表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ《禁術の異世界召喚》

漆黒の闇夜だった。

その漆黒の世界を照らす光が射し込む。

太陽が地平から現れたのだ。

地球に比べると見えるが、太陽が小さい。

眩く光るが一つではない、二つだ。

連星の双子の太陽。

この時点で、地球でない。

倉庫の星があるのは、地球とは違う星系か

又は、完全に違う世界つまりは、異世界だ。


大地と海と森の調和のとれた豊かな惑星。

1番大きい大陸の北西部。


ある国、その南東部に位置する。

その国の中枢。

城壁に囲まれた城の中。


謁見の間。

赤茶色の絨毯が扉から、一直線に部屋の中横断する。幅は、5メートルあるかないか

騎士が広間にその声が、全体に届くように叫ぶ。


「陛下、宮廷魔導師ゲルマン・フィン・クエンタール参りました。」

「陛下、お呼びでしょうか?」

「来たか、ゲルマン。お前を呼んだのは、他でもない。」


宝石装飾が施された玉座に座る男が口を開く


「我が国の為に召喚術を使うのだ」


玉座の間で王前で

刺繍が施されたローブを身に纏う


「しかし、前にも申しましたが、今はまだ禁術ですよ?」

「禁術なんぞ、意味はない。我は、この国を統べる国王だぞ。我が使えと言っているだからゲルマン貴様は黙って従えばいいんだ」


唾を撒き散らしながら喋る。

腕を上下に振るたびに身に付けた宝石がジャラジャラと揺れる。


「召喚術を禁術にしたのは人でありません。神々がむやみに使ってはならないと禁じたのです。」

「神々なんぞ、我は信じてはおらん!!」

「神々を信じてはいないのは、私としては構いませんが、やはり、召喚術を使うのは危険です。召喚術は数少ない第1級の大魔術…それゆえに容易ではないのです」


怒りに身を任せて、肘掛けを何度も打ち付ける。


「世界中の宮廷魔導師の中で、唯一の魔術協会公認の最高位の"白金"の称号を持つ貴様ならば容易に召喚術を使えると鑑定士達が口々に話したぞ!!これだけの数の鑑定士達がすべて違えたというのか?」


脇に控えた者たちを指差す。

真ん中の男が指さされて、慌てふためきながら口を開く。


「へ、陛下、私たちは嘘を申してはおりません。」


汗を滲ませながら、頭を左右に激しく振る。

そんな中、肥満体型の男が玉座の横にやって来た。


「陛下、確かに召喚術は、神々の協力無しでは、第1級の魔術ですが…複数人で行えば、可能であるとこの書物にもあります。」


肥満体型の男は、この国の宰相だ。

古びた本を手にして、広間の皆に見えるように掲げた。

"大魔術魔導書"

宮廷魔導師のゲルマンも当然その本について知っている

大魔術とされるは魔法について書かれた。

王国が所蔵している本の中でも、厳重に管理されている。閲覧禁止書庫の秘蔵書物、その禁書の一つだ。

すでに失われた古代語で書かれている為に本来ならば、容易には読めないが、古代語を知るほどの知識者には、部分的だが読める。


「聞いたか?何も貴様1人でなくとも、召喚術を発動出来るのだ」

「確かに、複数人でも行うことは可能でしょう。しかし、一つの術を複数人で行うことは、1人で行うよりも、格段に難易度が増えて危険を伴います。」


一つの術を複数人で行うには、術を行使する際に皆の力を調整する必要がある。

バランスを崩して暴走する事がある為に、大魔術では行えないのだ


「故に貴様に頼んでいるのだが…しかし、貴様が協力しないのならばいい。貴様を国家反逆の罪で処刑するだけだ。」

「分かりました。召喚術を行います。しかし、準備や確認してから行います。万全な状態で臨みたいと思います。」


1人の弟子を連れて城の中を歩いて

端の方にある部屋に着いた。

部屋の中の入り口の左側の花瓶に手をかざすと花瓶が消え

中から魔道具が姿を現した。

短い呪文の後、防壁起動っと呟くと

魔力を流し込まれて、魔道具を作動する。

魔道具によって、部屋の中に魔法防壁が展開された。

魔法防壁を展開された事を確認して

付き添うって居た弟子がゲルマンに尋ねる。


「ゲルマン様…本気で召喚術を?」


その会話聞き、部屋の中で作業していた2人がゲルマンの元にやって来た。


「そんな訳あるか、あの術は神々の協力の下に行うことで成功する。その神々が禁じている今、そんな馬鹿を儂はせんよ。」

「やっぱり、師匠がそんな事する訳ないとは思いましたけどね~」

「ならば、ゲルマン様抜きどうこうの話ではないんですか?」

「そうだ。宰相が言っていたのは、神々に関する部分を丸ごと無視しているんだろう。」

「確かにあの本には、大したこと書いてないですからね~。」

「それはそうだろう。あんな、()()()()()

「あ~それ言っちゃいます?」

「事実なんだから平気だろう」


宰相が見せていたあの本

実は、貴族子供向けの知育本だったのだ。

そんな本に召喚術について、詳しく書いてあるはずがない。アレは、ただの古く貴重なだけであって

資料として保存の為に、閲覧禁止にされだけの本だった。

書かれている文字は、現代ではすでに古代語だ。

今の者達には、当然、読めないし…

そんな事すら知らないんだろう。


「とりあえず、協会の知人に話しておかないとなぁ~」


台の上にある装置を取り出した。

呪文をに唱えると装置が淡い光を放った。


事の顛末を一部始終伝えたのだ


『そんな…馬鹿な』

「この国は、もうダメだ。そちらの仲間にも言っておけ」

『分かりました。伝えます。』


通信が切れて、光を失った。


「先王が危惧されていた通りになるんでしょうか?」


装置をしまい、他に必要な物がないか確認したがやはり、弟子達が片付けたようで大したものはない。


「恐らく、なるんだろうな」

「仕方ない…。見た感じには終っているとは思うが、すでに準備してあるな?」

「はい。全てゲルマン様の指示通りにしてあります。」


弟子達は優秀な者達なようだ。


「ならばいい。さてと、もうそろそろ。この国から出ようかなっと」


銀髪碧眼の美女に変身した。


「やっぱり、こちらの姿の方が動きやすい。」


弟子達は、その姿を見ても驚く様子がない。

彼女の姿を見た反応は

(ああ、髪型また変えた?)

位の反応で、しかなかった。


「師匠のその姿を見るの久々ですよ。」


今の姿こそ、彼…いや、彼女の本来の姿だ


「さすがに、宮廷魔導師ゲルマンの姿では、この国からフケるのは目立つし面倒だからね。」


やれやれと、手を上げている。


「確かにあの国王ならば、手段選ばなさそうですからね~無難でしょうね。」

「私は、この姿で行くけど、あなた達は?どうするの?」

「私は、このままでいいですよ?マルセルとサンドラさんは?」

「私もこのままで、城から出てから面倒だったら考えます。」

「僕は、元の姿で行きます。」


首に掛けていた首飾りを弄ると彼の周囲が歪んだ。

しばらくすると、歪みがおさまり

元に戻ったが…そこには、少年の姿はなく

赤茶けの毛並みの狼が姿を現した。

狼は狼でも、二本足で立ち服を身につけている。

獣人…それが先ほどの少年の本来の姿。

そのマルセルの姿だが、4人の中で1番背が高い。

明らかに、2メートル越えしてるだろう。


「マルセル相変わらずデカイなぁ~、また背が伸びたんじゃない?」


その言葉に、片手で頭を触る。


「そうですか?まだまだ成長期のはずなんですけど…これ以上背が伸びたらさすがに、困ります。師匠からもらった。このアイテムで姿を変えてないと、厳しいですから…。」


「マルセル気にしなくていい、それは私の作った奴だからまだまだ、平気だろうさ」


その言葉を聞いて、首飾りに触れる。


「このアイテムくれて、本当にありがとうございます。師匠。」

「礼には及ばんさ、さて行くか?」

「「「はい。」師匠。」先生。」


そうして、ゲルマン達が立ち去った。


その数ヶ月後…

突如、夜を照らす程の閃光が出現して、暴風と轟音とともに一瞬にして、消え去った。

その後には、何も無かった。

城とその城を囲む王都が丸ごと、綺麗に消えていたのだ。

長い年月をかけて、国の者達が小山を開拓して築いた。

強固な城壁をもつ大陸でも指折りの優雅な都。

王国と同じく、歴史があるその王都が山ごと、何も無い平地に変わっていた。

皆口々に噂する。

愚かな王が、神の怒りに触れたのだっと…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ