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34.新ガチャ”引き直しガチャ”が修羅の道、ですっ♪

久しぶりの投稿ですね^^;

いやー、中々書き進められないのが辛い所ですが、更新を止めることは無いかと。

夏には思いっきり書くぞ〜!!(空振り)









「なぁ主よ」


「ん?」




 六月初日、食事を済ませ何時もの如く怠惰な昼を過ごしている蒼汰の元に、一人の少年が訪れていた。名前はガイウス、少し中二病を拗らせたような性格をしている。




「最近アレをしていないのでは無いか?」


「アレ?」


「そう、アレだ。あの中毒症状を引き起こす、謎の筐体から球が次々と零れ落ちるアレだ」


「……あー、ガチャの事な。そう言えば最近してないっけ」




 五月はデイリーボーナスで無料ガチャが引けた事や、CPの余裕からCPガチャを大量に回せていたが、月末にはCPが殆ど消滅し、六月に入った為にデイリーボーナスが無くなってしまった今、ガチャを引く方法が殆ど無い状態である。因みに、現在のCPの状況というと、


<五月の討伐>

ゴブリン:5588体、アークゴブリン:158体、オーク:202体、スライム:1366体

合計CP:336,450CP



となっている。元々魔力草で稼いでいた膨大なCPを見ると、やはり総じて少ないように見えてしまう。





「CPガチャは頼れないしなぁ……シス、何かないか?」


『はいマスター。六月になりましたので、新たなボーナスのメールが届いています』




 蒼汰の問いかけに応答したシスは、画面上にそのメールの本文を表示する。




「えー何々……『六月のボーナスとして”十連一度っきり引き直しガチャ”を開催!! 期限は六月末まで!! 今すぐガチャを引きますか────はい/いいえ』

……シス、引き直しガチャってのは?」


『はい。名前の通り十連ガチャを回し、その結果に納得いかなかった場合はもう一度引き直す事が出来ます』


「……それってさ、期間中は納得いくまで引き続けられるって事なんだよな?」


『はい、そうなります』




 シスの肯定には、蒼汰も思わず目を見開いていた。当然と言えば当然だが、こんな都合の良い話である訳が無く、R以上確定枠が存在しない事や、UR以上の排出率が0.1%だったりと、普段より渋めのガチャ構成になっている。




「おし、なら善は急げだ。試しに一度やってみるか」


「何度でも引けるのならば、我が回さない理由など無い」


『分かりました。では早速ガチャを隅の方に出現させます』




 シスの言葉の直後、LDKルームの隅の方に見慣れた形のガチャボックスが出現する。普段と違う点を挙げるとするならば、箱の色が水色になっている事ぐらいである。




「ガイウス、先に引いていいぞ?」


「うむ、恩に着るぞ主よ」




 ガイウスはソファからガチャボックス前まで移動し、何の躊躇いも無くレバーを下ろす。カラコロと音を立てて、黒色のカプセルが転がり落ちてくる。その数────計十個。




「…………」


「ま、まぁ最初はこんなもんだろ」


「……解せぬ、解せぬぞ主よっ!!」


「……シス、引き直す方法は?」


『はい。箱の裏に”リセットボタン”なる物が存在するはずですので、それを押して頂ければ排出されたカプセルはすべて自動で回収され、もう一度ガチャが引けるようになります。

留意する点としましては、どれか一つでもカプセルからアイテムを解き放った時点で引き直しは出来ませんのでご注意ください』


「……だってさ」


「うむ、なら心ゆく迄この鉄槌を下ろすまでッ!!」




 ガチャが再度引ける状態になった事で活力が戻ったガイウスは、勝手に持ち上がっていたレバーを引き下ろした。しかし。




「なぁっ……」


「……まぁ、そうなるよな」




 足元に散らばるのは黒一色。誰が何度見ようと、黒の一文字で完結してしまう光景だった。

 それからというもの、ガイウスはまるで取り憑かれたかのようにレバーを下ろし続けた。黒を見ては表情を固め、リセットボタンを押しては気を引き締めて引く、ただその作業を繰り返し続けていた。


 たった一人の孤独な戦いを蒼汰が見守る事一時間程。ついにその時はやって来た。




「……っ!! あ、主っ!!」


「お? おおっ、早い内に出たな!!」




 黒の中に混ざる、たった一つの銀。それを見た途端薄っすらと涙を浮かべるガイウスに、後ろから見ていた蒼汰はトントンと肩を叩き、その労をねぎらう。

 確定枠無しの状況で数%のSRを引き当てた、この時点で十分な大当たりのように感じてしまう。だが、この二人は、いや、この二人に限ってはそうではなかった。




「……なあ、主よ」


「ああ。恐らくお前と考えている事は一緒だ」


「「最高レアを引き当てたい」」




 まるで薬物に依存するかのように妄執した二人は、そうするのが自然だと言わんばかりにがっしりと握手を交わしていた。




「あの至極の球を引きずり出すまで、我はこの悪魔の箱と対峙しようぞ!!

ふふ、我の血が死闘を欲しているッ!!」


「……因みにだけどな、金は何も一つしか出ないと決まった訳じゃない」


「そ、それはっ……!!

主、それはつまり我に死闘のその彼方に赴け、という事か……!?」


「大丈夫、流石に一人だとしんどいのは分かってるし、何より廃人化しているのはお前だけじゃない。

……メイドや俺達総出でやるぞ」


「あ、主っ……!!」




 目の前には期間中何度でも引き直せるガチャボックス。仲間や従者にはこれを回したくて堪らない廃人たちが数多く。これだけの条件が揃った状態で、蒼汰はそれ(・・)を目指さずにはいられなかった。




「UR以上を、期限内に最低三つ以上出るまで回す!! いや、出すぞ!!」


「承知っ!!」




 過激なまでの熱を見せる二人の男は、憑かれたかのように箱の中身を掻き混ぜまくる。その後エリン達やメイド達も集まり、数日間は悲鳴や嬌声が飛び交ったとか……







面白いと思ったらブクマ、レビュー、感想等待ってます(^O^)

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