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気づいたら美少女と寝ていた。ゴミ箱には使用済みのコンドーム。明らかに事後なのにお互いに一切記憶がないんですけど  作者: 剃り残し


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 目が覚める。知らない女の子が目の前で寝ている。目を瞑っていても分かるくらいに可愛い人だ。お互いに横向きで寝転び、指を絡めて寝ていたようだ。


 おかしいな。さっきまで学校にいたはず。なんでこんなところにいるんだ?


 自分のいる場所を見渡してみる。


 天井は初めて見る装飾。家具は無彩色でまとめられたシンプルなもの。これも初めて見る物と配置だ。


「んん……」


 俺がガサガサと動いていたので女の子も起きたようだ。


 目を開けて俺を認識するとその女の子は思いっきり後ずさって壁に後頭部をぶつけた。


「あだっ!」


 頭をぶつけたのは自分のせいなのに涙目になった女の子は後頭部を抑えながら俺を睨んでくる。


「だっ……誰ですか!?」


「知らないよ! でも……制服は同じ高校のものだよね?」


 布団の陰から見える女の子が着ている制服は俺と同じ高校のもの。つまりこの人は同級生か先輩なのだろう。


 同じことを相手も認識したようで、ひとまず冷静さを取り戻してきたようだ。


「とりあえず私のベッドから降りてください」


「あ……うん」


 俺は素直にベッドから降りる。どうやらここはこの女の子の部屋らしい。


 部屋の真ん中に置かれたローテーブルには飲みかけのレモンスカッシュの缶、お揃いのヤシの木のキーホルダー、そして蓋の空いたコンドームの箱が置かれている。


 いや……まさか……そんなわけないよね?


 俺は恐る恐るゴミ箱に近づく。そこには一文字に破られた正方形のピンクのパッケージが捨てられていた。そしてティッシュに包まれた何かも。ティッシュにはうっすらと赤が滲んでいて、つまみ上げるとピンク色のゴム製のものがポロリと落ちた。ご丁寧に口も結ばれている。


「こ……これは……」


「へ!? あ……わ、私達、何かヤッちゃいました?」


 女の子は真顔だが冗談めかしてそう言う。


「この状況でそんな冗談が言えるメンタルすごいよ……」


「どうしてここに二人でいるのか記憶はないですが、ここは私の自宅です。そして両親は在宅勤務です。つまり下の階にいます。そんな状況で連れ込めている、かつ、同じ高校の制服を着ているのですから不審者ではないと推察します」


「冷静な推察どうも」


芝山花恋しばやま かこです。花の恋でカコと読みます。1年2組です」


 芝山さんはペコリと頭を下げた。同時に乱れた黒いロングの髪の毛が垂れ下がる。


栗原未来くりはら みらい。1年4組」


「あぁ……4組だけ教室が離れてるんですよね。通りで見たことがないと思いました」


「そうだけど……呑気に自己紹介してる場合じゃないよ……」


 俺はスマートフォンから充電ケーブルを抜き、日付と時間を確かめる。


 2017年の4月13日、夕方の18時を少し回っている。


 今日は高校の入学式から一週間ほどが経った日だ。今朝の星座占いは最下位。ラッキーアイテムはレモンスカッシュ。


 朝、家を出て登校するところの記憶はバッチリ残っている。一時間目は古文。そこまでは覚えている。


 問題はその後。休み時間に入ってから今までの記憶がすっぽり抜けているのだ。


「あ……芝山さん。今日の記憶ってどこまである?」


 同じようにしかめっ面でスマートフォンを操作している芝山さんに尋ねる。


「一時間目のあたりですね。どうやら私達は学校をサボってデートをしていたようですよ?」


 芝山さんが見せてきたのは俺とのツーショット写真。スクロールすると次々と写真が出てくる。どの写真も二人がいい笑顔で写っていて、明らかに初対面の二人のそれではない。


「プリもあるじゃん……」


「それにしてもダサいキーホルダーですね……」


 机の上にはプリクラも置かれていた。二人でハグをしたり、手を合わせてハートを作ったりとやりたい放題だ。


 お揃いのヤシの木のキーホルダーはそんなに悪くないと思うけれど芝山さんのセンスではないようだ。俺が選んだのか?


 俺は一つとんでもないことを思い出した。デートの写真は昼間のもの。夕方の写真は一枚もない。つまり俺達はここで数時間を過ごしていたことになる。ベッドの上で二人っきり。ゴミ箱には使用済みのコンドーム。二人して服を着ているが明らかに事後だ。


「あ……その……何かあったら責任は取るから」


「それは……どういう意味でしょうか?」


「そのままだよ」


「まぁ……それは追々ですね。記憶にはありませんが、私も同意していたはずです。万が一これらの写真が偽造されたものだとしても自分の家に連れ込んでいる時点で全く同意がなかったとは言い切れませんし」


 芝山さんが冷静で話しの通じる人で助かった。問答無用で叫ばれ、人を呼ばれたら完全にアウトだった。


「まぁ……下でお茶でも飲みながら話しましょうか」


「呑気すぎない!?」


「覚えてないんですからどうしようもないじゃないですか。幸い下には両親がいるはずです。私達の様子を聞いてみましょう」


「あ……うん。そうだね」


 俺達は一階にいるらしい芝山さんの両親に会いに行くことにした。俺、お父さんに殺されたりしないよね?

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