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【番外編】SS集

カクヨムのサポーター限定SSに収録していたものです。元旦なので中3の初詣の話をと思ったのですが、地震とかでそれどころではなくなってしまったので……。(うちは被災してません)

今年もよろしくお願いいたします。


1・柳川家の日常(?)     21話と22話の間の話です。


 帰宅してからアイテムバッグからアポイタカラを出して見せたら、ママが大興奮してた。私も大興奮しちゃうよ。やっぱり綺麗だもん。

 ママとふたりで、リビングのあちこちにアポイタカラを立ててみる。うん、なんか間接照明とかつけたらすっごいいい雰囲気になりそう!


 そんなことして遊んでいたらパパが帰ってきて、リビングを見て驚いていた。


「ユズ、なんだこれ? ダンジョンで拾ったのか?」

「うん。サザンビーチダンジョンの隠し部屋で見つけたの。アポイタカラっていう金属で、ヒヒイロカネの色違いなんだって。綺麗だよねー」

「綺麗だなあ。1本くらいリビングに飾るか? ほら、アメジストドーム飾ってる家みたいに」


 パパもアポイタカラが凄く気に入ったみたい。うーん、リビングにアポイタカラ……今飾ってるのは遊びだけど、それは普通の家じゃないなあ。


「それはダメよー。泥棒に持って行ってくださいって言ってるようなもんじゃない」


 とても常識的なママのツッコミが入りました。それだよね。


「番犬ならヤマトがいるだろう?」

「ヤマトはユズとダンジョンに行くことがあるでしょ」

「……ママがいれば防犯は……いや、なんでもない」


 パパが言葉を不自然に切ったので振り返ってみたら、包丁の刃を上にして両手で握ったママが立っていた。怖っ!!

 包丁って、刃を上にするか下にするかで殺意のあるなしがわかるって言うんだよね。

 もちろんママの今の持ち方は「殺意あり」の持ち方だ。絶対わざとだけど。


「余計なこと言うと長生き出来ないのよ?」

「ママ、俺に保険金掛けた!?」


 夫婦漫才始まったー。もう、お寿司先に食べちゃおうかな。うちに帰ってすぐ私とヤマトはお風呂に入ったけど、さすがに今日はいろいろあって今頃疲れが出て来たよ。


「パパ、今日9時から雑談配信するから、早くご飯食べてリビングを私に明け渡して」

「おっ、雑談配信するのか! 会社でも今日はユズの話してる人たちがいたぞ。……なんか、疲れてる人ほどハマるみたいだな」


 まるで人が麻薬みたいな言い方はやめていただきたい。


*****


2・フラグは既に立っていた。


 私ね、ある日ふと思ったんですよ。


 ヤマトのスピード凄いじゃない? 私を引きずって平気で動くじゃん?

 リード付けても足がもつれるくらいのスピードで引っ張られるんだから、ローラーブレードを履いたら超スピードで移動出来るんじゃ!? って。


 思いついた瞬間、私天才かと思ったね!!

 朝の散歩の時に念のため初心者の服を装備して、いそいそとローラーブレードを出して履いて、お散歩へゴー!


 本当はこの時間は私のランニングタイムでもあるんだけど、思いついたらやりたくなるじゃん! サザンビーチダンジョンも朝6時なら空いてそうだし、と思ってヤマトに引っ張られてダンジョンへ。


 道路のアスファルトのおうとつが、スピード有るせいで凄い衝撃! しょうがないので白線の上を滑る私。よい子はマネしちゃいけない奴だ。

 そして、なんとかやってきました、お久しぶり感のあるサザンビーチダンジョン!


 ダンジョン入り口までの土むき出しの地面は、ローラーブレードを履いたままててててっと走ってやり過ごす。

 ダンジョンに入ると、ヤマトが飼い犬モードから従魔モードに切り替わって今までかかってたリミッターが外れたように走り出す!


 さあ、超スピードよ、出ませい!


 ……と思った瞬間、私はこけていた。こけてもリードは放さなかったので思いっきり引きずられた!


「ヤマト! ステイ! ステイ!! いたったたー! やだぁー! 地面がでこぼこなのわすれてたー!!」


 阿鼻叫喚とはこのことだよ……。念のため、って初心者の服を着てて良かった。これが普通のランニングウェアだったら間違いなく破けてた。


「あっ、女の子が犬に引きずられてる!」

「あれってゆ~かちゃんじゃないか!?」

「すげえ! マジでこけてる!」


 2層から上がってきた人たちが私を見てなんか感動して拍手をしている!! 


「お願いですぅー! この暴走柴犬を止めてぇぇぇ!」

「いやそんな、マスターにできないことを言われても」

「ヤマトが本気出すと10tトラック跳ね飛ばせるって聞いてるし、俺たちじゃ無理!」

「リード、リード放すんだ!」

 

 そうか、やっぱりそれしかないか。私は諦めてリードを手放した。

 元気よく駆けていくヤマト、それを見守る満身創痍の私……。


 ダンジョンでローラーブレード、ダメ、絶対……。


*****


3・柳川家の適当な食卓


 今、私の目の前にジャガイモとにんじんとタマネギと豚肉がある。

 これを適当に切って、油で炒めて煮込んだものを「イ○ブイ」と言うらしい。


 ほら、イー○イっていろんな方向に進化するでしょ?

 ここから味付け次第でカレーにもシチューにも肉じゃがにもなるこれは、まさしく「○ーブイ」なのだ。


 

 柳川家には家訓がある。

「中華料理を食べたかったら、そこら辺にある物をごま油で炒めて中華風調味料を入れてオイスターソースを入れればそれっぽい物ができる」ってやつ。

 いや、最近気づいたけどこれ一般的な家訓じゃないよね……。


 でも、「和食が食べたかったらとりあえず煮て和風だしを入れろ」とか「洋食が食べたかったらとりあえず野菜とウインナーを煮込んでコンソメを入れろ」とか、雑料理の家訓が多い。


 あともうふたつ、「調味料のさしすせそは守れ」「弱火で5分は強火で1分に置き換えられない」というのもある。


 ……家訓じゃないね!? これ、ママが巧妙に料理の心得を私に刷り込んでるだけだね!?

 わざわざ「柳川家家訓」って、印刷した物がキッチンの冷蔵庫に貼ってあるのなあぜなあぜ? と思ってたけど、してやられてたわ!


 とはいえ、全く無駄なわけじゃない。

 さしすせそ――砂糖・塩・酢・醤油・味噌ね――の順番を守れって言うのは、理論上それが一番いいからだそうだ。


 砂糖の分子は塩より大きく、塩がしみこんだ後だとしみにくい。隙間がなくなってるから。

 それをママから聞いたとき、すっごい驚いた。そうかー、分子がでっかいのかー。それじゃあ仕方ないなー、って。



 さて、目の前のイーブ○をどうしようかなあ。

 うーん、今日は和食の気分だから、コーラで煮込んで肉じゃがにしよう!


読んでいただきありがとうございます!


面白い、続きが気になると思っていただけたら、ブクマ、評価・いいねを入れていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いします!

挿絵(By みてみん)

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