かったらお読み下さると嬉しいです。

 「はぁ……ムカつくわ……」

 「どうしたの?スマホ睨みつけて」

 「んー?最近ちょっとハマってる小説あるんだよね」


 都内のとある高等学校。時間はお昼休みであり生徒たちが思い思いに過ごしている。そんな中じっとスマホを凝視している女子生徒が一人。


 彼女の友人はそんな彼女が気になり声をかけて来た。彼女は自身が見ていたスマホを友達に見せる。

 タイトルには

 「幼馴染の婚約者に裏切られましたが幸せです。」

 と書かれている。


 「なにこれ」

 「今流行りのざまぁ小説。代表的なのが悪役令嬢が自分を婚約破棄して来た王子様とかその浮気相手に復讐するのが多いかな?」

 「嗚呼……なんか見たことあるかも」


 彼女のあげた例は友人も書店で見かけたことがある。彼女と違って友人はあまり本を読まないので内容はよく知らないが。

 「ってことは。タイトル見る限りだと主人公の悪役令嬢の幼馴染が王子様みたいな話?」

 「違うよ。逆」

 「逆?」

 「うん。女から男にざまぁじゃなくて男から女にざまぁするみたいな」 


 そう言って彼女はまたスマホを睨みつける。

 「いや面白いけどさぁ…ムカつくんだよね…ざまぁ作品見てると。

 あのね?この幼少期時代の話だと主人公の男の子……あ! 公爵令息ね?

 その子が幼馴染の令嬢に大きくなったら結婚しようね!って花で作った指輪くれるの?」

 「うんうんそれで?」

 「それがまた堪らんのよ。めっちゃピュアでさキュンキュンしたのよ」

 「私たちの心も汚れたよねほんと」


 友人は遠い目をしている。

 「んで幸いなことに幼馴染と男主人公の親が仲良いし幼少期から好き好き言い合っていた二人だから婚約結ぶんだよ。

 幼馴染の方が爵位低いし男主人公と結婚させれば家は安泰ハッピーエンド。そう幼馴染の父親も考えていたんだ。


 そこから男主人公は幼馴染の為にデートの下調べして積極的に誘ったり、贈り物を届けたり身嗜みに気を遣ったり、社交界ではエスコートを頑張ったり! とにかく尽くす。しかもイケメン!」

 「ええ? めっちゃうらやま! 私もそんな彼氏欲しい!」

 「それな。けどさ……」


 彼女はスマホを置きハァとため息を吐いた。

 「その幼馴染がさ? 尽くしてくれる男主人公を裏切りまして……何と王子様と恋に落ちるわけですよ」

 「へ?」

 「王子様がね? 後でわかるんだけど女好きなのよ。幼馴染もかなりの美人設定だから狙われてしまったの。

 王子様は幼馴染を気に入ってしまい、最初は抵抗する幼馴染。でも結局相手の方が格上だから逆らえずついていく」

 「んでそっから?」

 「そっからが幼馴染の本性がクソなのがわかるの」


 彼女はスマホを睨みつけて語る。

 「幼馴染は王子様の口八丁手八丁にまんまと心を奪われたんだよね。顔よし家柄よし。主人公も確かに美形設定だけどそれを超えるスペックを誇るし贈り物も毎回めっちゃ豪華なのさ」

 「うわぁ……」

 「ついでに王子には聡明だけど少し厳しい婚約者がいたんだけどね? 王子はその子と婚約破棄するってパーティーで発表します。そして新しい婚約者に幼馴染を紹介したの」

 「泥沼」


 友人も少しずつ興味を湧かせていた。

 「その結果……主人公と王子の婚約者は二人して傷物に二人はお互いに惹かれ合うわけ。

 片や金銭感覚が歪みまくってしまいまともに王妃教育受けてこない幼馴染と他の女と浮気しまくって遂には一人妊娠させてしまった王子様。というかそもそも二人とも真実の愛を謳っても結局略奪とか浮気とか色々しての最悪な婚約だから周りに歓迎されない。


 ざまぁされるってよりもさ? 自然崩壊みたいなもんだよね」


 彼女はやれやれと言ったふうにジェスチャーを出した。友人はそれらをふんふんと頷いて聞いている。


 「なるほどね。んで? アンタは何にムカついてたの?」

 「そりゃあこの幼馴染ですけど? イケメンでしかもあんな尽くしてくれる相手がいるのにこれはないでしょ!

 私なんて彼氏できたこともないのに!」

 「嗚呼……僻みもあるか」

 「違います!」


 そんな言い合いをしているとチャイムが鳴ったお昼休みは終了だ。

 友人は自分の席に戻って行った。


 (そりゃあ少しはあるけど……)

 彼女は思っていても口にせずにスマホをカバンにしまった。



 ◇



 そして……

 学校が終わり帰宅途中の彼女はお気に入りの小説家の作品が書籍化し、それが販売されるとのことだったので書店に向かっていた。

 「ふふふ……楽しみだなぁ」

 実はこの作品を描いてたのが昼間に話したざまぁ作品の作者と同一人物である。


 故に次の作品が始まると真っ先に観にいくのが彼女の楽しみになっていた。

 そんな時だ。


 「危ない!」

 「え?」


 突如ざわめく周りの人々。彼女は驚いて目を見開く。自分の斜め前からトラックが迫っているのだ。

 トラックの運転手は居眠り運転している。故にブレーキも何も動かない。


 (嘘でしょ。……私死ぬの?)

 その瞬間は彼女にとってゆっくりであった。けど逃げられないのは分かっていても訪れる死の恐怖に震えるしかない。

 

 彼女にとってゆっくりのその時間は周りにとっては一瞬。瞬間彼女の細い体に大きなトラックが突っ込みそのまま電柱まで突っ込んでいった。


 彼女の短い人生は幕を閉じた。



 ◇



 オギャーオギャー! 

 「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」

 (あれ? 私死んだ筈じゃ…)


 彼女は自身の耳を疑っていた。耳に聞こえるは赤ん坊の産声である。目を開けるとそこには見知らぬ……それでいて美しい女性の顔が目の前に入った。


 蜂蜜色の美しいふわふわの長い髪に紫の凛とした瞳、透き通る様な白い肌が特徴的な美人。

 (誰?)

 彼女はその女性をキョトンとして見つめた。しかし自然と涙が溢れていく。


 「あらあらすぐ泣き止んで……ふふふ会いたかったわ!私の天使」

 そう言って女性は彼女の額にキスを贈る。

 (あれ? もしかして私赤ちゃんになってるの? この人もしかして私のママ?)


 色々と混乱していると次に彼女たちのいる部屋のドアが開いた。入って来たのは黒い整った髪に髭を生やしたダンディな男性だ。

 服装は高級そうな品のいい貴族が着る様なスーツ姿。


 男性はニコニコ顔で女性の元へ行きそして抱きしめた。

 「よく頑張った!私たちの子を産んでくれてありがとう! "メリル"!」

 「ふふ……それはこちらのセリフですわあなた……」


 そして男性は次に彼女の方を向きニコニコして女性から受け取って抱っこした。

 「何て可愛いんだ……。私が君のお父様だよ」

 そう言って優しい笑みを浮かべる男性に彼女は少し安心した。


 元々の両親から離れるのは寂しいがもう自分は死んでる。恐らくここが自分の今世。それならば諦めるしかない。少し悲しい気持ちを抑えつつも自分の親が優しそうなことに安心していた。だが一つ気になることがある。

 (メリル……ってどこかで聞いた気がするわね)


 「あなた? この子の名前は決めたの?」

 「勿論決めたよ。この子の名前は"エリーゼ"だ。私の祖母の名だがね? 祖母はとても優秀で我が家を女性でありながら様々な経営手腕を使い盛り立てた方だ。

 我が"ルドウィック家"は彼女の功績なしではここまで成長できなかっただろう」


 その言葉に彼女……改めてエリーゼは我に返る。

 (エリーゼ・ルドウィックって……あのクソ幼馴染の名前じゃないのよ!)

 と。


 あの日友人に教えていたあの小説に出てくる主人公を裏切って王子と婚約する幼馴染と名前が全く同じだ。しかも母親らしき人もメリルというがこれも共通点。しかも前世の自分の家にはない様な高そうなアンティーク家具などもあり如何にも金持ちの家。


 (ま……まさか私……小説の世界に転生したの!?)

 エリーゼは生前。ネット小説を読み漁り勿論異世界転生ものも読んでいた。

 それ故に知識はある。しかしそれが本当に起こるとは思わなかった。


 だが仮にそうだとすればまずいことが起きる。

 (原作通りだと私ざまぁされる…そんなの嫌よ! あれでも……何でざまぁされたんだっけ……)

 エリーゼはもう一度小説の内容を振り返る。


 幼馴染がおかしくなったのは王子と出会ってからである。

 (なるほど全部あのクソ王子のせいか……つまりあいつを相手にしなければ……勝てる)


 しかも尽くしてくれるイケメンな旦那様も手に入るかも知れぬ。そんな思いを抱いていると今世の両親はキョトンとして

 「しかしこの子泣き止むの早くないか?」

 「近頃の子はそうなのではないでしょうか? ふふふ真剣な顔してるわ。何を考えてるのかしらね」

 と微笑ましそうにエリーゼを見つめていた。

登場人物

  エリーゼ・ルドウィック

 このお話の主人公であり、話内で登場する小説のざまぁされる少女。ルドウィック伯爵家の令嬢であり話内で登場する主人公の婚約者であり幼馴染の関係である。


 ◯この話の主人公の転生体エリーゼ

 冒頭に登場する普通の女子高生である"彼女"の転生後。転生後は寧ろ聖地巡礼と似た様な感覚で楽しむが次第にエリーゼの婚約者である主人公にガチで惚れる。

 原作エリーゼに憤りを感じていて王太子が大嫌いだし原作エリーゼも大嫌い。


 ◯話内に登場する小説の原作エリーゼ

 途中までは主人公と仲睦まじく過ごしていたが、王立学園に入学後、王太子殿下"ルイス"と出会ってから彼との関係に溺れてしまう。その後ルイスに気に入られ新たな婚約者になるが、それが破滅の始まりだった。

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