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異世界から帰りたい  作者: 鉛銅 錫
第1章 鉛沢充は異世界から帰りたい!
8/34

第8話 とても若さを感じた。

遅れてすみません。

今回短いです。前回の区切りが悪かったんですねぇ……

 食堂に着くと炒め物を作る音がする。


 今日のメニューは肉野菜炒め定食が出るようだ。


「肉野菜炒め一つ!」

「はいよっ!」

「鹿肉を美味しく食べる方法教えてください!」


「お? 急だねぇ……焼くかシチューに入れるかローストにするのをお勧めするかなぁ」

「ありがとうございます! 後、塩ってどこかで手に入れる方法ありますか?」

「塩なら購買で売ってるわよぉ。あ、肉野菜炒め定食ね」

「ありがとうございます!」


 席を見極め、座り、そして食べ始める。

 美味い。


「おっ! 情けないクズがおるぞ~?」

「お前なんか土でも食ってろ」


 ご飯を取り上げられた。


 ファットが30秒で平らげて、皿を返してきた。


「ほら、返しておけよ!」


 あまりの早さに隣にいるサドスも引いている。


(まだ、二口しか食べてないのに……しょうがないか……)


 カウンターに皿を返して部屋に戻った。





 部屋に戻る途中に購買を覗くと塩があった。


(意外と色々種類あるものですなぁ……)


 部屋に戻り、お金を探す。



(……確かここらへんに……あった! これさえあれば何とかなるか)


 購買に戻り、買ったのは食塩1kg。


 銅貨3枚はした。


 今は結構痛い。


 部屋に戻り、血抜きをしている浴槽の前に立ったところでふと考える。



(……何%にするべきだろう?)


 意外と大事な問題である。


 例えば100Lの水の1%は大体1kgである。


 それを3%にしようと思えば当然3倍は必要で食塩が全く足りないことがうかがえる。


(……まぁ1%で良いでしょ。水の量も減らせばいいし、何なら計る方法なんかないし)


 ということで、数回に分けて血を流水で洗い、三分の一くらいの食塩を使って食塩水を作り、そこに4匹の肉を入れる。


 一匹の兎肉は外で焼き肉にすることにした。


 落ちている木を集め、火属性の魔法で火を付ける。


 ナイフを刺した兎肉を火に当てて加熱する。


 油が(したた)ってくる。


 回転させてむらなく焼いていく。


 十分に焼けたと思うので、齧りつく。


(うまぁ……鶏肉みたいだけれど、適度な噛み応えと上品な甘さの脂……これは美味い!)


 買ったばかりの塩も少し振りかけて、再度(かじ)りつく。


(うまぁ……塩気のお陰で味に締まりが出るんだが、脂の甘さは引き立っていく……美味い!)


 また、外で食べるのがキャンプみたいでより良い。


 上を見ればきれいな星空と月がさらに心までもを満たすのに助力してくれる。


 兎は小動物であるが、丸々一匹は多いかなとも思っていたが、全て美味しく食べきることができた。



「……ふぅ……満足……ごちそうさまでした」


 砂を被せて火を消し、部屋に戻った。






「しかし、若いって良いな……」


 何が良いかといえば、クロムは部屋で数学の問題を解いていた。


 なぜかといえば、思考能力を(みつる)と同じ水準にまで引き上げておきたかったからである。


 魔法も、近接戦闘も、身体を使うということはより速い頭の回転が求められる。


 なればこそ、思考能力は引き上げておきたい能力の一つでもある。


 若い脳はすぐに充に付いて行けるようになっていく。


 むしろ、面白い閃き(ひらめき)が出てきて楽しい。


 次に魔法の教本を読む。


 まだ『初等魔法教本』の方である。


 魔法の強みは何より『事象の具現化』であるところだ。


 例えば、熱力学で良く用いられる理想気体は当然現実には存在しない。


 しかし、魔法を使えば理想気体を扱うこともできるというわけだ。


 人間の身体でも光合成ができるし、空気中の水蒸気を集めて水を得ることも可能である。


 よく『進んだ化学は魔法と同義』という趣旨(しゅし)の言葉があるけれど、逆に現在(いま)、魔法のように思える現象を、魔法として作り出せるということである。


 それは、未来の生活を少しばかり体験していることにもなるのではないだろうか?


 そう考えると少しばかりの胸の高鳴りを感じずにはいられない。


(そう考えると、過程が違うだけで魔法も科学も似たような物なんだろうなぁ……)


 魔法で空を飛ぼうが、飛行機などの科学で空を飛ぼうが、空を飛んでいることに違いはない。


 物理現象として、魔法を見ると色々なものが見えてくる。


 たとえ、それが初級魔法でも。


 いや、むしろ初級だからこそかもしれない。



 12時が近づいてきた。


 そのころには『初等魔法教本』をマスターしたといっても過言ではないといえる。


(……あとは魔力の扱いかぁ。これは中々根気がいるだろうなぁ)


 理論があっても魔力の扱いがなってなければ魔法は使えない。


『初等魔法教本』をマスターしただけであり、初等魔法をマスターしたわけではないのだ。それはマスターしたことにはならないのでは?


 とりあえず体の中の魔力を循環させ、動かし、(かたよ)らせ、均等にする。


 魔力を動かす感覚になれないと話にならないからね。


 そして、12時が過ぎたころに布団に潜った。





(…………わき者よ…………)




ファット・オオクイ

飯時になるとクロムの前に立ちふさがる難敵。ただし、決して彼が食堂に住んでいるわけではない。



不穏な気配。

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