表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

362/443

第339話 これで最後だから

 土曜の朝からという予定だったけど、ちょっと前倒しして私たちは金曜の夜に新宿ダンジョン入りした。

 何故って?


 この豪華なホテル並み設備を堪能し尽くすためですね!!


 土曜日の朝から攻略はしようってことで、金曜日の夜は颯姫さんたちがいろいろ設定をいじった結果、バーカウンターは出るわ、なんちゃってバルコニーはでるわ、そこにジャグジーは出るわで凄いことになった。

 事前に水着もってこいって急に言われたときは何かと思ったけど、ジャグジーかぁ。スーパー銭湯とかのイメージじゃなくて、アメリカンな感じのジャグジーだね。


 あいちゃん……心配してくれてるところ大変申し訳ないけど、めちゃくちゃ楽しいです。

 特に、ジャグジーにバス屋さんがバブルバスを入れすぎた結果、爆笑動画のように泡が溢れて阿鼻叫喚の騒ぎになった時とかお腹がよじれるかと思った。ヤマトもその泡の中に飛び込んできたし、はしゃいじゃって捕まえるのが大変だった!


 目を吊り上げてバス屋さんを叱ってる颯姫さんと、うなだれながら正座してそれを聞いてるバス屋さんの姿もなんか見慣れたなあ。


 もうひとつ良かったなと思ったのは、颯姫さんの表情がすっきりしていたことだ。前回見せた戸惑いや思い悩む様子は消えて、悪ノリとも言える居住区域の改造を楽しそうにやってた。


「もうこれで最後だと思うから、ぜーんぶ設定見て、やりたいものはやろうと思って。後から『せっかくだからもっといじっておけばよかったな』なんて思わないくらいやった方が、振り返ったときに未練ないでしょう? もしかしたらプールが出せるかもと思って水着のことを言ったんだけど、さすがにプールは出なかったわね」

「上野さんを救出した後でも、たまに来たらいいんじゃないですか? こんな高級設備のホテル、そうそう泊まれませんよ」


 まあ、私たちは割とお金があるから無理じゃないけど、「設備を楽しむためにホテルに泊まる」って考えは私にはない。旅行行って寝るために泊まるって方が考え方は近いかな。パパもママも旅行に行くと観光し倒すタイプだし、ホテルはお風呂入って寝るだけのところだったことが多い。


 でも颯姫さんは、私の言葉を聞いて口をへの字に曲げた。


「嫌です。いくら設備が豪華でも、風景は全部リアルな投影映像で、スマホも使えないところになんか泊まりたくない。しかも出入りするために戦闘しないといけないとか」

「それもそうですねー!」


 出入りするときに戦闘必須のホテルは草だし、スマホ使えないのは痛いよね。クリスマスに私のレベリングのために泊まり込んだとき、「ソシャゲの連続ログインが途切れた」ってママがへこんでたからなあ。


 金曜日の夜は遊んだけど、土曜日の朝はもうみんな臨戦態勢だった。

 相変わらずお味噌汁を飲みながら彩花ちゃんが「戦闘の味」とか言ってるけど。


「今日の予定は、まず90層から99層を目指して、姫のレベリング。多分あとLV2上げるつもりでいれば、MAG120行くんだよな?」

「うん。私の場合、1LV上げて1上がるときと2上がるときがあるから、確実性を求めるとLV2上げるつもりでいないといけない」


 ライトさんの確認に颯姫さんが頷いている。……LV1ごとにMAGが1か2上がるって凄いんだよね。聖弥くんがほぼ全てのステータスで「LV1上がるごとに1上がる」になってるんだけど、他のステータスはともかくMAGとRSTでそれは凄いんだよ。


「颯姫ちゃん、今LVいくつなの?」

「95です。95でMAG118だから、凄く高いわけじゃないんです」

「いやいや」

「いやいやいや、高いって」


 ママの問いかけに答えた颯姫さんに、ライトさんとタイムさんが揃って否定している。声には出さなかったけど、私も「いやいや」と手を振っていた。


「LV1上がるごとに1以上のMAGが上がる人は稀少なんだってば」

「蓮くんとゆ~かちゃんは別格として、姫も聖弥くんも十分一流なんだよ。俺なんかLV92でMAG37だよ。計算してみたら30%ちょっとの確率でしか上がってなかった」


 タイムさんとライトさんが物凄い正論を颯姫さんに向かって説いている。あー、それはリセット前の私とあまり変わらない状態ですねー!

 そっかぁ、それでもLV90くらいまで上げればジョブヒーラー取れるようにはなるんだ! 普通はそこまでLV上げられないけど。


「想定される敵は……正直、前回潜ったときの感じだとエリア分けというより強さ分けって感じだったね。上級ボスまで出てたし」

「この前はセフィロトの眷属召喚を使って経験値稼ぎしようとしたけど、上級の一般的なモンスターを倒して、LV90超えの藤さんのLVが上がるかって言うとかなり微妙だと思う。だから、今回はサクッと倒そう。もちろんセフィロト自体強敵だから、柚香ちゃんには片っ端から麻痺させてもらって」

「了解です!」


 私はポーチをポンと叩いて準備万端なことを示した。

 アイテムバッグの中には寧々ちゃんに作ってもらったスパイクも入ってるし、これで氷の上でも行動できる。前回より更に効率的に攻略が進むはず。


 99層まで行っても一度地上に出ないと颯姫さんがリザレクションを習得できないけど、あと2回潜れば終わりだと思うと気が引き締まる。

 よし、頑張るぞ!


読んでいただきありがとうございます!

活動報告に「柴犬無双・登場人物紹介」を作りました。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1600476/blogkey/3242605/


面白い、続きが気になると思っていただけたら、ブクマ、評価・いいねを入れていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ