表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まきもまさきもまみむめも!  作者: 森嶋直斗
8/20

まきも まさきも まみむめも⑧ 超超大型犬のトリミングって、トリミングじゃない!全身ずぶ濡れ泡まみれ!飼い主が行方不明?

なんとかなるかなと、引き受けた超超大型犬のトリミングをしないといけない。シャンプーするにも家庭のお風呂場には入らない。だいたい、シャンプーも足りない。なんでも安請け合いすると、大変なことになるぞ!

2026年の元旦だ。新年の初仕事は、オールドと、ウルフのうんちタイム。

若い2頭は、爆発的に食べて、爆発的に出す。ドッグラン?が出来たので放して

おけば、勝手にトイレスペースでする。どちらかがすると、匂いを嗅ぎに行き

もう1頭もすぐに出す。終わって、呼べばすぐに来る。


元旦は、自宅前が忙しい。伊良湖岬で最も人気が高い初日の出もスポットで、

年越しで夜通し遊んでいた若者たちの最後のイベントが、ここ日出町で初日の出

を見ることだ。広い駐車場の車を入れる人、渋滞動かなくなるのを覚悟した上で、

日出園地で丁度、初日の出が見れるのを狙っている人。渋滞になんか全く予測して

なくて、ただ走り抜けたい人のくるまで、朝5時から夏の軽井沢のような人ごみに

なっている。


客:わーでっかい!、ぬいぐるみみたい

客2:モップが走ってる(笑)

巨大な2頭が、じゃれあっているのは愛らしく目を引く。

客2が、農業用ネットから手を出して、呼ぶような仕草をした。

ウルフ:グーバウ!

ウルフが、走って行って、目の前で大きく吠えて威嚇した。巨大な犬が走ってきて

目の前で吠えられて、客2は、手を縮め立ちすくんだ。

まわりの客も近くに寄ってきていたが、ウルフが威嚇している姿を見て、みんな

散っていった。


昼近くになって、犬も人も起きてきた。ハイジ、チベタンを交代でドッグランに

放し、トイレを済ませて、今度は田を連れてくる。田は、引っ張って来ないと

1日寝ている。食べる量も少ないし、水も飲まない。

マキ:田っちゃん行くよ。

田が、ゆっくりと立ち上がった。

真樹:うわー!

田がゆっくり伸びをしたんで真樹とテレビが、じゅうたんごと壁際にぐちゅっと、

つぶされた。

真樹:伸びをしたら、壁から壁まで足が付くんだね。‥驚いたぁ・・

マキに引っ張られて、田がしぶしぶ出て行った。超巨大な犬がゆっくり歩いて出て

きたので、初日の出を待って集まっている客が大騒ぎになって、

客A:げーっ、写真撮って良いですか!

客B:わー、噛みませんか!

だんだん距離を詰めてくる。ドッグランをゆっくり進み、トイレスペースで、

振り返り、田が、もじもじ構えて、うんちをし始めると、観客が撮影をやめて、

ちりじりバラバラ消えていった。

田が、2分ぐらい続く長~い、シッコをして、長~い睡眠の準備万端。ゆっくり

部屋に戻った。

初日の出は、だいたい毎年、7時ぐらいで、結構明るくなってから火が出てくる。

4時から起きている。マキの家では、人も犬も初日の出を待たずに、爆睡だ!


日が昇ると、あっという間に人も車も消えて普段より静かだ。緩やかな北西風が

目の前の海岸に寄せる波をしずめる。北西にビューホテルの丘を従える南東下が

りのマキの自宅前は、無風状態で凛とした冬の冷気が、静寂感を際立たせる。


マキ:うわー爆睡しすぎた。オールド!シャンプー!

慌てて、オールドを起こしに行った。

マキ:ん・・・ん。。どこが頭だ・・

オールドとウルフが絡み合ってねているから大きな毛のかたまりになっていて

どこが、頭か分からない。マキがあっちこっちいじくるので、ウルフが気づいて

立ち上がった。オールドもぐるんと回転すると下から頭が持ち上がった。

マキ:オールド行くよ!

マキが、スタートのポーズをするとオールドが出口に向かって走り出した。

リードをつけていないウルフが追い抜いて走って行くので、オールド負けじと

加速する。リードごと持っていかれたマキが、引きづれれて行った。玄関で、

Uターンしてきたウルフが引きづられている。マキに乗っかってきて、止まった。

真樹が起きてきて、

真樹:だいじょうぶ・・お腹の赤っちゃん心配だなあ。

マキ:ごめん・・もっと、気を付けるよ・・


オールドをシャンプールームに連れてきた。お湯で体を濡らす。真樹も薄着に

なって入ってきた。5分ほどかけてやっと全身の毛が、しっかり濡れた。頭か

らしっかりお湯で毛と地肌を洗っていく。二人でやって30分。今度は、頭か

らシャンプーをかけて、犬用のブラシも使って毛を上から下へとかしながら洗

っていく。オールドの長い毛でシャンプーが良く泡立ち大きなオールドが隠れ

るぐらいだ。

マキ:オールド!伏せ!

オールドを伏せさせて、洗いやすくするとマサキと二人で長い毛と地肌を指で

洗った。今度は、立たせてお腹、胸、足と洗っていく。それまで、静かにして

いたオールドが、足を洗いだしたら、

”ブルブルブルブルブル”うわー、やめてー

真樹の顔が、泡だらけで見えなくなった。

マキ:ガハハはっ、真樹の顔が泡でオールドみたいだ!ワハハ

真樹が、目だけ袖でぬぐって、

真樹:ふー・・ぷっ、

口も見えた。


泡立ったシャンプーをオールドの頭から洗い流す。毛がお湯で肌になじむと、

ちゃんと犬の顔かたちが出てきた。腰の辺りまで、洗ったところでお風呂に

ためたお湯がなくなった。

マキ:美沙さーん!お湯張って!

美沙:ホイホイ、お湯か!分かった!


全身をやっと洗い終わって、

ちょっと休憩だね。オードもオシッコしておいで、

真樹がオールドを連れて行った。


濡れたままで放置はできないのでバスタオルで拭いて家の中に入れた。少し高めの

温度にした部屋で扇風機を両側から2台回してオールドを乾かす。お腹の下や足の

内側の乾きにくい所を美沙がドライヤーで乾かしている。美沙の体がオールドの腹

の下にすっぽっり収まった。

マキ:美沙さん、大丈夫?

美沙:だいじょうぶだ・・時間はかかるかもね。

と、話していたら家のブレーカーが切れた!

マキ:あちゃー・・エアコンもMAXにして、ドライヤーは無理か・・

ブレーカーを入れて、石油ストーブを持ってきた。


マキ:ウルフ!行くよ!

今度は、ウルフを連れて行った。

真樹もマキも手際が良くなった。マキが頭からお湯で洗い、お腹の辺まできたら、

真樹が、頭からシャンプーする。お腹の辺まで洗ったら、マキが頭から洗い流す。

超超大型犬じゃなければこうならない。手際も良くなったので、1時間ちょっとで

洗い終わった。”ぶるぶるぶるぶるぶる”お決まりのぶるぶるも終わってからだと

早く乾くから許せる。ウルフもオールドと同じ部屋で乾かす。

真樹:美沙さん、ちょっとマキといっしょに休憩して。

美沙:待ってました。ドライヤーだけでも腕が動かなくなってきた。

マキは,居間で田と同じ格好で伸びていた。美沙は仰向けで、首までこたつに

入り、真樹は、ウルフとオールドとじゃれながら濡れた毛を乾かした。


夕方6時、ずーと寝ていた。ハイジとチベタンが騒ぎ出した。近くにいた真樹が、

気づいて、トイレに連れて行く。ドッグランで放すだけだ。本当に助かる。

高齢者2頭は、ゆっくり行って、ゆっくり帰ってきた。そのまま自分で部屋まで

帰る。部屋に帰ると2頭そろって、エサ鉢の前でお座りして、ご飯を待っている。

真樹:マキちゃん!ご飯欲しいって!

マキ:は~い・・・どうしようかな・・ドッグフード混ぜると食べなくなって・・

   一晩中、エサを取り換えて格闘することになるからな・・

お疲れ気味のマキは、ドッグフードを少なくして与えた。ハイジもチベタンも

たらいに入れたエサを満足そうに10kgづつペロリと食べた。

となりの部屋で、良い匂いがするので、オールドも騒ぎ出した。そのまま隣の2頭

にも餌を10kgづづ与えた。

居間の戻って、

マキ:人間もなんか食べようか。

美沙:はい、用意しといたよ。

マキ:今、オールドにあげてきたのと同じに見える。

美沙:同じだよ。スーパー行ってないし。味は、完璧。

マキ:頂きまーす。ん・・ん目をつぶって食べれば美味しいわ。はは、あの子達

   良いもの食べてるんだな・・そりゃあドッグフード食べなくなるわな・・

真樹:頂きます。明けましておめでとうございます

美沙:そうだね。正月だった!


次の日は、顔だけ散髪が終わっているチベタンのシャンプーとハイジのシャンプー

慣れてきた、マキとマサキで手際が良い。犬たちも言うとおりに体制を変えて完璧

だ。2時間ちょっとで、2頭のシャンプーが終わった。

マキ:ねえ、真樹、この子達、しつけが完璧でコマンドにしっかり反応するし、

   ここにきて少ししたら私のコマンド通りに動くようになった。素人がしつけた

   犬じゃないと思うの。

真樹:僕には良い子達だな・・しか・分からないけどね。

マキ:トリミングしてきた中型犬ぐらいとは、違うのかもしれないけど出来すぎ。

   もっとごねたり、なかなかうんちしなかったり・・それで当たりまえなんだ

   けどね。

真樹:でも、そんなプロが育てて、ガーデンホテルに置いていかないでしょう。

マキ:そこなんだよね。どの犬も飼いたくても飼えない希少な犬ばかりで・・

   素人が飼える犬じゃない。真樹の言うようにブリーダーが、置いていくのも

   不自然なんだよね。電話もしてこないのも・・


3日の日までにトリミングはすべて終わった。真樹も明日から漁に出る。マキは、

ガーデンホテルに電話してみた。

(マキ)

マキ:もしもし、小久保です。ワンちゃんたちのトリミング終わりましたので、

   いつでもお渡しできます。飼い主さんと連絡取れましたか?

担当:はい、一度奥様からお電話がありまして、5日には戻れないだろうと・・

   それで、5日になったら車の中に細かなことを書き残したものがあるから

   読んで欲しいとのことです。


自宅の居間で、

マキ:この子たちの飼い主は、どうも帰って来ないつもりらしい。

真樹:このままここで飼えないよ。

美沙:いくら何でもず~と、みんなに炊き出し頼むわけには、行かないよ。

   今日の炊き出しで、最後のつもりだから明日からは頼んでないよ。

マキ:分かってるけど・・・

まだしばらくは、もらった野菜や肉がたくさんあるので世話をするのが大変だけど

エサは、十分ある。マキの出産もあるので今月中には今後のことを決めなければ

ならない。とんでもないものをしょい込んでしまったと、マキも悩んでいる。


マキ:何とか、飼い主を探して返さなと・・・

”ピコン”Line

マキ:ほう・・誰かな?

(Line)

レン:久しぶり!明後日、佳代子さんと伊勢神宮にお参りに行くんで、

      顔だけ見れるかなって連絡した。浜松から伊良湖経由だから!

マキ:おー、寄っていて、通り道!


マキ:真樹、カヨリーナの二人が伊勢神宮に行くんで寄るんだって。

真樹:へ、久しぶりだね。元気かな。

マキ:元気じゃなきゃ来ないでしょ。


真樹が漁に出て昼間いなくてもマキと美沙で世話は、出来るようになった。

エサも少しっづつドックフードを増やして回数も減らし、うんちの間隔も長く

なってきた。トイレスペースが近いしフンの始末が楽になって自宅横のドッグラン

は、最高に使いやすい設備になっている。疲れている真樹に申し訳ないが、コメリ

と、カーマによって追加のドッグフードを買ってきてもらった。アマゾンでも

もしものことを考えて追加の発注をした。ドッグフードだけで飼育したとして、

1日に50kg1週間で350kg今までの分と合わせると50万円近くになる。

人件費を除けば1日1頭1万円なら採算が合う。超超大型犬の飼育は、犬好き

だから飼えると言う様なものではないことが分かった。


5日の朝9時、マキはガーデンホテルに行った。担当の人と一緒に飼い主の

キャンピングカーのカギを開けた。助手席のシートの上に手紙が何通もあった。

1通は、ガーデンホテルあてだ担当が明けて読んだ。

手紙

ガーデンホテル様

車も犬たちも残していなくなってしまって申し訳ありません。事情があり犬が、

飼えなくなってしまいました。飼い主が見つかっるまで封筒内の小切手で、

何とか世話をよろしくお願いします。伊良湖の町ならこの子たちのような大きな

犬でも暮らせるうちがたくさんありそうで、縁も無いこの地に、置いていくことに

なりました。お許しください。残りの手紙は、そぞれの子を飼育してくれる方が

現れたらお渡しください。車はホテル側で処分して頂いて結構です。

どうか、あの子たちを飼育して頂けるようおねがいします。


担当:と、言うことのようです。

封筒の中を担当者が見ると、100万円の小切手が入っていた。

担当:いったんこの小切手はホテル側で管理させてもらいます。小久保さんには、

   ホテルから今まで通りお支払いします。どうかこの後も、引き取ってくれる

   方が見つかるまで、お預かり頂けないでしょうか。

マキ:はあ、期限も決まってませんし・・

   実は、私も出産・・

担当:実は、私も関わってしまったので心配で上司に相談したのですが、

   すぐに保健所に連絡して引き取ってもらえ、と、言われ

   以前にも急病で入院されて人の犬が保健所で処分されたケースがあり、

   今回もそんなことになったらどうしようかと・・

   何とか、お願いします。

マキ:はあぁ・・もうしばらく・・


100万円では、20日分しかない。マキに払う分を引けばあと数日分しかない

キャンピングカーを売っても1000万円ぐらいだろうか。半年分のエサ代で消え

てしまう。あの子たちを飼育するということは、それだけの経済的余裕が無いと

出来ないということだ。


マキ:とんでもない。ものに手を出してしまった。今さら、保健所でどうぞ・って

   置いてこれないもんな・・・





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ