ポーション師の嫁取り物語
ポーション師の嫁取り物語 第2話
シュピン!カーン!
「あ、危ねー!」
俺の頭をかすめ、
エルフの矢が木に突き刺さった。
「待て!逃がすな!」
「追え!追え!」
シュピン!カーン!
シュピン!カーン!カーン!
「ぐあ!」
森深い木々に足を取られ、
俺は転んでしまった。
「くっ!クソ!やっぱり無理か!」
改めて言うが
俺はタダシ・セキネ!
設計事務所のブラック企業で
いつものように残業をし、いよいよそのまま、
の日の開業時間が近づいてきて過労死したらしい!
そして、こっちの世界に突然飛ばされた転移者だ!
セキネ・タダシ(30)レベル1
HP5/10
MP5/5
スキル
設計
鑑定眼
マジックBOX
レアスキル
ポーション師
ギチチチチ!
ギチチチチチチっ!
俺は倒れながら、辺りを見回すと
そこら中から、弓を引く音が聞こえ
ギチチっ!
俺の鼻先に矢を向ける
透き通るような肌の巨乳金髪美人が
矢を向けてきた。
「おい!ヒューマン!
貴様の荷車は預かったぞ!言え!
なぜ我らエルフの里に近づいた?」
「ちょっ!ちょっ!ちょっと待って!
誤解だ!誤解だって!打つな!打たないでくれ!」
「早く言え!また、我らエルフを攫いにきたのか?
言えっ!そうなのだろう!」
「ち、違う!そうじゃない!
俺は嫁を探しにきたんだ!」
「・・・よ、嫁だと?・・・」
ざわざわ ざわざわ
「人?」
「人族の男だ!」
「なぜ人族の男が・・・」
俺は今、手を後ろで縛り上げられ
エルフの里の広場に座らされている。
見張り付きで!
(は~・・・やっぱり無理だな・・・)
俺がこの世界に来たのは、一年前!
最初は苦労もしたが、
貰ったレアスキルと鑑定眼・マジックBOXで
なんとか町で商業ギルドに入り、
ポーションを売り始めたのが大成功!
俺のレアスキルポーション師は
なんの魔力も材料も使わずに幾らでも作れる上
どんな種類でもどんな形のビンでも作れる凄いスキルだ!
レアスキル:ポーション師
・なんの材料、魔力を必要とせず、無制限に作れる
・どんな種類、形も作れる
・作ったポーションは自在に操れる
・ポーション師はを付与、錬金できるため
付与師、錬金術師としてもスキル的には問題なく
できる。
俺はこのレアスキルで色々な町、村で稼ぎまくったが
(やはり、一人は寂しい・・・)
そこで思いついたのが、嫁を探す事だった。
しかし、
いきなりよそ者の僕と結婚してくれる人がいる訳もなく
「そうだ!奴隷の女性を探そう!」
と近くの大きな町の奴隷ギルドへと足を運んだのだが
「・・・ひ、ひどい・・・」
奴隷ギルドで紹介されたお嫁さん候補は
オーク?のような巨漢の女性
枯れ木?のようなガリガリの女性
ヒゲ面の男性
「いや、最後の男じゃん!」
結局、どうしたもんかとトボトボと歩いていると
ふとっ!冒険者ギルドが目に留まった。
ちょっと入ってみると
掲示板には様々な依頼が張ってあったが、
その中に
領主依頼
エルフの女奴隷
ランク問わず
金500枚と
よくわかっていないのか
たまに目撃される場所が書かれていた。
「これだ!でも、猟師が森で脅されるのか・・・
何かエルフが喜びそうなの持って行こう」
俺はすぐ様、商業ギルドに戻り、
町のギルド唯一の男性エルフに里で
欲しがってそうな物を聞き出し
荷車で目撃された場所を目指し旅だったのだが
深い森の中だったためか、すぐ迷子になり
そして、
ドカっ!
「おい!長老が来た!立て!」
と現在、美人エルフに蹴りを入れられている。
「痛って!」
俺は縛られながらもなんとか立つと
エルフの長い耳をさらに長くしたお婆ちゃんが
杖をついて歩いてきた。
「そなたが嫁を探しに来た男か?」
「・・・・・・・・」
「答えろ!」
ドカっ!
「痛っ!わかった・・・蹴るなよ!
・・・そうだ!エルフの嫁を探しに来た!」
と俺は洗いざらいの事を話した。
異世界から来た事!
ポーションが作れる事!
冒険者ギルドで女性エルフの奴隷に金貨500枚
の依頼が出てる事!
ざわざわ ざわざわ
「ちょっとあたし達が!」
「おい!どういう事だ?
人族が俺たちに懸賞金をかけるなんて!」
「落ち着け!お前は男だ!」
と俺がエルフに懸賞金が掛かっていると聞いたせいか
エルフ達は大騒ぎだ!
すると
俺に矢を向け、ここまで縛って連れてきてた。
横にいる美人エルフが
「きさま~!
やはり、我らを攫いに来たのではないか~!」
シャキーン!
と彼女はエルフ特有の葉のような刃の剣を抜いた!
ドサっ!
俺はとっさに地面に倒れこみ
「ちょ、ちょっと!」
とあまりの恐怖に目を閉じると
「待て!ルー!」
先ほどの長老から待ったがかかり、
俺は一命を取り留めた。
「な、なぜ止めるのです!」
美人エルフは振り上げた剣を
ゆっくりと降ろしながらも、今だ、
剣をしっかり握り締めている。
長老は彼女を見つつも、
「・・・わしの鑑定眼でも、
その者は嘘はついてはおらん!
それにその者は冒険者でもなく、
我らを捕らえに来た訳でもない!」
「くっ!」
と美人エルフのルーさんは悔しそうに剣を鞘に納めた。
「さてっタダシとか申す者!
条件次第じゃが、
その前に一つ・・・そなたに3つ聞きたい事がある!」
「えッ?あ、はい・・・なんでしょう?・・・」
と俺が答えると
ガシャン!
と俺の前に皮のホルスターに入った
俺の銃を放り投げた。
(や、やばい・・・
弾は捕まる前にとっさに抜いたから
大丈夫だと思うけど・・・)
「それはそなたの武器だな?」
「は、はい!そうです!」
(まだ、使った事はないけど・・・)
「そなたが作ったのか?」
「は、はい・・・
ポーション師は錬金スキルも兼ねてるので・・・」
(何が言いたいんだ?)
「では、鉄を持っているのか?」
「はい?」
「エルフは外界とあまりというか、
まったく接点がない!
最後に取引をしてから、
もうかれこれ、50年以上になる。
故に森で手に入らない物は
使い回すしかないのだが、
それで・・・
どうも鉄が不足していての・・・
持っておるなら物々交換をしたいのだが・・・」
「ぶ、物々こう・・・あっはい!
鉄ですよね!あります。
知り合いのエルフに里で喜ばれ奏な物を
、予め用意してきたんで、大丈夫です!」と答えると
長老は少し満足そうな顔をして
「そうか!よし!
では次に、そなたのスキルはポーションを
作るという物らしいが
もしや、エクサリーポーションも作れるのか?」
「えッ?
つ、作れます・・・よ・・・
両手が自由なら・・・ですが・・・」
と俺が恐る恐る言うと
「き、きさま!」
と再び美人エルフが剣に手をかけるが
「外せ!」と長老の一言に
「くっ!」
と美人エルフは渋々、俺のロープを外した。
バサ!バササ!
俺は縛られた手首をしばらく触ると
いつものように両手を合わせると
ボワーン!
と俺の手の中が緑色に光出し
「で、できました・・・」
と一本のエクサリーポーションの
小瓶を長老に見せた!
エクサリーポーション:なんでも治す
長老は目を細くしてみていたが
突然!
「凄い!確かにエクサリーじゃ!」
周りのエルフ達も
「あれが伝説のエクサリーか・・・」
「初めて見た!」
「絵本と違って白く光ってるんだな!」
と皆、口々に俺の作ったエクサリーを見て驚いている。
「そ、それも交換してくれ!」
と近づいてくる長老は
先ほどとは、明らかにテンションが違い、
かなりこのエクサリーに食いついているようだ!
「はい!わかりました。」
と俺は手渡すと
長老は天高くエクサリーを持ち上げ
「これで、世界樹様が・・・
ユグドラシブが・・・復活する!」
と一人つぶやくように感激していた。
しばらく、その光景を見ていたが、
ちょっと長かったので
「・・・あの~・・・それで・・・三つ目は~・・・」
「んっ?あ~!そうじゃった!
そうじゃった!マイ!こっちに来なさい!」
と白い肌のエルフの人混みの中から
一人キャラメル色の肌の銀髪美人エルフが出てきたが
(なんで、あんなに可愛い子が
手首に鎖の切れた手錠なんてしてるんだろう?)
「タダシ殿!まだ、嫁を探しておるか?」
「えッ?そりゃあ、まあ・・・探してますけど・・・」
「ダークエルフではあるが
コヤツを連れていってやってくれ!」
と近くまで来たマイと言う美人を俺に紹介した。
「へっ?」
と急な展開で驚いていると
「お、お待ち下さい!
マイは・・・妹だけは・・・」
と後ろのルーさんがしゃべっている途中で
「黙れ!ルー!
このお方はこの里の恩人でもあるんだぞ!
そもそも、お前が里に近い森で人間の狩人を
脅して回っておったから
人族の冒険者ギルドも動き始めたんだぞ!」
「そ、それは・・・」
と俺の横で悔しがるルーさんだったが、
長老は続けて
「それと、ルー!
お前も妹のマイと共にこのタダシ殿の嫁に
やることにした。」
「えぇっ!?」
と俺が驚いていると
長老とルーさんは地面に座る俺の上で
「な、なぜ私がこのような人族の下へ
行かねばならないのですか?
私は里のためにこれまで、
貢献してきたではないですか?」
「・・・確かにお前は里の中でも戦闘だけなら、
ずば抜けておる、貢献もしてきた・・・」
「では、なぜ?」
「一言で言うとお前は視野が狭いのじゃ!
今回の一件もそうじゃ!
今回はタダシ殿が里に多大なる恩恵を
運んで来てくれたからよかったものの
もし、連れて来た事により里に
大惨事に陥ったらなんとする?」
「で、ではどうすれば、良かったと?・・・」
「黙って、やり過ごせば良いではないか!
いちいち、森に迷い込んだ者に弓で脅していたら、
切りも果てもないではないじゃろう?」
「し、しかし・・・」
とルーさんは悔しそうに下を向いた。
長老は、そんなルーさんから目を離すと
すぐ下にいる俺に
「さてっタダシ殿!今までの話はすべて、
そなたが条件を飲むというのが前提じゃ!」
「は、はい・・・で・・・条件とは?・・・」
「呪いをかけたい!」
「・・・・・」
俺は開いた口が塞がらず、
引きつったままで長老を見上げていると
「呪いというても、
そう怖がるような物ではない!
この里の事を他人に話さないように
してもらいたいんじゃ!」
「えッ?それだけ?・・・
じゃあ、別に俺を呪わなくても・・・
誰にもしゃべりませんよ」
「いやいや、かけるのはそなたではない!
この二人のそなたの嫁たちじゃ」
と長老はルーさんとマイさんを指差した。
「??????」
俺はさらにわからなくなっていると
「まあ、わかりやすく話すとじゃな・・・
まず、この二人をそなたの奴隷にしてもらいたい!」
「ど、奴隷にするんですか?」
「そうじゃ!
その上で、里の皆の前で
こう命令してもらいたいのじゃ!
今後、どのような事があっても、
この里の事を知った者は誰であれ始末しろ!
とな」
「そ、そんな・・・」
と俺が驚いていると
「そうしないと里の者たちが不安がるのじゃ!
そなたもワザとは話さんじゃろうが、
うっかりという事もあるじゃろ?」
「そ、その~もし・・・それを断ったら・・・」
「その時は~気の毒じゃが、
そなたには、この里で死ぬまで
奴隷としてポーションを作り続ける事に
なるじゃろうな~」
と長老は俺を見下ろし、
ニヤっ!と不気味に笑った。
「・・・・・・・・」
結局、長老の言う通り
エルフの里のみんなの前で
金髪エルフの姉ルーさんと
銀髪ダークエルの妹マイさんの二人を
俺の奴隷にした。
最初この里には奴隷魔法が
使える人がいるのかと思ったら長老が普通に使えた。
なんでも長い年月を費やし、
すべての属性を使えるようになったらしい
俺はふと疑問に思い
「一体、今おいくつなんですか?」
と聞くと
「1400歳とちょっとじゃ!」
「・・・・・・・」
(1400年・・・俺なら・・・
どうするんだろう・・・)
と一人感慨っていた。
それと、嫁の二人
ルーさんとマイさんは
俺の奴隷になる事について
「別に人族の寿命が尽きるまでの事だ!
気にもしない!」
「そうですね!姉さんの言う通りです。
それに私は・・・・」
と妹のダークエルフのマイさんが
何か言いたそうに下を向いた。
「?ま、まあ、・・・宜しくね!
ルー、マイ!」
と俺は呼び捨てにしろと二人に
言われたので一応の挨拶を改めてした。
俺と嫁たちはそのまま、長老の案内で
里の鍛治場に来ていた。
(・・・日本のたたら製鉄
みたいな建物だな・・・)
そこは、レンガ作りで
高い煙突がついた建物だった!
その建物から鍛冶師らしい
前掛けをした男性エルフが出てきて
「おぉ!長老!その人族が例の・・・」
「そうじゃ!」
「は、はじめまして・・・
タダシと言います・・・」
「ああ、宜しく!
長老の話では、鉄を持ってるとか?」
「あっ!はい!こちらに!」
と俺はマジックBOXから
ズガガガガガッ!
と大量の鉄のインゴットを取り出し、
ちょっとした山を作った!
「こ、こんなに?」
とエルフ達が呆気に取られてるが
「どうですか?
後、これが3つほどありますが・・・」
「・・・・・・・」
とにかく、
全部交換して欲しいとの事だったので
全部のインゴットを取り出した。
「す、すごい・・・
これなら、なんとかなるかも知れん!」
と鍛冶師のエルフがつぶやいた。
「ところで、なんでこんなに鉄が
必要なんですか?」
と俺が聞いた所
なんでも、最近、里の近くにダンジョンが
できてしまったため、
鉄で穴を塞いでしまおうとしているそうだ!
「ダンジョンを埋めちゃうんですか?」
「そうじゃ!
エルフには無用の長物じゃからの!」
「も、もったいない!
人族の町の近くにそんなのできたら
、冒険者に商人にと
そりゃあ、もう人が集まるって
みんな大喜びなんですよ」
と長老に言うと
「ワシらは、ちっとも、
人族に来て欲しくない!」
と言われてしまった。
「そ、そうですか・・・」
「それより、交換じゃ!
こっちに用意してある。」と
隣の大きな小屋に連れて行かれると
「このじゃ!」
「おぉ!」
中には、フワフワの上等な魔物の毛皮、
大きく鋭いオーガの牙に大量の魔石
そして
「こ、これは、もしかして・・・
ドラゴンのウロコですか?」
天井から吊るされてあるドア一枚分位の
黒くゴツゴツとした硬そうなウロコが
透き間風に揺られていた。
「200年位前に
この少し北にブラックドラゴンが
降り立ったのじゃ!
これもよいぞ!」
「えッ?いいんですか?」
「うむ!この倉庫の中の物は
全部持って行ってよい!」
「あ、ありがとうございます」
(これだけあれば、十分元がとれるぞ!)
と思いながら
「・・・それと・・・長老・・・
一つお聞きしたいんですが?」
「なんじゃ?」
「ダンジョンってどんなダンジョンなんですか?」
「?普通に魔物が出てきて里に
迷惑がかかるだけじゃが?
それがどうした?」
「い、いや、ちょっと中を
覗いてきてもいいですか?」
「覗く?ダンジョンをか?」
「はい!そうです。」
「まあ、ええじゃろ!
鉄を溶かして蓋にするのに3日はかかる!
それまでには出て来るのじゃぞ!
ワシも世界樹様にこのエクサリーポーションを
早よう持って行ってやりたいしの!」
「はい!分かりました。ありがとうございます。」
俺はダンジョンの場所を聞いてから
倉庫の中をマジックBOXで空にし、
外に出ると
返してもらった6発式のリボルバー銃を
ホルスターから出した。
ガチャっ!
弾装を開くと
ボボワーン!
弾ポーション:先端が硬質ガラスで中身に
少量の爆薬ポーションが入った物
を6発作った
カチャっ!カチャっ!
俺は1発ずつ弾を込めながら
「楽しみだなあ!
できたばかりのダンジョンか~!」
ダンジョンは魔物も出るし、宝箱もある
そして何より
(あのちょっと怖い雰囲気が良いんだよね~
ん~・・・できたばかりのダンジョンなら
2時間位で帰ってこれるかな?)
と今度は
ボワーン
魔物避けポーション:
魔物が非常に嫌がる臭いがする
耐物理攻撃ポーション:
物理攻撃を無効化する
耐魔法攻撃ポーション:
魔法攻撃を無効化する
を作り、ビシャビシャと体にかけた!
「よし!準備完了!」
と返してもらった荷馬車の方に歩いていく!
俺の荷馬車は
木製で真四角のコンテナのような形が
4つの車輪に乗っている。
丁度、軽ワゴン車を
イメージしたような大きさだ!
しかも、ベアリングがついた鉄製の車輪に、
前後に鉄製のバンパー、
スプリング、アクセル、ブレーキ、ハンドル、
シフトレバーが装備されている。
だが、一番肝心の馬はいない!
バタン!(ドアを閉める音!)
「ここから北か!よっ!」と
ギー!
ハンドルの横のレバーを前へ倒した。
すると、
荷馬車に下についている
大きなポーションが傾き、
荷馬車が進み始めた。
グガガっ!
ガラガラガラガラ!
ガタタンっ!
ガラガラガラガラ!
俺は里の北にあるダンジョンへ
続く道を進もうと里の町を抜け、
広い畑の横トウモロコシ畑、小麦畑、
薬草畑を通り過ぎ
もうすぐ、森に入ろうとしたその時
ザササっ!
「うわっ!」
何か早い者が荷馬車を飛び越え、
目の前に現れた!
「えッ?何?えッ?」
「やっと追いついた!」
「どこへ行かれるのです?」
とルーとマイが俺を追ってきた。
「ど、どこって・・・
ダンジョンですけど・・・」
「なんで私たちを置いていくんですか?」
「そうだ!我らは、
貴様の奴隷であり妻なのだぞ!
ちゃんと説明しろ!」
俺は言われて思い出したのだが、
奴隷は主人が自然死以外で死んだり、
主人から極端に離れるとその奴隷は
死ぬんだった事を
だが、理由はそれだけでなく
「えッ・・・
そ、そのあ、足手まといはちょっと・・・」
「はぁ?!」
「えッ?」
と二人とも俺の発言にびっくりして
「私はともかく、姉さんまで・・・」
とマイがゆっくりと横のルーを見ると
美しい金色の髪が激しい魔力の放出により
メラメラと炎のように逆立っている。
「き、きさま~!」
「ひ、ひ~」
と俺はまた蹴られるかと思ったが
「これが夫で奴隷でなければ、
矢で頭を打ち抜いてやる所を~!
く、くやしい~!」
と地面をバタバタと踏んで
やり切れない思いをぶつけている。
俺は恐る恐る
「じゃ、じゃあ、
しょ、勝負しますか?ルーさん」
「ルーだ!さんはいらない!
だが、勝負はいいだろう!やってやる!
私を足手まとい扱いした事を後悔させてやる!」
シャキーン!
「抜け!」
とルーは自分の腰から剣を抜き、俺に向けた。
ボワーン!
俺もポーション師として手に剣の形の
ポーションを出した。
ただし大きさは小さい果物ナイフより小さい!
スパンキングポーション:
割れると中の液体のポーションが
相手のお尻を強打して治す。
ただし、猛烈な痛みはしばらく引かない。
「なんだ?その、ナイフは?
舐めるのもいい加減にしろ!」
とさらに怒鳴り散らしているが
俺はそれを鉄製の車輪で
バリーン!
ルーの前でポーションを割った!
「な、なにを?」
とルーはビックしているが
次の瞬間
「キャヒ―――――ンっ!」
と両手でお尻を抱えながら、
地面にキスしている。
それを見たマイが
「す、凄い!
あの俊足スキルの姉さんが・・・」
と悶絶するルーを見て驚いている!
(俊足スキル?)
と里で捕まっていた時は使わなかったが
(鑑定眼!)
ルー・シンクス(140)レベル56
ハイエルフ族
HP300/300
MP1200/1200
スキル
弓技 雷魔法 風魔法 水魔法 気配探知
魔力操作 植物魔法 追跡 気配遮断
レアスキル
精霊魔法
(おっ!ルーってレアスキルがある!)
と思いながら
今度は妹のマイを鑑定すると
マイ・シンクス(120)レベル27
ハイエルフ族(亜種)
HP120/120
MP30000/30000
装備品:魔力封印の手錠
スキル
打撃技 土魔法 火魔法 闇魔法
光魔法 家事魔法 鑑定眼
鍛冶 木工 魔導術式
レアスキル
魔力放出限界突破
(な、なんだ?このスキル?
MPも異常に高い!)
と妹のマイのステータスを穴が
空くようにジロジロと見ていると
「そ、そんなに胸ばかり
見ないで下さい!」
と姉と違って平壁のような胸を
恥ずかしそうに手で隠した。
「あっ!ご、ごめん!
でも違うんだ!む、胸は見てないんだ!
そもそも見るほどはないし・・・」
「あ、ありがとうございます!」
「あ、ありがとう?・・・
あ~、い、いえ!
そ、その他の所を見つめていまして・・・」
と言うとマイはとっさに両手でお尻を隠し
「はっ!さては、旦那様は私のお尻も
叩きたいんですか?」といいながらも
マイは静かに向こうを向いて
「・・・どうぞ・・・」
と今度も姉と違うが、
小さなお尻を
しずしずと差し出してきた。
そんなマイを見た俺は
(や、やばい、か、かわいい・・・)
と差し出されたミニスカ越しの
お尻を見入るも
「い、いえ、その・・・
お尻でもないんですが・・・」
「では、私のステータスを?」
「あ、あ~・・・実は・・・
(最初からステータスを見てたの
知ってたのかな?)」
「そうですか。見てしまったのですね!
そうなのです。私は忌み子なのです。」
「忌み子?」
「はい!私は魔力の操作ができなくて、
一度魔法を使えば途切れる事な
くすべての魔力を放出し、
辺り一面とんでもない事になるのです。
当然、私自身にも・・・」
とマイが言いかけると
「く~!まだだ!」
地面にキスしていたルーが尻を
押さえながら涙目で
こっちを睨みつけている。
「まだやるの?姉さん?」
「当たり前だ!さっ夫殿!次は弓で勝負するぞ!」
とヨロヨロと立ち上がった!
「まあ・・・いいですけど・・・」
と渋々受けると
ギチチっ!シュピン!とルーは遠くにある
高い木になる小さな松ぼっくりを射抜いた。
「どうだ!はははっ!
あれ以上小さい物は打てまい!はははっ!」
とかなり勝った気でいるルー!
「姉さん!また・・・
そんな事では旦那様に
可愛がっていただけませんよ」
「やかましい!私は負けるのが嫌いなのだ!」
そんな二人のやり取りを横目に
俺は早撃ちの構えを取り
ドン!
銃声が鳴り終わる前には
ホルスターに銃をしまった。
銃口から飛び出た鋭く尖った硬い硬質ガラスは
大きくカーブを描き
ルーの射抜いた矢に目掛け飛んでいく。
しかし、いきなり大きな音にビックリした二人は
「うわっ!今何をしたのだ?」
「ビックリした~!えっ?姉さん!あれ?」
とマイが先ほどルーが
射抜いた矢の方向を指差した。
そして、それを見たルーは
「な、な、なんだ・・・と・・・」
ガラガラガラガラガラっ!
俺はルーとマイを荷馬車に乗せて
ダンジョンに向けて走っている。
「馬もないのに進むなんて、
不思議な馬車ですね!旦那様!」
と横にいるマイが色々キョロキョロして
関心している。
「そういえば、鍛冶スキルがあったよね!
こういうの興味あるの?」
「当然です!
私は姉さんのように戦闘に長けてる訳でも
ないので
里の父の鍛冶場を手伝っていたんです。」
「えッ?じゃあ、あの鍛冶場の男性が
お父さんなの?」
「はい!私たち姉妹を
男手一人で育ててくれた自慢の父です。」
「へ~!」
「私が魔力を上手に扱えないと分かっても、
里に住み辛くないよう鍛冶や魔道具の作り方などを
教えてくれたんですよ!」
「魔道具?魔道具が作れるの?
あっそういえば、
魔導術式とかいうスキル持ってたね!」
「はい!
あれで組み込んだ通りの魔道具が
できるんですよ!」
「凄いね!じゃあ、何かあったら頼むよ!」
「はい!・・・・・・・・・」
とマイは返事をしつつも、
やはりこの荷馬車に興味があるようで
再びキョロキョロとし出した。
「・・・運転してみる?・・・」と俺は
ギバッタんっ!
とシフトレバーを元にもどし、
荷馬車を止めると
マイはパーと明るい顔になり
「いいんですか?姉さん!
旦那様がこの魔導車を操作していいと
おっしゃいましたよ!」
とすぐ後ろの暗い荷台の中で反対を向きながら、
体育座りしているルーに話しかけると
「・・・おめでとう・・・(小声)」
(声小っちゃ!)
「もう!まだ、拗ねてるんですか?
良いじゃないですか!
タダシ様は私たちの夫なんですから!」
すると
ルーは膨れながらチラっとこっちを見て
「・・・良くないもん!・・・」
と今度は体育座りのままコロンと横になり、
後ろの車窓から外を見ている。
(かなり、ふて腐れてるな・・・)
「姉さん!何をそんなに怒っているんですか?
いつまでもふて腐れてないで
理由をおっしゃって下さい!理由を!」
「・・・壊すことない・・(小声)」
「・・・え?今なんて言ったの?」
「今、姉さんは壊すことないっと言いました
あ~わかった!
姉さんは旦那様に自分で打った矢を
粉々にされてふて腐れてるんですわ!
そうですよね!姉さん!」
再び、寝ながらチラっとこっちを
見てプイっとするルー!
「もう姉さん!」と横で怒るマイには悪いが
(なんか縁側で美女が
寝てるみたいでエロいな!)
荷馬車の後ろから入り込む光が
ルーの体のラインのみを映し出すのだが
マイと違って大きい胸に
引き締まったウエスト、
そして分かってはいたが
お尻の大きいのシルエットが
こうすると余計、際立つ!
「ごめんよ!ルー!
ほら、このハニーポーションを煮詰めた
もの凄い甘い飴あげ・・・」
とポケットから取り出すや否や、
シュっ!バっ!
ヒラヒラと
いつの間にか飴の包み紙のみが空を舞っている。
コロコロとルーが飴を口の中で転がし
「ぱー、みぱぱぱるぱ(まあ、許してやる)」
「早っ!でっ今、なんて?」
と屋根に登ったルーを追いかけるように
言うと代わりにマイが
「姉さんは許してくれるそうです!」
とマイも手を出してきたので
「一応、言っとくけど、コレ高いからね!」
結局、マイにも渡して運転を変わった。
ガラガラガラガラ!
マイは荷馬車を運転を少し教わったら、
まったく問題なく運転でき
「凄い!こんなに甘い物は初めて食べました。」
「そう?他にも甘い物は
作れるから、また作るよ!」
と言った瞬間
ガバっ!
上からルーが運転席の前に
覆いかぶさるように身を乗り出してきた。
「ホントか!タダシ殿?」
「ちょ、ちょっと姉さん!前!前!キャ―――!」
「うわっ―――――!」
グラララっ!
俺たちはこんな感じで一路、
里近くのダンジョンを目指した!
一方エルフの里では
「長老!いよいよだね!」と
ルーとマイの父親が自らの母親に話しかけた。
「うむ!300年前、
この地で勇者様が治療してくれた時以来じゃ」
と長老は一人前に出ると、
里を見守るように生えている世界樹の根元に近づく。
シュピンっ!
とエクサリーポーションのビン開け
トクトクトクトク!
ビチャっ!ビチャっ!ビチャっ!
里のみんなが固唾を飲んで見守るが
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・なにも・・・起きないですね・・・」
「・・・うむ・・・」
「薬が違うのでは?」
「いや、そんな事はない!
ワシの鑑定眼は間違えん!
・・・しばらく、様子を見よう!」
と長老は連れてきた里の人たちとその場を後にした。
しかし、世界樹の下、
深い深い地中の根にはとんでもない事が起きていた。
グっ!ググっ!
ギキ―!
がチャンっ!
荷馬車が止まり、レバーをマイが元に戻すと
「ここです。旦那様!」
「ここが?」
荷馬車の前には深い森の地面に突如
巨大な穴が現れた!
ガチャっ!
とドアを開け、降りようとすると
ズサっ!
屋根から先にルーが下りてきた。
「相変わらず、暗いとこだ!
こんな物!
早く塞いで森に埋もれてしまえば良いのだ!」
俺もその穴に近づくが
「・・・深いな・・・
これどうやって降りるの?」
「この上からぶら下がっている
ロープで降りますわ!旦那様!」
と上の太い枝から垂れているロープを
こっちに手繰り寄せてくれたが
と今にも切れそうな
ボロボロのロープを目にして
(このロープ
・・・かなり時間がたってるよな?
このダンジョンの入り口もかなりデカイ・・・)
と少し疑問に思い聞いてみると
「・・・ね~・・・
このダンジョン最近出来たんだよね?」
「そうだ!ちょっと前だ!」
「それ・・・いつ?」
「30年位前?」
とマイがルーに聞くが
「30年?」と俺は驚きつつも
「その間、誰も入ってないの?」
「入ったぞ!発見時に!」
「だれが?」
「私だ!」
「・・・じゃ、じゃあ、そこから誰も?・・・」
「そうだ!長老にも見せたが入らなかったぞ!
それがなんだと言うんだ!」
「いや、もしそうならこの中、
魔物で溢れかえってるんじゃない?
下手したら
スタンピード!(魔物暴走!)が起きるよ!」
「ス、スタンピードだと?」
「そ、それって昔話ではないんですか?」
「え~!知らないの~!?
なんで?なんで?エルフって知識の泉って噂じゃん!」
「確かにそうですが、旦那様!
そもそもエルフの里周辺には
通常ダンジョン発生の原因である魔力溜まりが
起きません!」
「なんで?」
と聞くとルーとマイが顔を合わせて
「「世界樹様のおかげで!」」
と二人に声を合わせて言われてしまった。
「・・・あっそうか!・・・」
俺は、そう二人に言われてこっちに来てから
、ある方に言われたのを思い出した。
世界樹は、その周辺の地面、
空気から魔素を吸収し、大きくなるため
魔物も弱り、より安全になり、
木々ばかりが成長する特殊な地域になるため
昔から、他種族と交わりたがらないエルフが
その木々が生い茂る
深い深い森になった世界樹の周りに
里を作るんだそうだ!
だが、俺はやはり腑に落ちず
「・・・じゃあ、
なんでここにダンジョンが?」
「長老様がおっしゃるには
普通ダンジョンは最初小さく弱弱しく始まり、
少しずつ周りの魔素や魔物を吸収して
大きくなっていくらしいのですが、
このダンジョンは特別で世界樹様の影響下でも
つぶれない位、最初から強く大きかったらしいのです。
そこで、発見時から鉄を集め始めダンジョンにフタをし、
これ以上大きくならないように
しようとしていたらしいのですが・・・」
「それが30年前・・・って事は30年も鉄を集めてたの?」
「そうだ!私も里の外で魔物の持ってる武器を
狩っては回収したり、
鉄鉱石を回収したりとなんとか集めてはいたが、
やはり量が足りなくてな!」
「そこへ俺が来たと?」
「ええ!」
「そうだ!」
と二人が同時にうなずく。
「そうなんだ!
じゃあ、なんとかしようとはしてたんだね!
とにかく中の様子を確認しに行こう!」
とルーとマイに俺が使ったのと
同じポーションを目の前で作り
魔物避けポーション:魔物が非常に嫌がる臭いがする
耐物理攻撃ポーション:物理攻撃を無効化する
耐魔法攻撃ポーション:魔法攻撃を無効化する
×2
カチャカチャっ!
「二人ともこのポーションを体にかけて貰える?」
と二人にそれぞれ一本ずつ渡した。
ズ――――――――!
ズシャっ!
ズ――――――――!
ズシャっ!
ズ――――――――!
ズシャっ!ズシャっ!
俺たちはロープ伝いにダンジョンの中に入り、
下まで降りると
「やっぱり・・・」
「どういう事だ?」
「姉さんも旦那様もどうしたのです?」
「ルー!30年前とは全然違うんでしょ?」
「ああっ!まったく違う!
これほど、大きな洞窟ではなかった。」
俺たちの目の前には8車線のトンネルのような
薄暗い洞窟が延々と続いていた。
「これ光コケがなかったら、
広すぎてまったくわからないね!」
「そうですね・・・あっ旦那様!魔物が!」
とマイと低階層によくいる
ホーンラビットを少し離れた場所で見つけて構えた。
ホーンラビット(14)レベル23
HP50/50
MP30/30
スキル
角飛ばし
そんなマイを見つつも、
俺はいつものように
(あの角、飛ばせるんだ!)
とまるで触れ合い系の動物園でもいるかのように
近づこうとした。
しかし、
ギチチっ!とすぐ横でルーが弓を引いた。
「あ~、そうか!言い忘れた!
二人とも別に攻撃はしなくていいから!
ルーも弓を下ろして!」
「な、何を言っている?
あの魔物は凶暴だぞ!
森でも毎日のように私は角を飛ばされてるんだぞ」
とルーは怒鳴ってくるが、奴隷魔法のせいか
弓を収めた。
「ど、どういう事なのですか?旦那様!」
「まあまあ、俺についてくれば分かるから!」
と嫌がるルーと怖がるマイを連れてホーンラビットに近づいていく。
「ちょっ、待て!この距離はまずい!
こいつらの角は意外に早いんだ!
おい!聞いてるのか?」
「えっ?えっ?ホントに!
ホントに近づくんですか?えっ?えっ?」
と二人が騒いでいるが、俺は無視して近づいていく!
すると
赤い鼻をピクピクさせていたホーンラビットが
ビクっ!とこちらを見て、固まっている。
「ほら!来た!弓を使わせろ!手を!手を放せ!タダシ!」
「旦那様!旦那様!」とマイは俺の背中に隠れ
ルーは
シャキーン!と空いてる片手で剣を抜いた!
「大丈夫!大丈夫!よほど強くなければ・・・」
と俺はさらに近づいていくと
ダっ!
とホーンラビットは走って逃げていった。
「「???」」
「どういう事だ?
あの魔物が逃げるだと?
普段なら例え、交尾中でも襲ってくるというのに・・・」
「そ、そうよね・・・
姉さん、昔、交尾中だから大丈夫とか
言って後ろから近付いたら
とんでもない事になってたもんね
・・・どうして?」
・
と二人が不思議がっているので
「これが、さっきのポーションの効果だよ!
魔物が嫌がる匂いのと
魔法、物理攻撃を無効にする効果さ!」
「無効?」
「無効にできるんですか?
い、いや、魔物避けは私も知っていますが・・・」
と二人はまだ半信半疑だ!
「試しに二人とも自分になにか
小さい魔法かけてみたら?
ルーは風で、マイはこれを飲んでから種火でさ!」
マジックポーション:
魔力を完全イメージコントロールできる(永続)
注意事項:圧死は防げない!
「えっ?魔法を?で、でも私は・・・」
とマイは戸惑うも、
奴隷魔法で主人の命令に逆らえず
ポーションを飲み干し
、指先に小さな種火を付けて
それに手をかざした。
「えっ?えっ?熱くない?
い、いや、ていうか、
私が魔法を使いこなせてる?」
「な、なんだ?これは?
風の刃が見えない何かにぶつかり、
私に届かん?どうなっているのだ?」
二人は驚いているが
「まあ、こんな感じだよ!
マイは、ずっとそのままだから
、魔法の練習はマイに任せるからね」と
ちょっと二人から離れ
マジックBOXから
ズ―ン!
とバイクの形をしたポーションを出した。
俺はゴーグルをすると二人にもそれぞれ手渡し
「さっ!二人とも乗って!
マイが俺の前でルーが後ろね!」
とハンドルのチェックをしようとしたら
バっ!とマイに腕を捕まれ
「旦那様!なぜ姉さんが後ろなんです?」
とすごい笑顔とオーラで睨まれた。
「え、え~と・・・じゃあ、マイが後ろで・・・」
結局、ルー、俺、マイの順番になった。
「これも、あの荷馬車のように走るのか?
車輪が見当たらないが・・・」
とルーがキョロキョロしているのに対し
「むばば!ふがたんたふががたんた!
(姉さん!旦那様に任せてれば大丈夫よ!)」
と俺の後ろに顔ごと、
ない胸を押し付け何か話しているマイ!
「そうだな!任せよう!」
とルーが普通に返事をするが
俺は(なぜ、わかるんだろう?)と思いつつも
「これは飛ぶんだよ!」
と真ん中のレバーを軽く引いた。
ふわっ!
「きゃっ!」
「おわっ!」
と二人が驚いているが
「じゃ、行こう!」
とライトをつけ、右手のアクセルを捻り
ギューン!
俺たちはそのまま、
ダンジョンの調査に向かった!
エルフの里 長老の部屋
ズズっ!(茶をすする音!)
「うむっ!うまい!
やはり孫が嫁に行き、まもなく、
世界樹様も元気になる。
いやー、しかし、心配ごとが減ると
茶がうまくなるの~・・・ズズ~」
明らかに、
日本人の影響を受けている和室に椅子、
テーブルを置き、くつろぐ長老で
あったが
「長老!」
「ぶ―――!
な、なんじゃ?騒々しい!
いきなり叫ぶな!びっくりするじゃろうが・・・」
「い、いやー、すいません!
ですが・・・ロイさんが大変だから、
すぐ呼んで来い!って」
「息子が?・・・何が大変なのじゃ?」
「そ、それが
・・・せ、世界樹様が・・・」
「世界樹様・・・?」
と湯呑をテーブルに置き、
自分の部屋の窓から世界樹が見える
位置に移動すると
「な、なんじゃ!ありゃぁ――――――――!」
なんと長老の部屋から見た世界樹は
45度傾いていた!
バタン!
家のドアも閉めず、
とにかく急いで世界樹の傍まで行った長老は
「どうしたロイ?なにがあったのだ?
なぜ世界樹様を切った?なぜじゃ!?」
と息子のロイを見るなり飛びつき、
胸倉をつかんでパニックになっている。
「いや、違う!落ち着いてくれ!
長・・・母さん、ち、違う!
切ったんじゃない!
世界樹様が勝手に曲がったんだ!」
「ま、まがった?・・・」
長老はその言葉に要約、正気を取り戻し
見事に根本から45度傾いた
世界樹を改めて見てみると
「な、なぜ曲がっているのだ?
いつだ?いつ曲がった?」
「それが、ついさっきなんだ!
そこで見回りの者と話していたら、突然・・・」
とロイが喋っていると
グガガガッガ!
ともう枯れてから100年は過ぎ
、花はおろか、葉さえも咲かせなっかた世界樹が
いつの間にか満開の花を咲かせ、揺れ始めた。
「おい!そこのお前達!すぐ離れろ!」
「う、うむ!全員この場を離れるんじゃ!」
エルフたちは一斉にその場を後にした。
グガッガッガガっ!
エルフたちが見守る中、
世界樹の動きが止まると
今度は世界樹が反対に120度
向こうに傾いていた!
「ど、どうなっておるんじゃ?」
「まるで、生きてるような・・・」
と隣のロイがつぶやくと今度は世界樹が
ユサユサと上下に振れ始め
ズズズズズズズズ―――――!と
巨大な世界樹の根っこが地面の上に反り上がった。
そして
ズズ―――ん!
まるで足のように根が地面につくと
同じように残りの根も
ズズズズズズズズ――――――ンっ!
と地中から引きずり出され、地面についた。
「・・・・・・・・・・」
「い、一体・・・なんなんじゃ?・・・・?」
里中のエルフが見守る中世界樹は
ズ―――――ンっ!
ズ――――――ン!
ズ――――――ン!
とダンジョンのある北の方へ、
歩いていってしまった。
里でそんなとんでもない事が
起きているとは露知らず
俺たちはもう4度目の階層ボスに挑んでいた。
ドーン!
俺があげた小型爆薬ポーションを
つけたルーの矢がオークジェネラルの頭を
吹っ飛ばした。
「いいね!ルー!」
と俺も素早く銃を抜くと
ドドン!
早打ちで近づいてくるオークや
ちょっと離れた所で魔法を唱えようとしている
オークメイジを2発の飛び交う弾丸を
操作して仕留めていく。
ぐえ!
ぎゃ!
ぶひ!
そして、階層ボスフロアーの中央いる
オークキングが手下に囲まれてる所では
「おらぁ!」
バキバキバキっ!
マイが攻撃してくる手下たちは無視して
目の前の階層ボスのオークキングの
両腕をへし折っていた。
「粗方、終わったな!」
とルーが弓を下ろすが
俺はマイの周りにいる
雑魚オークを飛び回る弾丸で倒しながらも
「おらぁ!ならっ!死ね!死ね!」
と石床に倒れたオークキングのマウントを
取ったマイが
顔面をボコボコにしているのを見て
「・・・な、なあ
・・・もしかして、マイって・・・」
「んっ?あぁ、あれか?
そうだな、接近戦では、私でもマイには勝てん!
長老が言うには魔力だけならドラゴン並だそうだ!」
(ド、ドラゴンって・・・)
そんな話をしていると
突如、マイが片手を振り上げ
「ぬりゃああああ!」
ズオオオオ!と
マイがその膨大な魔力を自らの拳に溜め
ズゴーン!
トドメの拳が、オークキンの顔面にめり込み、
ピクピクと足が痙攣している。
「・・・マイは怒らせないようにしよう・・・」
とにかく倒した魔物の死体を
俺のマジックBOXに回収していくと
「それにしても旦那様のスキルは凄いですわ!
魔物の攻撃は一切届かないし、
今まで魔力で苦労していた私が、
こんなに魔力を使いこなせるなんて・・・」
と血だらけの拳を拭きながら
、姉のルーに近づいていく。
「まったくだ!
ここまで来るのも早かったし、
あの爆裂魔法を付与した矢は最高だったぞ!」
とマイを見ながら言い、
足元のまだ息のあるオークを足で踏みつけ
ズガンっ!
見もせず、ノールックで至近距離から
、矢を頭に打ち込んだ!
二人とも俺を称えてくれるが
(こっちのセリフです!)
一緒に戦ってみてわかったが
、俺の嫁たちは二人とも凄い!
ルーは接近戦もできるが、たしかに弓がうまい!
マイは魔力操作を覚え、魔法も接近戦も強すぎる!
(どうしよう
・・・このままでは俺の夫としての威厳が・・・)
「さっ!40階層も終わったので次に参りましょう!
旦那様!
前の30階層では私の胸の感触を
味わって頂いたので
次は姉さんの大きいだけのお胸を
背中で味わっていいですよ!」
「ありがとうございます!」
俺は90度でお礼を言いと
早速、バイクを出し、
さっき教えたばかりのマイに運転を任せ、
俺も乗り込んだ!
しかし
「そ、そのちょっと離れてもいいか?
そ、その、は、は・・・」
とルーが顔を真っ赤にして
俺の後ろに座るのをためらっている。
「姉さん!旦那様は夫よ!
今夜はもっと凄いことするだから
こんな事でためらってどうするの!」
「もっと凄いこと?」とルーが震えながら、
驚いているが
(どんな凄い事をさせてもらえるんですか?)
と俺も気が気でない!
ルーは、妹に促がされ、
しぶしぶ俺の後ろに乗ろうとした
その時
ドゴ―――――――ン!!!!!!
バラバラバラ!
「うわっ!なんだ?」
「きゃ―!」
「・・・・・・・」
上の方からなにかもの凄い衝撃が
ダンジョン全体に伝わって来て
俺とマイは体を丸めビビっていたが、
上から洞窟の細かい石が崩れてくる中
ルーだけが長い耳をヒクつかせ、
瞬き一つせず、上を睨んでいる!
「なんだ?なにが起きた?」
俺も慌てて上を見るが
「揺れが・・・止まった?」
と二人を見るが
二人とも長耳を細かくパタパタとさせ、
上を見ている。
「どうだ?マイ?感じるか?」
「ええ!姉さんは聞こえる?」
「ああ!何かがこっちに向かってくる!」
人の俺にはわからないが
、エルフの二人には
間違いなく何かが近づいて来ているのが
、分かった。
「何かってスタンピード(魔物暴走)じゃないよな?
あれは下から上だし・・・」
「とにかく、逃げましょう!
猛烈なスピードで振動が近づいてます!」
とマイは言うと
ガチャっ!レバーを引き、
フワっ!バイクを浮かせ
マイがアクセルを捻ろうすると
「来た!」つぶやくようにルーがボス部屋の扉の方を睨んだ!
そして
ズゴゴゴゴゴゴっ!
今いる40階層が突然、揺れ始めた。
「何か分かんないけど、来た!来た!来た!」
と俺があまりの振動に慌てると
ブルルル―ン!
マイは無言のまま、すぐに発進させ
ボスを倒した時に現れた下層に行く大きな穴に
俺たちは飛び込もうとした瞬間
ドカ――――ン!
ズロロロロロロ!
ボスを倒すまで閉じていた重い巨大な鉄の扉を
ウネウネと動く木の根のような物が入ってきた。
「あれは、根か?」とルーがとっさに弓を構えるが
ギガガギ!家が台風で揺れてるのかと
思うくらいの轟音が鳴り響いている。
「うわ――っ!なんだ?何あれ?」
と俺が鑑定してする間もなく
マイの運転するバイクは
それとは対照的に静かに暗い暗い
下の下層の穴へと下りていった。
ヒュ―――――
バタ!バタ!バタ!
バイクのライトの他は
、暗くただ、着ている服が風にたなびく中
「くそ!しかたない!
マイ!危険けど、少しでも距離を稼ぐよ!
その真ん中の赤いボタンを押して!」
「え?これですか?」
「そう!ルー!これは洒落にならないスピードが出るから!
冗談抜きでしっかり捕まって!」
「わ、わかった!」
とルーは渋々、俺の背中に胸を押し付けた。
プニンッ!
「ルー!」
「な、なんだ?」
「ありがとう!」
「くっ!」
暗い穴の中でもわかる位、
ルーの顔が赤くなった。
(か、か、可愛すぎる・・・)
そんな俺たちを無視してマイが
「二人とも行きますわよ!」
ポチっ!
ガクンっ!
バイクの後ろが開き、太いパイプが現れると
ドーン!
「きゃ!」
「うわっ!」
「くっ!」
加速した俺たちは、一気に下層に降りていく。
ゴオォ―――――――!
突風が顔に当たり、うまく呼吸ができない!
すると
運転しているマイが
「旦那様~!」
と後ろにいる俺に大声で叫んでいる1
「なに~?」
「光です!でも、様子が~!」
俺は身を乗り出し、
突風の中、目を細め向かう先を見ると
ウジャウジャ!
と何か大量の生き物が動く影が
「な、なんて最悪のタイミングだ!
あれはモンスタールーム?!
スタンピード(魔物暴走)
の前触れじゃないか?」
やはり、当初の懸念通り、
放置され過ぎたダンジョンは、
スタンピードの準備をしていた訳だが、後ろから
「なんだと?じゃあ、逃げ場がないではないか!」
といつも冷静なルーも取り乱している。
(前は魔物の海!後ろは正体不明の巨大植物!)
俺は必死に打開策を考えるが
ドッカ―――ン!
はるか上の穴の入り口を巨大植物が
岩を削りながら、下へと入ってくる。
「くっそー!」と俺は前を改めて見る!
光が見えた先にはいままでの岩の洞窟とは違い、
途中から長い長い石階段になっている。
(こ、これは・・・)
「マイ!どうやらこの先は多分迷宮だよ!
このまま、魔物の中を突っ切ろう!
後ろにはどう考えても、戻れない!
魔物は全部跳ね飛ばして!」
「分かりました!旦那様」
ググっとマイはハンドルを強く握りしめた!
「ルー?!」
「なんだ?」
「コレを!」
と俺はさっきルーに渡した
爆発する矢尻型のポーションが
大量に入ったバックを渡し
「これで!後ろから援護を頼む!」
「了解だ!」
とルーは、俺の手をギュっと握り締めた!
「そろそろですよ!」
マイは旨くスピードを落とし
階段ぎりぎりを這うように下りていくと
41階層に入った瞬間
ズアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアア
アアアアアアアアア!
まるで石切り場のような無造作に
切り出された岩が
上からも下からも生えているようにある巨石郡
その見渡す限りの入り組んだ岩々の壁、橋、床に
通常なら間違いなく
どこをどういったらまったくわからないような迷宮だ
そして
所狭しとひしめく魔物たちが一斉にこっちを見て
グギャぁ!
ギャギャー!
ブヒブヒ!
ウギャウガ!
ゴブリン、オーク、コボルト、
オーガ、ダンジョンモンキー
ダークスネークなど
今まで見たこのダンジョンの
魔物の大集合が天井スレスレを
飛んでいる俺たちを、
見上げながらお出迎えてくれた。
「マイ!このまま真っ直ぐ飛んで!
床の魔物なんか相手にしてられないよ!
上から伸びてくる岩に注意して!」
「かしこまりました。旦那様!」
しかし
魔物は床を這うタイプだけではない!
「タダシ!ポイズンバードだ!」
とルーが矢を放った!
シュカン!
グェ~・・・
汚い灰色の鳥は矢に射抜かれ、
そのまま床に落ちていく!
「よし!俺とルーは空中の魔物を倒しつつ、
階段を探すんだ!マイ!運転頼んだよ!」
と俺はこれまた、自作のAKマシンガンを取り出し
ガッシャン!
と弾を込めた!
一方、はるか上の地上のエルフの里では
長老が世界樹が埋まっていた場所を
詳しく調査するため、その深い穴に入り
「う~む・・・」と世界樹の根の切れ端と
思われる小さな根を虫眼鏡で見るが
1000年以上生きてきて始めての現象に
「わずかだが、
まだこの根も動いておる
・・・まるで生きておるようじゃ・・・」
と一人穴の中でつぶやき
「この細かい根もすべて回収するのじゃ!よいな!」
と里の女たちに言うと
「「「はい」」」
と女たちも手で世界樹の残した
根、葉、実を回収していった。
長老は地面を蹴り、一気に上へ駆け上がると
それら里の女たちを監督しつつ、
北に移動し、なぜか止まった世界樹に目をやり
「一体どうなっておるんじゃ?・・・」
すると北から走ってくる若いエルフが
「ん?あれは・・・」
「長老!
世界樹様がダンジョンの穴をふさいでくれたぞ!」
と世界樹の確認に行かせた者たちから知らせが来た!
「な、なに?ダンジョンを
・・・ど、どういう事じゃ!」
「今、他の里の若い衆に見張らせているが、
どうもダンジョンの穴に根をズルズルと
入れていく所を目撃してから、
一切動く気配がないらしい!
すぐに確認に来てくれ!」
「い、いや、待て!
タダシは?マイにルーも奴を
追っていったはずじゃぞ!」
「タダシ?・・・あ~あの人族のか?
そういえば、最初に着いた奴が妙な事言ってたな
・・・荷馬車を世界樹様が、
退かしてからダンジョンに
植わったとか何とか・・・」
「な、なんじゃと!」
ダンジョン最下層
「マイ!マイ!
壁だって!うおー!ぶ、ぶつかる―――――!」
ドカカーン!
ぐぎゃっ! グシャっ!
ゴフっ! グシャ!
ブギャっ! グシャシャっ!
マイの運転するバイクは
直角にドリフトして魔物を壁に
叩き付けながら止まった!
「はー!はー!つ、着きました!」
マイは息を切らしながらも、
前方にある大きなボス部屋の扉を
見ている。
前から来る魔物の大群を蹴散らし、
後ろから迫り来る、
なぞの巨大根を振り切った自分に
少し酔っていたが
「マイ!このまま行け!何をしている?」
とルーが弓を構えつつも急かすが
「ちょ、ちょっと待ってよ!
あれ、多分最終ボス部屋だよ!」
と俺は一旦止めた!
なぜなら
俺たちは41階から50階まで魔物を蹴散らし、
一気に降りてココへたどり着いたが
もう3人とも慢心相違でクタクタなのだ!
その上
今までのボス部屋とは比べ物にならないほどの
大きな扉の門から最終ボスと判断したのだが
、このボスはこれまでのボスと違い、
ダンジョンコアを守るボスのため必ず、
強い魔物が用意されている。
俺たちは、少しためらって扉を
見上げるが後ろから容赦なく
ドゴゴゴ――――ン!
グガー!
ギャギャギャ!
ゴフゴフゴフ!
と上で取りこぼした床にいた魔物たちが
後ろを気にしながら、
こっちへ全力で逃げてくる。
だが、ルーの耳はその後ろから来る物の
音を捉えていた。
「来た!マイ!タダシ!行くしかないぞ!」
とルーが言った瞬間
ド―――――ン!
ウネ!ウネ!ウネ!
巨大根がとうとう俺たちに追いついてきた!
「旦那様!行きましょう!」
とマイがアクセルを回そうとするが
「まだだ!」
と俺はマイを止めた!
「なぜ?どうしてです?」
「そうだ!タダシ!
あいつとダンジョンボスでは、
まだダンジョンボスの方が生き残れるぞ!
あれが見えないのか?」
とルーもマイも必死だ!
あの巨大根に襲われている魔物たちは、
その根に触れた瞬間、
まるで綿アメが溶けるように
吸収される。
(確かに俺も今すぐボス部屋に入りたい!)
ダンジョンボス部屋はその性質上、一旦、
前の冒険者が入って中のボスを倒すか冒険者が
死ぬまで扉は開かない!
「もうちょっとだ!もうちょっと・・・」
俺はそれでも二人を止めた!
そして、そうこうしている内に
魔物たちを襲っていた
巨大根の一本がこちらを向いた!
「よし!行くよ!」
ブロロ――ン!
マイがバイクを急発進させ
、扉に向かうと扉が開き始めた。
「まずい!追いつかれるぞ!」
と爆裂矢を放つが
シュン!
「くそ!矢も吸収するのか!」
「うおー!間に合え~!」
俺たちは
まだ開ききらない扉を縫うように
、すり抜け
ダンジョンボス部屋の
天井ギリギリを浮いたまま下を
見下ろすと
グルルルルルルっ!
50メートルはあるヘビーモスが
下から俺たちを睨んでいる!
「ど、どうするんですか?
もう行き止まりですよ!」と
マイが怯えながら訴えてくる。
グリルルルルルルルルルルっ!
ヘビーモスはさらに、
俺たちを睨んだまま、威嚇して姿勢を低くした。
「まずい!ここまで飛んでくる気だぞ!」
ギチチっ!
とルーが弓を構えたその時
ドカ――――――ン!
まだ全開でなかった扉を
巨大根が強引に開き
、中へ入ってきた。
ズゴガ――――ン!
「キャー!あの重い扉をなぎ倒した~!」
「くそっ!くそっ!完全に逃げ場がないぞ!」
とマイとルーがかなり興奮しているが
俺は冷静に
(ヘビーモスの注意が巨大根へ行った!)
「今だ!あの最後の扉へ!」
とダンジョンコアが
あるであろう部屋の石の扉を指さした。
「はい!」
マイがその扉目指し、アクセル全開にした。
ポーション師の嫁取り物語 第2話
シュピン!カーン!
「あ、危ねー!」
俺の頭をかすめ、
エルフの矢が木に突き刺さった。
「待て!逃がすな!」
「追え!追え!」
シュピン!カーン!
シュピン!カーン!カーン!
「ぐあ!」
森深い木々に足を取られ、
俺は転んでしまった。
「くっ!クソ!やっぱり無理か!」
改めて言うが
俺はタダシ・セキネ!
設計事務所のブラック企業で
いつものように残業をし、いよいよそのまま、
の日の開業時間が近づいてきて過労死したらしい!
そして、こっちの世界に突然飛ばされた転移者だ!
セキネ・タダシ(30)レベル1
HP5/10
MP5/5
スキル
設計
鑑定眼
マジックBOX
レアスキル
ポーション師
ギチチチチ!
ギチチチチチチっ!
俺は倒れながら、辺りを見回すと
そこら中から、弓を引く音が聞こえ
ギチチっ!
俺の鼻先に矢を向ける
透き通るような肌の巨乳金髪美人が
矢を向けてきた。
「おい!ヒューマン!
貴様の荷車は預かったぞ!言え!
なぜ我らエルフの里に近づいた?」
「ちょっ!ちょっ!ちょっと待って!
誤解だ!誤解だって!打つな!打たないでくれ!」
「早く言え!また、我らエルフを攫いにきたのか?
言えっ!そうなのだろう!」
「ち、違う!そうじゃない!
俺は嫁を探しにきたんだ!」
「・・・よ、嫁だと?・・・」
ざわざわ ざわざわ
「人?」
「人族の男だ!」
「なぜ人族の男が・・・」
俺は今、手を後ろで縛り上げられ
エルフの里の広場に座らされている。
見張り付きで!
(は~・・・やっぱり無理だな・・・)
俺がこの世界に来たのは、一年前!
最初は苦労もしたが、
貰ったレアスキルと鑑定眼・マジックBOXで
なんとか町で商業ギルドに入り、
ポーションを売り始めたのが大成功!
俺のレアスキルポーション師は
なんの魔力も材料も使わずに幾らでも作れる上
どんな種類でもどんな形のビンでも作れる凄いスキルだ!
レアスキル:ポーション師
・なんの材料、魔力を必要とせず、無制限に作れる
・どんな種類、形も作れる
・作ったポーションは自在に操れる
・ポーション師はを付与、錬金できるため
付与師、錬金術師としてもスキル的には問題なく
できる。
俺はこのレアスキルで色々な町、村で稼ぎまくったが
(やはり、一人は寂しい・・・)
そこで思いついたのが、嫁を探す事だった。
しかし、
いきなりよそ者の僕と結婚してくれる人がいる訳もなく
「そうだ!奴隷の女性を探そう!」
と近くの大きな町の奴隷ギルドへと足を運んだのだが
「・・・ひ、ひどい・・・」
奴隷ギルドで紹介されたお嫁さん候補は
オーク?のような巨漢の女性
枯れ木?のようなガリガリの女性
ヒゲ面の男性
「いや、最後の男じゃん!」
結局、どうしたもんかとトボトボと歩いていると
ふとっ!冒険者ギルドが目に留まった。
ちょっと入ってみると
掲示板には様々な依頼が張ってあったが、
その中に
領主依頼
エルフの女奴隷
ランク問わず
金500枚と
よくわかっていないのか
たまに目撃される場所が書かれていた。
「これだ!でも、猟師が森で脅されるのか・・・
何かエルフが喜びそうなの持って行こう」
俺はすぐ様、商業ギルドに戻り、
町のギルド唯一の男性エルフに里で
欲しがってそうな物を聞き出し
荷車で目撃された場所を目指し旅だったのだが
深い森の中だったためか、すぐ迷子になり
そして、
ドカっ!
「おい!長老が来た!立て!」
と現在、美人エルフに蹴りを入れられている。
「痛って!」
俺は縛られながらもなんとか立つと
エルフの長い耳をさらに長くしたお婆ちゃんが
杖をついて歩いてきた。
「そなたが嫁を探しに来た男か?」
「・・・・・・・・」
「答えろ!」
ドカっ!
「痛っ!わかった・・・蹴るなよ!
・・・そうだ!エルフの嫁を探しに来た!」
と俺は洗いざらいの事を話した。
異世界から来た事!
ポーションが作れる事!
冒険者ギルドで女性エルフの奴隷に金貨500枚
の依頼が出てる事!
ざわざわ ざわざわ
「ちょっとあたし達が!」
「おい!どういう事だ?
人族が俺たちに懸賞金をかけるなんて!」
「落ち着け!お前は男だ!」
と俺がエルフに懸賞金が掛かっていると聞いたせいか
エルフ達は大騒ぎだ!
すると
俺に矢を向け、ここまで縛って連れてきてた。
横にいる美人エルフが
「きさま~!
やはり、我らを攫いに来たのではないか~!」
シャキーン!
と彼女はエルフ特有の葉のような刃の剣を抜いた!
ドサっ!
俺はとっさに地面に倒れこみ
「ちょ、ちょっと!」
とあまりの恐怖に目を閉じると
「待て!ルー!」
先ほどの長老から待ったがかかり、
俺は一命を取り留めた。
「な、なぜ止めるのです!」
美人エルフは振り上げた剣を
ゆっくりと降ろしながらも、今だ、
剣をしっかり握り締めている。
長老は彼女を見つつも、
「・・・わしの鑑定眼でも、
その者は嘘はついてはおらん!
それにその者は冒険者でもなく、
我らを捕らえに来た訳でもない!」
「くっ!」
と美人エルフのルーさんは悔しそうに剣を鞘に納めた。
「さてっタダシとか申す者!
条件次第じゃが、
その前に一つ・・・そなたに3つ聞きたい事がある!」
「えッ?あ、はい・・・なんでしょう?・・・」
と俺が答えると
ガシャン!
と俺の前に皮のホルスターに入った
俺の銃を放り投げた。
(や、やばい・・・
弾は捕まる前にとっさに抜いたから
大丈夫だと思うけど・・・)
「それはそなたの武器だな?」
「は、はい!そうです!」
(まだ、使った事はないけど・・・)
「そなたが作ったのか?」
「は、はい・・・
ポーション師は錬金スキルも兼ねてるので・・・」
(何が言いたいんだ?)
「では、鉄を持っているのか?」
「はい?」
「エルフは外界とあまりというか、
まったく接点がない!
最後に取引をしてから、
もうかれこれ、50年以上になる。
故に森で手に入らない物は
使い回すしかないのだが、
それで・・・
どうも鉄が不足していての・・・
持っておるなら物々交換をしたいのだが・・・」
「ぶ、物々こう・・・あっはい!
鉄ですよね!あります。
知り合いのエルフに里で喜ばれ奏な物を
、予め用意してきたんで、大丈夫です!」と答えると
長老は少し満足そうな顔をして
「そうか!よし!
では次に、そなたのスキルはポーションを
作るという物らしいが
もしや、エクサリーポーションも作れるのか?」
「えッ?
つ、作れます・・・よ・・・
両手が自由なら・・・ですが・・・」
と俺が恐る恐る言うと
「き、きさま!」
と再び美人エルフが剣に手をかけるが
「外せ!」と長老の一言に
「くっ!」
と美人エルフは渋々、俺のロープを外した。
バサ!バササ!
俺は縛られた手首をしばらく触ると
いつものように両手を合わせると
ボワーン!
と俺の手の中が緑色に光出し
「で、できました・・・」
と一本のエクサリーポーションの
小瓶を長老に見せた!
エクサリーポーション:なんでも治す
長老は目を細くしてみていたが
突然!
「凄い!確かにエクサリーじゃ!」
周りのエルフ達も
「あれが伝説のエクサリーか・・・」
「初めて見た!」
「絵本と違って白く光ってるんだな!」
と皆、口々に俺の作ったエクサリーを見て驚いている。
「そ、それも交換してくれ!」
と近づいてくる長老は
先ほどとは、明らかにテンションが違い、
かなりこのエクサリーに食いついているようだ!
「はい!わかりました。」
と俺は手渡すと
長老は天高くエクサリーを持ち上げ
「これで、世界樹様が・・・
ユグドラシブが・・・復活する!」
と一人つぶやくように感激していた。
しばらく、その光景を見ていたが、
ちょっと長かったので
「・・・あの~・・・それで・・・三つ目は~・・・」
「んっ?あ~!そうじゃった!
そうじゃった!マイ!こっちに来なさい!」
と白い肌のエルフの人混みの中から
一人キャラメル色の肌の銀髪美人エルフが出てきたが
(なんで、あんなに可愛い子が
手首に鎖の切れた手錠なんてしてるんだろう?)
「タダシ殿!まだ、嫁を探しておるか?」
「えッ?そりゃあ、まあ・・・探してますけど・・・」
「ダークエルフではあるが
コヤツを連れていってやってくれ!」
と近くまで来たマイと言う美人を俺に紹介した。
「へっ?」
と急な展開で驚いていると
「お、お待ち下さい!
マイは・・・妹だけは・・・」
と後ろのルーさんがしゃべっている途中で
「黙れ!ルー!
このお方はこの里の恩人でもあるんだぞ!
そもそも、お前が里に近い森で人間の狩人を
脅して回っておったから
人族の冒険者ギルドも動き始めたんだぞ!」
「そ、それは・・・」
と俺の横で悔しがるルーさんだったが、
長老は続けて
「それと、ルー!
お前も妹のマイと共にこのタダシ殿の嫁に
やることにした。」
「えぇっ!?」
と俺が驚いていると
長老とルーさんは地面に座る俺の上で
「な、なぜ私がこのような人族の下へ
行かねばならないのですか?
私は里のためにこれまで、
貢献してきたではないですか?」
「・・・確かにお前は里の中でも戦闘だけなら、
ずば抜けておる、貢献もしてきた・・・」
「では、なぜ?」
「一言で言うとお前は視野が狭いのじゃ!
今回の一件もそうじゃ!
今回はタダシ殿が里に多大なる恩恵を
運んで来てくれたからよかったものの
もし、連れて来た事により里に
大惨事に陥ったらなんとする?」
「で、ではどうすれば、良かったと?・・・」
「黙って、やり過ごせば良いではないか!
いちいち、森に迷い込んだ者に弓で脅していたら、
切りも果てもないではないじゃろう?」
「し、しかし・・・」
とルーさんは悔しそうに下を向いた。
長老は、そんなルーさんから目を離すと
すぐ下にいる俺に
「さてっタダシ殿!今までの話はすべて、
そなたが条件を飲むというのが前提じゃ!」
「は、はい・・・で・・・条件とは?・・・」
「呪いをかけたい!」
「・・・・・」
俺は開いた口が塞がらず、
引きつったままで長老を見上げていると
「呪いというても、
そう怖がるような物ではない!
この里の事を他人に話さないように
してもらいたいんじゃ!」
「えッ?それだけ?・・・
じゃあ、別に俺を呪わなくても・・・
誰にもしゃべりませんよ」
「いやいや、かけるのはそなたではない!
この二人のそなたの嫁たちじゃ」
と長老はルーさんとマイさんを指差した。
「??????」
俺はさらにわからなくなっていると
「まあ、わかりやすく話すとじゃな・・・
まず、この二人をそなたの奴隷にしてもらいたい!」
「ど、奴隷にするんですか?」
「そうじゃ!
その上で、里の皆の前で
こう命令してもらいたいのじゃ!
今後、どのような事があっても、
この里の事を知った者は誰であれ始末しろ!
とな」
「そ、そんな・・・」
と俺が驚いていると
「そうしないと里の者たちが不安がるのじゃ!
そなたもワザとは話さんじゃろうが、
うっかりという事もあるじゃろ?」
「そ、その~もし・・・それを断ったら・・・」
「その時は~気の毒じゃが、
そなたには、この里で死ぬまで
奴隷としてポーションを作り続ける事に
なるじゃろうな~」
と長老は俺を見下ろし、
ニヤっ!と不気味に笑った。
「・・・・・・・・」
結局、長老の言う通り
エルフの里のみんなの前で
金髪エルフの姉ルーさんと
銀髪ダークエルの妹マイさんの二人を
俺の奴隷にした。
最初この里には奴隷魔法が
使える人がいるのかと思ったら長老が普通に使えた。
なんでも長い年月を費やし、
すべての属性を使えるようになったらしい
俺はふと疑問に思い
「一体、今おいくつなんですか?」
と聞くと
「1400歳とちょっとじゃ!」
「・・・・・・・」
(1400年・・・俺なら・・・
どうするんだろう・・・)
と一人感慨っていた。
それと、嫁の二人
ルーさんとマイさんは
俺の奴隷になる事について
「別に人族の寿命が尽きるまでの事だ!
気にもしない!」
「そうですね!姉さんの言う通りです。
それに私は・・・・」
と妹のダークエルフのマイさんが
何か言いたそうに下を向いた。
「?ま、まあ、・・・宜しくね!
ルー、マイ!」
と俺は呼び捨てにしろと二人に
言われたので一応の挨拶を改めてした。
俺と嫁たちはそのまま、長老の案内で
里の鍛治場に来ていた。
(・・・日本のたたら製鉄
みたいな建物だな・・・)
そこは、レンガ作りで
高い煙突がついた建物だった!
その建物から鍛冶師らしい
前掛けをした男性エルフが出てきて
「おぉ!長老!その人族が例の・・・」
「そうじゃ!」
「は、はじめまして・・・
タダシと言います・・・」
「ああ、宜しく!
長老の話では、鉄を持ってるとか?」
「あっ!はい!こちらに!」
と俺はマジックBOXから
ズガガガガガッ!
と大量の鉄のインゴットを取り出し、
ちょっとした山を作った!
「こ、こんなに?」
とエルフ達が呆気に取られてるが
「どうですか?
後、これが3つほどありますが・・・」
「・・・・・・・」
とにかく、
全部交換して欲しいとの事だったので
全部のインゴットを取り出した。
「す、すごい・・・
これなら、なんとかなるかも知れん!」
と鍛冶師のエルフがつぶやいた。
「ところで、なんでこんなに鉄が
必要なんですか?」
と俺が聞いた所
なんでも、最近、里の近くにダンジョンが
できてしまったため、
鉄で穴を塞いでしまおうとしているそうだ!
「ダンジョンを埋めちゃうんですか?」
「そうじゃ!
エルフには無用の長物じゃからの!」
「も、もったいない!
人族の町の近くにそんなのできたら
、冒険者に商人にと
そりゃあ、もう人が集まるって
みんな大喜びなんですよ」
と長老に言うと
「ワシらは、ちっとも、
人族に来て欲しくない!」
と言われてしまった。
「そ、そうですか・・・」
「それより、交換じゃ!
こっちに用意してある。」と
隣の大きな小屋に連れて行かれると
「このじゃ!」
「おぉ!」
中には、フワフワの上等な魔物の毛皮、
大きく鋭いオーガの牙に大量の魔石
そして
「こ、これは、もしかして・・・
ドラゴンのウロコですか?」
天井から吊るされてあるドア一枚分位の
黒くゴツゴツとした硬そうなウロコが
透き間風に揺られていた。
「200年位前に
この少し北にブラックドラゴンが
降り立ったのじゃ!
これもよいぞ!」
「えッ?いいんですか?」
「うむ!この倉庫の中の物は
全部持って行ってよい!」
「あ、ありがとうございます」
(これだけあれば、十分元がとれるぞ!)
と思いながら
「・・・それと・・・長老・・・
一つお聞きしたいんですが?」
「なんじゃ?」
「ダンジョンってどんなダンジョンなんですか?」
「?普通に魔物が出てきて里に
迷惑がかかるだけじゃが?
それがどうした?」
「い、いや、ちょっと中を
覗いてきてもいいですか?」
「覗く?ダンジョンをか?」
「はい!そうです。」
「まあ、ええじゃろ!
鉄を溶かして蓋にするのに3日はかかる!
それまでには出て来るのじゃぞ!
ワシも世界樹様にこのエクサリーポーションを
早よう持って行ってやりたいしの!」
「はい!分かりました。ありがとうございます。」
俺はダンジョンの場所を聞いてから
倉庫の中をマジックBOXで空にし、
外に出ると
返してもらった6発式のリボルバー銃を
ホルスターから出した。
ガチャっ!
弾装を開くと
ボボワーン!
弾ポーション:先端が硬質ガラスで中身に
少量の爆薬ポーションが入った物
を6発作った
カチャっ!カチャっ!
俺は1発ずつ弾を込めながら
「楽しみだなあ!
できたばかりのダンジョンか~!」
ダンジョンは魔物も出るし、宝箱もある
そして何より
(あのちょっと怖い雰囲気が良いんだよね~
ん~・・・できたばかりのダンジョンなら
2時間位で帰ってこれるかな?)
と今度は
ボワーン
魔物避けポーション:
魔物が非常に嫌がる臭いがする
耐物理攻撃ポーション:
物理攻撃を無効化する
耐魔法攻撃ポーション:
魔法攻撃を無効化する
を作り、ビシャビシャと体にかけた!
「よし!準備完了!」
と返してもらった荷馬車の方に歩いていく!
俺の荷馬車は
木製で真四角のコンテナのような形が
4つの車輪に乗っている。
丁度、軽ワゴン車を
イメージしたような大きさだ!
しかも、ベアリングがついた鉄製の車輪に、
前後に鉄製のバンパー、
スプリング、アクセル、ブレーキ、ハンドル、
シフトレバーが装備されている。
だが、一番肝心の馬はいない!
バタン!(ドアを閉める音!)
「ここから北か!よっ!」と
ギー!
ハンドルの横のレバーを前へ倒した。
すると、
荷馬車に下についている
大きなポーションが傾き、
荷馬車が進み始めた。
グガガっ!
ガラガラガラガラ!
ガタタンっ!
ガラガラガラガラ!
俺は里の北にあるダンジョンへ
続く道を進もうと里の町を抜け、
広い畑の横トウモロコシ畑、小麦畑、
薬草畑を通り過ぎ
もうすぐ、森に入ろうとしたその時
ザササっ!
「うわっ!」
何か早い者が荷馬車を飛び越え、
目の前に現れた!
「えッ?何?えッ?」
「やっと追いついた!」
「どこへ行かれるのです?」
とルーとマイが俺を追ってきた。
「ど、どこって・・・
ダンジョンですけど・・・」
「なんで私たちを置いていくんですか?」
「そうだ!我らは、
貴様の奴隷であり妻なのだぞ!
ちゃんと説明しろ!」
俺は言われて思い出したのだが、
奴隷は主人が自然死以外で死んだり、
主人から極端に離れるとその奴隷は
死ぬんだった事を
だが、理由はそれだけでなく
「えッ・・・
そ、そのあ、足手まといはちょっと・・・」
「はぁ?!」
「えッ?」
と二人とも俺の発言にびっくりして
「私はともかく、姉さんまで・・・」
とマイがゆっくりと横のルーを見ると
美しい金色の髪が激しい魔力の放出により
メラメラと炎のように逆立っている。
「き、きさま~!」
「ひ、ひ~」
と俺はまた蹴られるかと思ったが
「これが夫で奴隷でなければ、
矢で頭を打ち抜いてやる所を~!
く、くやしい~!」
と地面をバタバタと踏んで
やり切れない思いをぶつけている。
俺は恐る恐る
「じゃ、じゃあ、
しょ、勝負しますか?ルーさん」
「ルーだ!さんはいらない!
だが、勝負はいいだろう!やってやる!
私を足手まとい扱いした事を後悔させてやる!」
シャキーン!
「抜け!」
とルーは自分の腰から剣を抜き、俺に向けた。
ボワーン!
俺もポーション師として手に剣の形の
ポーションを出した。
ただし大きさは小さい果物ナイフより小さい!
スパンキングポーション:
割れると中の液体のポーションが
相手のお尻を強打して治す。
ただし、猛烈な痛みはしばらく引かない。
「なんだ?その、ナイフは?
舐めるのもいい加減にしろ!」
とさらに怒鳴り散らしているが
俺はそれを鉄製の車輪で
バリーン!
ルーの前でポーションを割った!
「な、なにを?」
とルーはビックしているが
次の瞬間
「キャヒ―――――ンっ!」
と両手でお尻を抱えながら、
地面にキスしている。
それを見たマイが
「す、凄い!
あの俊足スキルの姉さんが・・・」
と悶絶するルーを見て驚いている!
(俊足スキル?)
と里で捕まっていた時は使わなかったが
(鑑定眼!)
ルー・シンクス(140)レベル56
ハイエルフ族
HP300/300
MP1200/1200
スキル
弓技 雷魔法 風魔法 水魔法 気配探知
魔力操作 植物魔法 追跡 気配遮断
レアスキル
精霊魔法
(おっ!ルーってレアスキルがある!)
と思いながら
今度は妹のマイを鑑定すると
マイ・シンクス(120)レベル27
ハイエルフ族(亜種)
HP120/120
MP30000/30000
装備品:魔力封印の手錠
スキル
打撃技 土魔法 火魔法 闇魔法
光魔法 家事魔法 鑑定眼
鍛冶 木工 魔導術式
レアスキル
魔力放出限界突破
(な、なんだ?このスキル?
MPも異常に高い!)
と妹のマイのステータスを穴が
空くようにジロジロと見ていると
「そ、そんなに胸ばかり
見ないで下さい!」
と姉と違って平壁のような胸を
恥ずかしそうに手で隠した。
「あっ!ご、ごめん!
でも違うんだ!む、胸は見てないんだ!
そもそも見るほどはないし・・・」
「あ、ありがとうございます!」
「あ、ありがとう?・・・
あ~、い、いえ!
そ、その他の所を見つめていまして・・・」
と言うとマイはとっさに両手でお尻を隠し
「はっ!さては、旦那様は私のお尻も
叩きたいんですか?」といいながらも
マイは静かに向こうを向いて
「・・・どうぞ・・・」
と今度も姉と違うが、
小さなお尻を
しずしずと差し出してきた。
そんなマイを見た俺は
(や、やばい、か、かわいい・・・)
と差し出されたミニスカ越しの
お尻を見入るも
「い、いえ、その・・・
お尻でもないんですが・・・」
「では、私のステータスを?」
「あ、あ~・・・実は・・・
(最初からステータスを見てたの
知ってたのかな?)」
「そうですか。見てしまったのですね!
そうなのです。私は忌み子なのです。」
「忌み子?」
「はい!私は魔力の操作ができなくて、
一度魔法を使えば途切れる事な
くすべての魔力を放出し、
辺り一面とんでもない事になるのです。
当然、私自身にも・・・」
とマイが言いかけると
「く~!まだだ!」
地面にキスしていたルーが尻を
押さえながら涙目で
こっちを睨みつけている。
「まだやるの?姉さん?」
「当たり前だ!さっ夫殿!次は弓で勝負するぞ!」
とヨロヨロと立ち上がった!
「まあ・・・いいですけど・・・」
と渋々受けると
ギチチっ!シュピン!とルーは遠くにある
高い木になる小さな松ぼっくりを射抜いた。
「どうだ!はははっ!
あれ以上小さい物は打てまい!はははっ!」
とかなり勝った気でいるルー!
「姉さん!また・・・
そんな事では旦那様に
可愛がっていただけませんよ」
「やかましい!私は負けるのが嫌いなのだ!」
そんな二人のやり取りを横目に
俺は早撃ちの構えを取り
ドン!
銃声が鳴り終わる前には
ホルスターに銃をしまった。
銃口から飛び出た鋭く尖った硬い硬質ガラスは
大きくカーブを描き
ルーの射抜いた矢に目掛け飛んでいく。
しかし、いきなり大きな音にビックリした二人は
「うわっ!今何をしたのだ?」
「ビックリした~!えっ?姉さん!あれ?」
とマイが先ほどルーが
射抜いた矢の方向を指差した。
そして、それを見たルーは
「な、な、なんだ・・・と・・・」
ガラガラガラガラガラっ!
俺はルーとマイを荷馬車に乗せて
ダンジョンに向けて走っている。
「馬もないのに進むなんて、
不思議な馬車ですね!旦那様!」
と横にいるマイが色々キョロキョロして
関心している。
「そういえば、鍛冶スキルがあったよね!
こういうの興味あるの?」
「当然です!
私は姉さんのように戦闘に長けてる訳でも
ないので
里の父の鍛冶場を手伝っていたんです。」
「えッ?じゃあ、あの鍛冶場の男性が
お父さんなの?」
「はい!私たち姉妹を
男手一人で育ててくれた自慢の父です。」
「へ~!」
「私が魔力を上手に扱えないと分かっても、
里に住み辛くないよう鍛冶や魔道具の作り方などを
教えてくれたんですよ!」
「魔道具?魔道具が作れるの?
あっそういえば、
魔導術式とかいうスキル持ってたね!」
「はい!
あれで組み込んだ通りの魔道具が
できるんですよ!」
「凄いね!じゃあ、何かあったら頼むよ!」
「はい!・・・・・・・・・」
とマイは返事をしつつも、
やはりこの荷馬車に興味があるようで
再びキョロキョロとし出した。
「・・・運転してみる?・・・」と俺は
ギバッタんっ!
とシフトレバーを元にもどし、
荷馬車を止めると
マイはパーと明るい顔になり
「いいんですか?姉さん!
旦那様がこの魔導車を操作していいと
おっしゃいましたよ!」
とすぐ後ろの暗い荷台の中で反対を向きながら、
体育座りしているルーに話しかけると
「・・・おめでとう・・・(小声)」
(声小っちゃ!)
「もう!まだ、拗ねてるんですか?
良いじゃないですか!
タダシ様は私たちの夫なんですから!」
すると
ルーは膨れながらチラっとこっちを見て
「・・・良くないもん!・・・」
と今度は体育座りのままコロンと横になり、
後ろの車窓から外を見ている。
(かなり、ふて腐れてるな・・・)
「姉さん!何をそんなに怒っているんですか?
いつまでもふて腐れてないで
理由をおっしゃって下さい!理由を!」
「・・・壊すことない・・(小声)」
「・・・え?今なんて言ったの?」
「今、姉さんは壊すことないっと言いました
あ~わかった!
姉さんは旦那様に自分で打った矢を
粉々にされてふて腐れてるんですわ!
そうですよね!姉さん!」
再び、寝ながらチラっとこっちを
見てプイっとするルー!
「もう姉さん!」と横で怒るマイには悪いが
(なんか縁側で美女が
寝てるみたいでエロいな!)
荷馬車の後ろから入り込む光が
ルーの体のラインのみを映し出すのだが
マイと違って大きい胸に
引き締まったウエスト、
そして分かってはいたが
お尻の大きいのシルエットが
こうすると余計、際立つ!
「ごめんよ!ルー!
ほら、このハニーポーションを煮詰めた
もの凄い甘い飴あげ・・・」
とポケットから取り出すや否や、
シュっ!バっ!
ヒラヒラと
いつの間にか飴の包み紙のみが空を舞っている。
コロコロとルーが飴を口の中で転がし
「ぱー、みぱぱぱるぱ(まあ、許してやる)」
「早っ!でっ今、なんて?」
と屋根に登ったルーを追いかけるように
言うと代わりにマイが
「姉さんは許してくれるそうです!」
とマイも手を出してきたので
「一応、言っとくけど、コレ高いからね!」
結局、マイにも渡して運転を変わった。
ガラガラガラガラ!
マイは荷馬車を運転を少し教わったら、
まったく問題なく運転でき
「凄い!こんなに甘い物は初めて食べました。」
「そう?他にも甘い物は
作れるから、また作るよ!」
と言った瞬間
ガバっ!
上からルーが運転席の前に
覆いかぶさるように身を乗り出してきた。
「ホントか!タダシ殿?」
「ちょ、ちょっと姉さん!前!前!キャ―――!」
「うわっ―――――!」
グラララっ!
俺たちはこんな感じで一路、
里近くのダンジョンを目指した!
一方エルフの里では
「長老!いよいよだね!」と
ルーとマイの父親が自らの母親に話しかけた。
「うむ!300年前、
この地で勇者様が治療してくれた時以来じゃ」
と長老は一人前に出ると、
里を見守るように生えている世界樹の根元に近づく。
シュピンっ!
とエクサリーポーションのビン開け
トクトクトクトク!
ビチャっ!ビチャっ!ビチャっ!
里のみんなが固唾を飲んで見守るが
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・なにも・・・起きないですね・・・」
「・・・うむ・・・」
「薬が違うのでは?」
「いや、そんな事はない!
ワシの鑑定眼は間違えん!
・・・しばらく、様子を見よう!」
と長老は連れてきた里の人たちとその場を後にした。
しかし、世界樹の下、
深い深い地中の根にはとんでもない事が起きていた。
グっ!ググっ!
ギキ―!
がチャンっ!
荷馬車が止まり、レバーをマイが元に戻すと
「ここです。旦那様!」
「ここが?」
荷馬車の前には深い森の地面に突如
巨大な穴が現れた!
ガチャっ!
とドアを開け、降りようとすると
ズサっ!
屋根から先にルーが下りてきた。
「相変わらず、暗いとこだ!
こんな物!
早く塞いで森に埋もれてしまえば良いのだ!」
俺もその穴に近づくが
「・・・深いな・・・
これどうやって降りるの?」
「この上からぶら下がっている
ロープで降りますわ!旦那様!」
と上の太い枝から垂れているロープを
こっちに手繰り寄せてくれたが
と今にも切れそうな
ボロボロのロープを目にして
(このロープ
・・・かなり時間がたってるよな?
このダンジョンの入り口もかなりデカイ・・・)
と少し疑問に思い聞いてみると
「・・・ね~・・・
このダンジョン最近出来たんだよね?」
「そうだ!ちょっと前だ!」
「それ・・・いつ?」
「30年位前?」
とマイがルーに聞くが
「30年?」と俺は驚きつつも
「その間、誰も入ってないの?」
「入ったぞ!発見時に!」
「だれが?」
「私だ!」
「・・・じゃ、じゃあ、そこから誰も?・・・」
「そうだ!長老にも見せたが入らなかったぞ!
それがなんだと言うんだ!」
「いや、もしそうならこの中、
魔物で溢れかえってるんじゃない?
下手したら
スタンピード!(魔物暴走!)が起きるよ!」
「ス、スタンピードだと?」
「そ、それって昔話ではないんですか?」
「え~!知らないの~!?
なんで?なんで?エルフって知識の泉って噂じゃん!」
「確かにそうですが、旦那様!
そもそもエルフの里周辺には
通常ダンジョン発生の原因である魔力溜まりが
起きません!」
「なんで?」
と聞くとルーとマイが顔を合わせて
「「世界樹様のおかげで!」」
と二人に声を合わせて言われてしまった。
「・・・あっそうか!・・・」
俺は、そう二人に言われてこっちに来てから
、ある方に言われたのを思い出した。
世界樹は、その周辺の地面、
空気から魔素を吸収し、大きくなるため
魔物も弱り、より安全になり、
木々ばかりが成長する特殊な地域になるため
昔から、他種族と交わりたがらないエルフが
その木々が生い茂る
深い深い森になった世界樹の周りに
里を作るんだそうだ!
だが、俺はやはり腑に落ちず
「・・・じゃあ、
なんでここにダンジョンが?」
「長老様がおっしゃるには
普通ダンジョンは最初小さく弱弱しく始まり、
少しずつ周りの魔素や魔物を吸収して
大きくなっていくらしいのですが、
このダンジョンは特別で世界樹様の影響下でも
つぶれない位、最初から強く大きかったらしいのです。
そこで、発見時から鉄を集め始めダンジョンにフタをし、
これ以上大きくならないように
しようとしていたらしいのですが・・・」
「それが30年前・・・って事は30年も鉄を集めてたの?」
「そうだ!私も里の外で魔物の持ってる武器を
狩っては回収したり、
鉄鉱石を回収したりとなんとか集めてはいたが、
やはり量が足りなくてな!」
「そこへ俺が来たと?」
「ええ!」
「そうだ!」
と二人が同時にうなずく。
「そうなんだ!
じゃあ、なんとかしようとはしてたんだね!
とにかく中の様子を確認しに行こう!」
とルーとマイに俺が使ったのと
同じポーションを目の前で作り
魔物避けポーション:魔物が非常に嫌がる臭いがする
耐物理攻撃ポーション:物理攻撃を無効化する
耐魔法攻撃ポーション:魔法攻撃を無効化する
×2
カチャカチャっ!
「二人ともこのポーションを体にかけて貰える?」
と二人にそれぞれ一本ずつ渡した。
ズ――――――――!
ズシャっ!
ズ――――――――!
ズシャっ!
ズ――――――――!
ズシャっ!ズシャっ!
俺たちはロープ伝いにダンジョンの中に入り、
下まで降りると
「やっぱり・・・」
「どういう事だ?」
「姉さんも旦那様もどうしたのです?」
「ルー!30年前とは全然違うんでしょ?」
「ああっ!まったく違う!
これほど、大きな洞窟ではなかった。」
俺たちの目の前には8車線のトンネルのような
薄暗い洞窟が延々と続いていた。
「これ光コケがなかったら、
広すぎてまったくわからないね!」
「そうですね・・・あっ旦那様!魔物が!」
とマイと低階層によくいる
ホーンラビットを少し離れた場所で見つけて構えた。
ホーンラビット(14)レベル23
HP50/50
MP30/30
スキル
角飛ばし
そんなマイを見つつも、
俺はいつものように
(あの角、飛ばせるんだ!)
とまるで触れ合い系の動物園でもいるかのように
近づこうとした。
しかし、
ギチチっ!とすぐ横でルーが弓を引いた。
「あ~、そうか!言い忘れた!
二人とも別に攻撃はしなくていいから!
ルーも弓を下ろして!」
「な、何を言っている?
あの魔物は凶暴だぞ!
森でも毎日のように私は角を飛ばされてるんだぞ」
とルーは怒鳴ってくるが、奴隷魔法のせいか
弓を収めた。
「ど、どういう事なのですか?旦那様!」
「まあまあ、俺についてくれば分かるから!」
と嫌がるルーと怖がるマイを連れてホーンラビットに近づいていく。
「ちょっ、待て!この距離はまずい!
こいつらの角は意外に早いんだ!
おい!聞いてるのか?」
「えっ?えっ?ホントに!
ホントに近づくんですか?えっ?えっ?」
と二人が騒いでいるが、俺は無視して近づいていく!
すると
赤い鼻をピクピクさせていたホーンラビットが
ビクっ!とこちらを見て、固まっている。
「ほら!来た!弓を使わせろ!手を!手を放せ!タダシ!」
「旦那様!旦那様!」とマイは俺の背中に隠れ
ルーは
シャキーン!と空いてる片手で剣を抜いた!
「大丈夫!大丈夫!よほど強くなければ・・・」
と俺はさらに近づいていくと
ダっ!
とホーンラビットは走って逃げていった。
「「???」」
「どういう事だ?
あの魔物が逃げるだと?
普段なら例え、交尾中でも襲ってくるというのに・・・」
「そ、そうよね・・・
姉さん、昔、交尾中だから大丈夫とか
言って後ろから近付いたら
とんでもない事になってたもんね
・・・どうして?」
・
と二人が不思議がっているので
「これが、さっきのポーションの効果だよ!
魔物が嫌がる匂いのと
魔法、物理攻撃を無効にする効果さ!」
「無効?」
「無効にできるんですか?
い、いや、魔物避けは私も知っていますが・・・」
と二人はまだ半信半疑だ!
「試しに二人とも自分になにか
小さい魔法かけてみたら?
ルーは風で、マイはこれを飲んでから種火でさ!」
マジックポーション:
魔力を完全イメージコントロールできる(永続)
注意事項:圧死は防げない!
「えっ?魔法を?で、でも私は・・・」
とマイは戸惑うも、
奴隷魔法で主人の命令に逆らえず
ポーションを飲み干し
、指先に小さな種火を付けて
それに手をかざした。
「えっ?えっ?熱くない?
い、いや、ていうか、
私が魔法を使いこなせてる?」
「な、なんだ?これは?
風の刃が見えない何かにぶつかり、
私に届かん?どうなっているのだ?」
二人は驚いているが
「まあ、こんな感じだよ!
マイは、ずっとそのままだから
、魔法の練習はマイに任せるからね」と
ちょっと二人から離れ
マジックBOXから
ズ―ン!
とバイクの形をしたポーションを出した。
俺はゴーグルをすると二人にもそれぞれ手渡し
「さっ!二人とも乗って!
マイが俺の前でルーが後ろね!」
とハンドルのチェックをしようとしたら
バっ!とマイに腕を捕まれ
「旦那様!なぜ姉さんが後ろなんです?」
とすごい笑顔とオーラで睨まれた。
「え、え~と・・・じゃあ、マイが後ろで・・・」
結局、ルー、俺、マイの順番になった。
「これも、あの荷馬車のように走るのか?
車輪が見当たらないが・・・」
とルーがキョロキョロしているのに対し
「むばば!ふがたんたふががたんた!
(姉さん!旦那様に任せてれば大丈夫よ!)」
と俺の後ろに顔ごと、
ない胸を押し付け何か話しているマイ!
「そうだな!任せよう!」
とルーが普通に返事をするが
俺は(なぜ、わかるんだろう?)と思いつつも
「これは飛ぶんだよ!」
と真ん中のレバーを軽く引いた。
ふわっ!
「きゃっ!」
「おわっ!」
と二人が驚いているが
「じゃ、行こう!」
とライトをつけ、右手のアクセルを捻り
ギューン!
俺たちはそのまま、
ダンジョンの調査に向かった!
エルフの里 長老の部屋
ズズっ!(茶をすする音!)
「うむっ!うまい!
やはり孫が嫁に行き、まもなく、
世界樹様も元気になる。
いやー、しかし、心配ごとが減ると
茶がうまくなるの~・・・ズズ~」
明らかに、
日本人の影響を受けている和室に椅子、
テーブルを置き、くつろぐ長老で
あったが
「長老!」
「ぶ―――!
な、なんじゃ?騒々しい!
いきなり叫ぶな!びっくりするじゃろうが・・・」
「い、いやー、すいません!
ですが・・・ロイさんが大変だから、
すぐ呼んで来い!って」
「息子が?・・・何が大変なのじゃ?」
「そ、それが
・・・せ、世界樹様が・・・」
「世界樹様・・・?」
と湯呑をテーブルに置き、
自分の部屋の窓から世界樹が見える
位置に移動すると
「な、なんじゃ!ありゃぁ――――――――!」
なんと長老の部屋から見た世界樹は
45度傾いていた!
バタン!
家のドアも閉めず、
とにかく急いで世界樹の傍まで行った長老は
「どうしたロイ?なにがあったのだ?
なぜ世界樹様を切った?なぜじゃ!?」
と息子のロイを見るなり飛びつき、
胸倉をつかんでパニックになっている。
「いや、違う!落ち着いてくれ!
長・・・母さん、ち、違う!
切ったんじゃない!
世界樹様が勝手に曲がったんだ!」
「ま、まがった?・・・」
長老はその言葉に要約、正気を取り戻し
見事に根本から45度傾いた
世界樹を改めて見てみると
「な、なぜ曲がっているのだ?
いつだ?いつ曲がった?」
「それが、ついさっきなんだ!
そこで見回りの者と話していたら、突然・・・」
とロイが喋っていると
グガガガッガ!
ともう枯れてから100年は過ぎ
、花はおろか、葉さえも咲かせなっかた世界樹が
いつの間にか満開の花を咲かせ、揺れ始めた。
「おい!そこのお前達!すぐ離れろ!」
「う、うむ!全員この場を離れるんじゃ!」
エルフたちは一斉にその場を後にした。
グガッガッガガっ!
エルフたちが見守る中、
世界樹の動きが止まると
今度は世界樹が反対に120度
向こうに傾いていた!
「ど、どうなっておるんじゃ?」
「まるで、生きてるような・・・」
と隣のロイがつぶやくと今度は世界樹が
ユサユサと上下に振れ始め
ズズズズズズズズ―――――!と
巨大な世界樹の根っこが地面の上に反り上がった。
そして
ズズ―――ん!
まるで足のように根が地面につくと
同じように残りの根も
ズズズズズズズズ――――――ンっ!
と地中から引きずり出され、地面についた。
「・・・・・・・・・・」
「い、一体・・・なんなんじゃ?・・・・?」
里中のエルフが見守る中世界樹は
ズ―――――ンっ!
ズ――――――ン!
ズ――――――ン!
とダンジョンのある北の方へ、
歩いていってしまった。
里でそんなとんでもない事が
起きているとは露知らず
俺たちはもう4度目の階層ボスに挑んでいた。
ドーン!
俺があげた小型爆薬ポーションを
つけたルーの矢がオークジェネラルの頭を
吹っ飛ばした。
「いいね!ルー!」
と俺も素早く銃を抜くと
ドドン!
早打ちで近づいてくるオークや
ちょっと離れた所で魔法を唱えようとしている
オークメイジを2発の飛び交う弾丸を
操作して仕留めていく。
ぐえ!
ぎゃ!
ぶひ!
そして、階層ボスフロアーの中央いる
オークキングが手下に囲まれてる所では
「おらぁ!」
バキバキバキっ!
マイが攻撃してくる手下たちは無視して
目の前の階層ボスのオークキングの
両腕をへし折っていた。
「粗方、終わったな!」
とルーが弓を下ろすが
俺はマイの周りにいる
雑魚オークを飛び回る弾丸で倒しながらも
「おらぁ!ならっ!死ね!死ね!」
と石床に倒れたオークキングのマウントを
取ったマイが
顔面をボコボコにしているのを見て
「・・・な、なあ
・・・もしかして、マイって・・・」
「んっ?あぁ、あれか?
そうだな、接近戦では、私でもマイには勝てん!
長老が言うには魔力だけならドラゴン並だそうだ!」
(ド、ドラゴンって・・・)
そんな話をしていると
突如、マイが片手を振り上げ
「ぬりゃああああ!」
ズオオオオ!と
マイがその膨大な魔力を自らの拳に溜め
ズゴーン!
トドメの拳が、オークキンの顔面にめり込み、
ピクピクと足が痙攣している。
「・・・マイは怒らせないようにしよう・・・」
とにかく倒した魔物の死体を
俺のマジックBOXに回収していくと
「それにしても旦那様のスキルは凄いですわ!
魔物の攻撃は一切届かないし、
今まで魔力で苦労していた私が、
こんなに魔力を使いこなせるなんて・・・」
と血だらけの拳を拭きながら
、姉のルーに近づいていく。
「まったくだ!
ここまで来るのも早かったし、
あの爆裂魔法を付与した矢は最高だったぞ!」
とマイを見ながら言い、
足元のまだ息のあるオークを足で踏みつけ
ズガンっ!
見もせず、ノールックで至近距離から
、矢を頭に打ち込んだ!
二人とも俺を称えてくれるが
(こっちのセリフです!)
一緒に戦ってみてわかったが
、俺の嫁たちは二人とも凄い!
ルーは接近戦もできるが、たしかに弓がうまい!
マイは魔力操作を覚え、魔法も接近戦も強すぎる!
(どうしよう
・・・このままでは俺の夫としての威厳が・・・)
「さっ!40階層も終わったので次に参りましょう!
旦那様!
前の30階層では私の胸の感触を
味わって頂いたので
次は姉さんの大きいだけのお胸を
背中で味わっていいですよ!」
「ありがとうございます!」
俺は90度でお礼を言いと
早速、バイクを出し、
さっき教えたばかりのマイに運転を任せ、
俺も乗り込んだ!
しかし
「そ、そのちょっと離れてもいいか?
そ、その、は、は・・・」
とルーが顔を真っ赤にして
俺の後ろに座るのをためらっている。
「姉さん!旦那様は夫よ!
今夜はもっと凄いことするだから
こんな事でためらってどうするの!」
「もっと凄いこと?」とルーが震えながら、
驚いているが
(どんな凄い事をさせてもらえるんですか?)
と俺も気が気でない!
ルーは、妹に促がされ、
しぶしぶ俺の後ろに乗ろうとした
その時
ドゴ―――――――ン!!!!!!
バラバラバラ!
「うわっ!なんだ?」
「きゃ―!」
「・・・・・・・」
上の方からなにかもの凄い衝撃が
ダンジョン全体に伝わって来て
俺とマイは体を丸めビビっていたが、
上から洞窟の細かい石が崩れてくる中
ルーだけが長い耳をヒクつかせ、
瞬き一つせず、上を睨んでいる!
「なんだ?なにが起きた?」
俺も慌てて上を見るが
「揺れが・・・止まった?」
と二人を見るが
二人とも長耳を細かくパタパタとさせ、
上を見ている。
「どうだ?マイ?感じるか?」
「ええ!姉さんは聞こえる?」
「ああ!何かがこっちに向かってくる!」
人の俺にはわからないが
、エルフの二人には
間違いなく何かが近づいて来ているのが
、分かった。
「何かってスタンピード(魔物暴走)じゃないよな?
あれは下から上だし・・・」
「とにかく、逃げましょう!
猛烈なスピードで振動が近づいてます!」
とマイは言うと
ガチャっ!レバーを引き、
フワっ!バイクを浮かせ
マイがアクセルを捻ろうすると
「来た!」つぶやくようにルーがボス部屋の扉の方を睨んだ!
そして
ズゴゴゴゴゴゴっ!
今いる40階層が突然、揺れ始めた。
「何か分かんないけど、来た!来た!来た!」
と俺があまりの振動に慌てると
ブルルル―ン!
マイは無言のまま、すぐに発進させ
ボスを倒した時に現れた下層に行く大きな穴に
俺たちは飛び込もうとした瞬間
ドカ――――ン!
ズロロロロロロ!
ボスを倒すまで閉じていた重い巨大な鉄の扉を
ウネウネと動く木の根のような物が入ってきた。
「あれは、根か?」とルーがとっさに弓を構えるが
ギガガギ!家が台風で揺れてるのかと
思うくらいの轟音が鳴り響いている。
「うわ――っ!なんだ?何あれ?」
と俺が鑑定してする間もなく
マイの運転するバイクは
それとは対照的に静かに暗い暗い
下の下層の穴へと下りていった。
ヒュ―――――
バタ!バタ!バタ!
バイクのライトの他は
、暗くただ、着ている服が風にたなびく中
「くそ!しかたない!
マイ!危険けど、少しでも距離を稼ぐよ!
その真ん中の赤いボタンを押して!」
「え?これですか?」
「そう!ルー!これは洒落にならないスピードが出るから!
冗談抜きでしっかり捕まって!」
「わ、わかった!」
とルーは渋々、俺の背中に胸を押し付けた。
プニンッ!
「ルー!」
「な、なんだ?」
「ありがとう!」
「くっ!」
暗い穴の中でもわかる位、
ルーの顔が赤くなった。
(か、か、可愛すぎる・・・)
そんな俺たちを無視してマイが
「二人とも行きますわよ!」
ポチっ!
ガクンっ!
バイクの後ろが開き、太いパイプが現れると
ドーン!
「きゃ!」
「うわっ!」
「くっ!」
加速した俺たちは、一気に下層に降りていく。
ゴオォ―――――――!
突風が顔に当たり、うまく呼吸ができない!
すると
運転しているマイが
「旦那様~!」
と後ろにいる俺に大声で叫んでいる1
「なに~?」
「光です!でも、様子が~!」
俺は身を乗り出し、
突風の中、目を細め向かう先を見ると
ウジャウジャ!
と何か大量の生き物が動く影が
「な、なんて最悪のタイミングだ!
あれはモンスタールーム?!
スタンピード(魔物暴走)
の前触れじゃないか?」
やはり、当初の懸念通り、
放置され過ぎたダンジョンは、
スタンピードの準備をしていた訳だが、後ろから
「なんだと?じゃあ、逃げ場がないではないか!」
といつも冷静なルーも取り乱している。
(前は魔物の海!後ろは正体不明の巨大植物!)
俺は必死に打開策を考えるが
ドッカ―――ン!
はるか上の穴の入り口を巨大植物が
岩を削りながら、下へと入ってくる。
「くっそー!」と俺は前を改めて見る!
光が見えた先にはいままでの岩の洞窟とは違い、
途中から長い長い石階段になっている。
(こ、これは・・・)
「マイ!どうやらこの先は多分迷宮だよ!
このまま、魔物の中を突っ切ろう!
後ろにはどう考えても、戻れない!
魔物は全部跳ね飛ばして!」
「分かりました!旦那様」
ググっとマイはハンドルを強く握りしめた!
「ルー?!」
「なんだ?」
「コレを!」
と俺はさっきルーに渡した
爆発する矢尻型のポーションが
大量に入ったバックを渡し
「これで!後ろから援護を頼む!」
「了解だ!」
とルーは、俺の手をギュっと握り締めた!
「そろそろですよ!」
マイは旨くスピードを落とし
階段ぎりぎりを這うように下りていくと
41階層に入った瞬間
ズアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアア
アアアアアアアアア!
まるで石切り場のような無造作に
切り出された岩が
上からも下からも生えているようにある巨石郡
その見渡す限りの入り組んだ岩々の壁、橋、床に
通常なら間違いなく
どこをどういったらまったくわからないような迷宮だ
そして
所狭しとひしめく魔物たちが一斉にこっちを見て
グギャぁ!
ギャギャー!
ブヒブヒ!
ウギャウガ!
ゴブリン、オーク、コボルト、
オーガ、ダンジョンモンキー
ダークスネークなど
今まで見たこのダンジョンの
魔物の大集合が天井スレスレを
飛んでいる俺たちを、
見上げながらお出迎えてくれた。
「マイ!このまま真っ直ぐ飛んで!
床の魔物なんか相手にしてられないよ!
上から伸びてくる岩に注意して!」
「かしこまりました。旦那様!」
しかし
魔物は床を這うタイプだけではない!
「タダシ!ポイズンバードだ!」
とルーが矢を放った!
シュカン!
グェ~・・・
汚い灰色の鳥は矢に射抜かれ、
そのまま床に落ちていく!
「よし!俺とルーは空中の魔物を倒しつつ、
階段を探すんだ!マイ!運転頼んだよ!」
と俺はこれまた、自作のAKマシンガンを取り出し
ガッシャン!
と弾を込めた!
一方、はるか上の地上のエルフの里では
長老が世界樹が埋まっていた場所を
詳しく調査するため、その深い穴に入り
「う~む・・・」と世界樹の根の切れ端と
思われる小さな根を虫眼鏡で見るが
1000年以上生きてきて始めての現象に
「わずかだが、
まだこの根も動いておる
・・・まるで生きておるようじゃ・・・」
と一人穴の中でつぶやき
「この細かい根もすべて回収するのじゃ!よいな!」
と里の女たちに言うと
「「「はい」」」
と女たちも手で世界樹の残した
根、葉、実を回収していった。
長老は地面を蹴り、一気に上へ駆け上がると
それら里の女たちを監督しつつ、
北に移動し、なぜか止まった世界樹に目をやり
「一体どうなっておるんじゃ?・・・」
すると北から走ってくる若いエルフが
「ん?あれは・・・」
「長老!
世界樹様がダンジョンの穴をふさいでくれたぞ!」
と世界樹の確認に行かせた者たちから知らせが来た!
「な、なに?ダンジョンを
・・・ど、どういう事じゃ!」
「今、他の里の若い衆に見張らせているが、
どうもダンジョンの穴に根をズルズルと
入れていく所を目撃してから、
一切動く気配がないらしい!
すぐに確認に来てくれ!」
「い、いや、待て!
タダシは?マイにルーも奴を
追っていったはずじゃぞ!」
「タダシ?・・・あ~あの人族のか?
そういえば、最初に着いた奴が妙な事言ってたな
・・・荷馬車を世界樹様が、
退かしてからダンジョンに
植わったとか何とか・・・」
「な、なんじゃと!」
ダンジョン最下層
「マイ!マイ!
壁だって!うおー!ぶ、ぶつかる―――――!」
ドカカーン!
ぐぎゃっ! グシャっ!
ゴフっ! グシャ!
ブギャっ! グシャシャっ!
マイの運転するバイクは
直角にドリフトして魔物を壁に
叩き付けながら止まった!
「はー!はー!つ、着きました!」
マイは息を切らしながらも、
前方にある大きなボス部屋の扉を
見ている。
前から来る魔物の大群を蹴散らし、
後ろから迫り来る、
なぞの巨大根を振り切った自分に
少し酔っていたが
「マイ!このまま行け!何をしている?」
とルーが弓を構えつつも急かすが
「ちょ、ちょっと待ってよ!
あれ、多分最終ボス部屋だよ!」
と俺は一旦止めた!
なぜなら
俺たちは41階から50階まで魔物を蹴散らし、
一気に降りてココへたどり着いたが
もう3人とも慢心相違でクタクタなのだ!
その上
今までのボス部屋とは比べ物にならないほどの
大きな扉の門から最終ボスと判断したのだが
、このボスはこれまでのボスと違い、
ダンジョンコアを守るボスのため必ず、
強い魔物が用意されている。
俺たちは、少しためらって扉を
見上げるが後ろから容赦なく
ドゴゴゴ――――ン!
グガー!
ギャギャギャ!
ゴフゴフゴフ!
と上で取りこぼした床にいた魔物たちが
後ろを気にしながら、
こっちへ全力で逃げてくる。
だが、ルーの耳はその後ろから来る物の
音を捉えていた。
「来た!マイ!タダシ!行くしかないぞ!」
とルーが言った瞬間
ド―――――ン!
ウネ!ウネ!ウネ!
巨大根がとうとう俺たちに追いついてきた!
「旦那様!行きましょう!」
とマイがアクセルを回そうとするが
「まだだ!」
と俺はマイを止めた!
「なぜ?どうしてです?」
「そうだ!タダシ!
あいつとダンジョンボスでは、
まだダンジョンボスの方が生き残れるぞ!
あれが見えないのか?」
とルーもマイも必死だ!
あの巨大根に襲われている魔物たちは、
その根に触れた瞬間、
まるで綿アメが溶けるように
吸収される。
(確かに俺も今すぐボス部屋に入りたい!)
ダンジョンボス部屋はその性質上、一旦、
前の冒険者が入って中のボスを倒すか冒険者が
死ぬまで扉は開かない!
「もうちょっとだ!もうちょっと・・・」
俺はそれでも二人を止めた!
そして、そうこうしている内に
魔物たちを襲っていた
巨大根の一本がこちらを向いた!
「よし!行くよ!」
ブロロ――ン!
マイがバイクを急発進させ
、扉に向かうと扉が開き始めた。
「まずい!追いつかれるぞ!」
と爆裂矢を放つが
シュン!
「くそ!矢も吸収するのか!」
「うおー!間に合え~!」
俺たちは
まだ開ききらない扉を縫うように
、すり抜け
ダンジョンボス部屋の
天井ギリギリを浮いたまま下を
見下ろすと
グルルルルルルっ!
50メートルはあるヘビーモスが
下から俺たちを睨んでいる!
「ど、どうするんですか?
もう行き止まりですよ!」と
マイが怯えながら訴えてくる。
グリルルルルルルルルルルっ!
ヘビーモスはさらに、
俺たちを睨んだまま、威嚇して姿勢を低くした。
「まずい!ここまで飛んでくる気だぞ!」
ギチチっ!
とルーが弓を構えたその時
ドカ――――――ン!
まだ全開でなかった扉を
巨大根が強引に開き
、中へ入ってきた。
ズゴガ――――ン!
「キャー!あの重い扉をなぎ倒した~!」
「くそっ!くそっ!完全に逃げ場がないぞ!」
とマイとルーがかなり興奮しているが
俺は冷静に
(ヘビーモスの注意が巨大根へ行った!)
「今だ!あの最後の扉へ!」
とダンジョンコアが
あるであろう部屋の石の扉を指さした。
「はい!」
マイがその扉目指し、アクセル全開にした。