16.回して回して……ですっ♪
投稿間隔が開いてしまって申し訳ありませんっ(^-^;
言い訳させてください、リアルが忙しかったんですっ(´;ω;`)ウゥゥ
……以後気を付けます(-_-;)笑
「はい残念~」
「ううっ……悔しいです……」
蒼汰の言葉に、奴隷メイドのカタシアがトボトボと引き下がっていく。そんな二人の前にあったのは、普段の物と色が違う、青色のガチャガチャだった。
この青色のガチャガチャは、蒼汰が今まで触れてこなかった”CPガチャ”。これを使い、彼はSR以上確定ガチャ券でガチャを引く人を選ぼうと画策したのだ。要は「レアガチャで良い物を当てる為に、通常ガチャで運試し」という事である。
「さて、これで全員終わったかな。じゃあシス、発表を」
『畏まりました。今回のCP十連ガチャで最も良いアイテムを引き当てたのは、エリン様、ソリス様、そしてガイウス様の三名となります』
シスに呼ばれた三人は、群衆の中から一歩前へと足を運ぶ。周囲の者からは羨望の眼差しが向けられているのだが、彼ら彼女らはガチャガチャの虜にでもなったのだろうか。
「あれより良い物が手に入るガチャを引けるのは、少々楽しみですね」
「そうですねっ♪」
「……フッ、天は我に味方したか……」
……どうやらもれなく全員ガチャ廃人と化した様だ。一名厨二病チックなのが混ざっているが、これが彼・ガイウスの本来の性格。決してふざけている訳では無い……筈である。
「さ、じゃあ皆お待ちかねのSR以上確定ガチャのお出ましだっ!!」
「「「「「おぉっ!!」」」」」
蒼汰の掛け声に合わせ、シスが専用のガチャガチャを出現させる。まるでそれが豪華だと言わんばかりの金色で装飾されたガチャガチャに場の皆が感嘆の声を上げる中、三人はそれに近付き、そして無意識の内に喉を鳴らしていた。
「さて、誰から引きたい?」
「あっじゃあ私から引きますっ♪」
最初に手を挙げたのはエリンだった。金色に染まったレバーに手を掛けると、それを一気に引き下ろす……銀だ。金から銀が出た。
「あー……残念ですっ」
「ま、それでもSRだ。早速中身を確認してみよう」
そう言う蒼汰を見て頷いたエリンは、足元に転がる銀色のカプセルを拾い上げた。
・不壊剣,
説明:その名の通り、どんな衝撃を加えたとしても壊れる事のない剣。鍛冶職人泣かせの武器だが、それ以外の能力は無いためにレア度はSRである。
「へぇ、このガチャって武器も手に入るのか」
『はい、武器や防具、魔法道具は勿論の事、その他様々なアイテムが手に入ります』
「……あー、そう言えば前変なの手に入れてたっけ……」
例の黒歴史本の事を頭に浮かべ苦笑いしてしまう蒼汰。
ガチャから排出されるモノの中では最上位の異質であるそれを見てしまっている彼からすれば、他のアイテムではそう満足のいく反応を見せる事が出来なくなっていた。その為こうして破格の武器を手に入れたとしても、反応が薄いのである。
「では、次は私が引かせて頂きます」
剣を抱えて蒼汰の横についたエリンを見届けると、次はソリスが名乗り出た。慣れた手つきでレバーを引き下ろすと、視線だけをガチャ箱下の方に向ける。金だ。
「金……つまりはURアイテム、という事ですね。中身は……えっと、何でしょうかこれは……?」
大当たりを引いたのにも関わらずまるで無関心な態度を見せるソリスだが、言っておこう。内心は今すぐにでも叫びたい程に喜んでいた。そんな彼女が引いたのは、以下のアイテムである。
・二割引カード,
説明:CPを消費して物を買う際、二割引きされるURアイテム。所持している限り永続する。ダンジョンマスター専用。
「あー、どうやらそれダンジョンマスター専用のアイテムみたいだわ」
「そうでしたか。ではこちらをどうぞ」
自分に使えない物だと分かり少し残念がるソリスからカードを受け取ると、蒼汰はそれをポケットに仕舞い込み残る一人に目を向ける。
「さ、最後はガイウスだな」
「うむ。我の天恵を刮目するがよいぞ、我が主よっ」
見え透いたフラグを立てつつレバーを勢い良く引き下ろすと、転がって来たカプセルの色は金。どうやらフラグは回収されなかった。
・リスポーンストーン,
説明:このアイテムに召喚石等で召喚したモンスターを登録しておくと、そのモンスターが絶命した際にその死体を光分子化、消滅した後に一時間の間隔を開けてこのアイテムの前に復活させるURアイテム。登録可能なモンスター数はダンジョンの規模に依存する。現在登録可能数:二体
「……シス」
『はい。お気持ち察し致します』
「んんっ? この浮遊し閃光を放つ深蒼の結晶は一体何なのだ我が主よ?」
シスと、アイテムの説明が書かれている画面を見ている蒼汰の二名は声を大にして言ってやりたかった────”お前が激レア引き当ててんじゃねーよっ!!”、と。
自身が引いた宙に浮く謎の水晶体に疑問を浮かべるガイウスにそれの説明をし、児童程の大きさのあるリスポーンストーンをシスに回収させた。すると、彼女から意外な言葉が返って来る。
『マスター。このアイテムを回収した事によって、私の方での収容量の限界に達しました』
「……あー、マジでか」
薄々とだが、蒼汰自身その原因に思い当たる節はあった。このSR以上確定ガチャ券を使う者を決める為に引いたCPガチャ。
一人十連引けば全員で百九十連という膨大な数になり、更にそれによって手に入ったアイテムの殆どがレア度Nのモンスター素材であったり、ポケットティッシュやトイレットペーパーという福引のハズレのようなラインナップになっていた。
ポケットティッシュは引き当てた者に持たせたとしても、モンスター素材やトイレットペーパーを持たせておく訳にはいかない。というよりは持ちたがらない。
そういう訳で奴隷達が持ちたがらない品を已むを得ずシスに回収させていたのだが、それに限界が来たらしい。流石の蒼汰もこの事態は想定外だった。
「今度からガチャ引く時に困るよな、それ……」
『でしたらマスター、収納庫を作るのはどうでしょう』
「あ、そっかそれだ。シス、収納庫と備蓄倉庫を作ってくれ。収納庫は出来れば俺とエリンの部屋に直結する様に、備蓄倉庫はトレーニングルームの隣にでも作ってくれ。サイズは順に大部屋、小部屋、どちらにも等間隔で収納棚を並べておいて欲しいんだけど……出来るか?」
『かしこまりました。収納棚に関しましては部屋の建設の際にオプションとして付いてきますのでご心配なく。CPは合計で560,000となります』
「それで頼むわ。んでトイレットペーパーやタオル類の日用品を備蓄倉庫に、残りの内それほど大きくないのは収納庫に入れておいてくれ」
『かしこまりました』
新設する場所に対し的確な指示を出す蒼汰。その様子に奴隷達は尊敬や好奇の目など、様々な感情の目を向けていた。
一通り終え軽く息をつくと、エリンが彼の裾をクイクイ引っ張った。
「ん? どうした?」
「ガチャも引き終えましたし、そろそろお開きにしませんか?」
「あぁそうだな。じゃあ皆、これにてガチャ大会はお終いだ。解散っ」
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