唐突に始まる自分語りほど鬱陶しいものは無い
最近の男子も女子も喋り方がほぼ同じだから、喋り口調の違いで個人を特定させるのがめんどくさかった
(神に会いたいのでしたら『リミッター』で押さえつけている魔力を解放して下さい。そうしたら向こうが勝手に気付くでしょう)
オッケー、んじゃ
「リミッター解除、魔力解放!」
ドクンッ、と心臓が、否、同化したダンジョンコアが跳ねる。そして一瞬でも気を抜けばダンジョンが、そして周りの星が壊れるであろう程の魔力を制御する。
(もうやめていただいてもよろしいですよ)
再びリミッターを使用して、解除前までの力に戻す。
ふー、疲れた。こんなんで本当に神は来るのか?
「さっきの異常な魔力を観測したのはココね?」
なんか来たわ。
「どうも。ここのダンジョンの主です。」
「私は神よ!!」
何だこいつ。
俺が想像してたエリーにソックリなのだが、なんというか魅力度が段違いである。しかもエリーと違って溌剌としてる。
それにしても、こんなのがエリーの素だったのか。なんか力を得た瞬間横柄になるタイプの小物臭さを感じる。
俺たちはダンジョンの中央付近に置いてある机を挟んで向かい合わせに座る。
「ワタクシ、狭山 義雄と申します。本日はお呼びたてしまして申し訳ございません。お話を伺いたく存じます」
「えっ、狭山……んんっ、何でもないわ。私は、狭山 絵里香よ。話を聞きたいって言ってたけど何の話を聞きたいのよ」
「あっ、狭山……んんっ、何でもないです。えっと、単刀直入に聞きますが、貴女は一度自分以外の星を全て壊しましたか?」
「壊してないわよ」
言い方の問題か?じゃあ、
「どうして壊れたんでしょうか?」
「固有能力の事は知ってる?まあ、アンタみたいなのが知ってるわけないけど。
固有能力っていうのは、汎用性のあるスキルではない、自分だけが扱える技能のことなの。
そして私の固有能力は『虚無操作』。どう?スゴイでしょ!
まあ簡単に言うと、その能力が暴走して全部の星が無くなったわけ。
だから壊したわけじゃないのよ」
ヤバみが深い。
「あっ、そういうことだったんですね…
一回この机に向かって、虚無をぶつけて?いただけませんか?」
「いいわよ。っホイ」
机が消えた。魔素シールドも張ってたのに意味を成さなかった。そして机は魔素になって俺の目の前から消えた。…控えめに言ってヤバい。
「…凄まじいですね。この威力なら暴走するのも分かります」
「(なんか腹立つヤツだわね。なんでちょっと上から目線で話してるのかしら。虚無ぶつけてやろうかしら?)」
小声で恐ろしいことを言ってる。
「そ、そうでした、貴女はダンジョンマスターになるまでは何をされていたんでしょうか?」
「引きこもりだったわよ。そもそも私が元居た星、【地球】では家族4人で暮らしてたのよ。信広父さんに美子母さん、それに妹の由香里。四人一緒にまあまあ楽しく暮らしてたのよ。………」
ヒロインかなぁ?