男同士の熱い騙し合いが今、始まる……!!否、始まろうとしている……!!
世界で初めて「ミミズ千匹」って言った人って絶対にモリモリに盛ってるだろ。よくて5,6匹だろ。
体験したことないからわからんけど。
瓦礫の山を越え、その瓦礫の山で足踏みしている山口を引っ張り上げる。そこそこ重たい。まあ、<結実>程じゃないが。…そう考えるとあの刀って相当重いんじゃね?
まあいい。瓦礫の山を踏破した俺達は少し歩いてタクシーを捕まえた。…そういえば金はどうするんだろうか?もしかして俺が払う系か?だとしたら最悪なんだが。だってアイツって財閥令嬢だから価値観狂ってるもん。
「すみません。○○に向かってください」
「○○ですね?分かりました」
「お願いします」
「了解しました。…それよりお客さん…もしかして彼女はコレですか?」
そう言って小指を突き立ててくる運転手の爺。
「違います」
「ふふふ、そうですよ。まだそんな関係じゃないです」
車内は地獄である。初対面の癖にやたら話しかけてくるお爺さん運転手に、気狂い財閥令嬢。そしてパーフェクトな俺!
まともなのが俺しか居ないという現実。これが詰みというやつだ。
―――1時間後
着いた。やっと着いた。道中女と爺が絡んできてうざったいことこの上なかったが、もういい。
「1万2000円になります。…はい、ちょうどいただきました。あっとお客さん、領収書切りますか?」
「結構です。ありがとうございました」
「ありがとうございます」
「こちらこそおおきに。ほなね」
ブォオオオン
謎関西弁運転手が去っていった。
さて、目の前には黒い門が取り付けれた巨大な屋敷があるわけだが、勝手に入ってはまずいだろう。主に世間体が。地球に居た頃から世間体を気にしてきた俺が言うんだから間違いない。そう、世間体を気にして、不出来な息子である俺は自ら学校に行かずに引きこもったぐらいだ。これだけでも俺の見栄っ張りぶりが分かるだろう。そして自分の見栄っ張りぶりを理解している俺自身はその張り具合を強化したので、一般の見栄っ張りとは一味も二味も違うのだ。要は俺は張り界のスターなわけだ。そんな俺が家人の許可も取らずに屋敷に入ることなどしないのだ。
ピンポーン
女がチャイムを鳴らした。
「私です。ただいま戻りました。それと恩人を連れてきましたので饗す準備を」
「了解しました、茜お嬢様。では門を開けにいきますので少々お待ちください」
屋敷からスーツを着た長身の男(以下、SPと呼ぶ)が歩いてきた。ガチムチハゲサングラスである。
ギギィ
「おかえりなさいませ、茜お嬢様とお連れの方」
俺を見たSPは一瞬訝し気な視線を寄越した。アレだろう。俺のシャツについた鼻水とか涙が乾いてカピカピになってるのが気になったのだろう。
「ええ。さっ、行きましょうか。逢魔さん」
「ありがとうございます。案内よろしくお願いします吉田さん」
一瞬SPが顔を顰めたのが見えた。懐に右手を突っ込んでいる。恐らく拳銃があるか確認しているのだろう。
「もう、逢魔さんったら!同じ苗字なのですから名前で呼んでください!」
SPが納得した表情を浮かべた。どうやらさっき銃確認の仕草は俺が女の名前を間違えて呼んだのを聞いて、山口財閥の敵対企業の刺客が用いる暗号の類だと勘違いしたようだ。
「ははは、そうですね。ではあらためて案内よろしくお願いします」
このほわほわっとした空気がキツイ。いや、キツイを通り越して気持ち悪い。さっさと金でも貰って退散しよう。
門を潜ると目の前には庭が広がっていた。
あ、広い。そんなことを考えながら歩いていると女が話しかけてきた。
「この庭は大庭式で有名な大庭 和義によって設計されましたの。あそこを見てください!あの岩の配置こそ大庭式の真髄である満空地ですのよ!」
「そうなんですか!素晴らしいですね!」
「この庭の良さが分かるなんて、逢魔さんは教養も御有りなのね!」
いいえ、庭なんてどうでもいい派の男です。
庭を通り玄関に着いた。
なんか玄関だけで地球にある家の我が部屋より大きいんですけど…敗北感が凄まじい。来るんじゃなかった。
玄関を通り、廊下も通り抜け、なんかでっかい客間みたいな部屋に辿り着いた。
「逢魔様、ここでお待ちください」
「了解しました」
「私もこの部屋で待ってますわ!」
「お嬢様は私と共に幸雄様にご報告に行かねばなりませんよ」
「ふー、そうでしたわ。では逢魔さん、ここでお待ちください!」
「分かりました。行ってらっしゃいませ」
―――山口財閥財閥令嬢:山口茜
私と黒田(SP)はお父様の部屋へと向かった。
「お父様、お待たせいたしました」
「では、私はこれで」
「ふむ、ご苦労。…では茜よ、今日あったことを話しなさい」
「はい。………が………で………となって、現在に至ります」
「ふむ。要はスクランブリング交差点に出現した怪人に茜が襲われ、それを救出したのが茜がこの屋敷に連れてきた吉田逢魔君だった、というわけか。そしてその吉田君は怪人を素手で倒した、と」
「はい、その通りです」
「そして情に厚い好青年である、か…」
「そうです」
「ふむ、興味が沸いた。会ってみよう」
お父様はそう言うと、客間に向かって歩き出した。
よしおくんがSPの心理描写できてるのは、ボッチ特有の「表情からその人の感情を窺う」という特技を小学生にして会得してるからです。
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