表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

7.秘められた真実

「祖母から聞いた話なんですが……」


 玲奈の声が、囁くように小さくなる。まるで、誰かに聞かれることを恐れているかのように。


「あの事件の後、学校で奇妙な儀式が行われるようになったそうです」


「儀式?」


「はい。毎年、失踪事件が起きた日に、旧校舎の地下室で何かが行われているらしいんです」


 岬は、思わず息を呑んだ。その息は、恐怖そのものを飲み込んだかのようだった。


「そんな……本当なの?」


「私も噂程度にしか聞いていません。でも……」


 玲奈は、周囲を警戒するように視線を巡らせた。その仕草は、影に潜む何かを探しているようだった。


「最近、深夜に旧校舎から奇妙な音が聞こえるって話があるんです」


 その瞬間、岬の頭に激しい痛みが走った。


「くっ……」


 目の前が真っ白になり、頭の中で何かが弾けたような感覚があった。そして、まるで古びた映画のフィルムが回るように、断片的な映像が次々と浮かび上がった。


 小さな女の子が、真っ暗な廊下を歩いている。泣きじゃくる声。そして、何かが女の子に近づいてくる――。


「先生! 大丈夫ですか?」


 玲奈の声で我に返る。岬は、冷や汗を拭いながら微笑んだ。その笑顔は、亀裂の入った仮面のようにもろく見えた。


「ありがとう、玲奈さん。大丈夫よ」


 その夜、岬は再び悪夢にうなされた。旧校舎の廊下。逃げ惑う自分。そして、何かに追いつかれそうになる瞬間――。


「はっ!」


 悲鳴とともに目を覚ました岬は、自分のアパートのベッドの上にいた。窓の外では、満月が不気味な光を放っている。その光は、岬の部屋に忍び込み、影を歪めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ