エピローグ
私はそう言い、魔力を放つ。
すると、精霊がやってきて、キラキラとした光がそこらじゅうに降り注いだ。
その光は先ほど私が死にかけていた泉の水にも反射し、とても幻想的な風景を作り出した。
そして私の足元には徐々に草が生え、大きくなり、花が咲き誇った。
私の周りを中心にどんどん花が咲いていく見たこともない光景に、周りの誰もが圧倒されているのがわかる。
「な……なんだ! なんだこれは!」
シリウスが戸惑ったような声を上げる。
ストレインも驚き、私の事をじっと見ている。
その視線を感じた私は、ストレインに笑ってみせる。
「ま、まさかこれはお前が……」
シリウスは青い顔をしている。レオノアも、シリウスの顔と私の顔を、おろおろと交互に見ている。
その二人に決定打となる言葉を伝える。
「当然ご存じだとは思いますが、聖女は精霊魔法の使い手の事です。白の魔法ではありません」
私がそう言うと、すうっと半分透き通った羽の生えた精霊が現れる。
そして私の隣に留まりにこりと笑う。
私が契約した、あの泉に住んでいる精霊だ。
「あなたが私を泉に突き飛ばし、落としたおかげで、私は精霊魔法が使えるようになりました。聖女ともいえるでしょう」
「そんな……、そんな、まさか……」
シリウスは、ぶつぶつと繰り返すだけで未だに信じられないという顔だ。
ストレインの手を取ると、状況を理解したストレインがにやりと笑う。
「さすがミリアだ。全て確認して、上げて落とす。やられた方はつらいな。私にはどうぞお手柔らかに」
「そうね、考えておくわ」
ストレインを見てふふっと笑う。
彼は悪い顔もかっこいい。
「聖女に選ばれた人が王の中の王でしたっけ? そうしたらストレインは王なのかしら」
「私達は残念だが、国外逃亡しよう。ただ、聖女を逃した彼は、……もう王ではないかもしれないね」
「王じゃないなら何になるのかしら」
私はうそぶいた。
そして、青を通り越して白いシリウスに視線を合わせ、にっこりと笑う。
「もちろんシリウス、あなたとの結婚はお断りよ」
もし気に入って頂けましたら、ブックマークや評価の☆を頂けるととても嬉しいです!
誤字報告もとても助かりましたありがとうございます。
ジャンル別の日刊ランキングにも入る事が出来ました!
本当にありがとうございます。