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花に鴉  作者: 師走
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1

私はぼんやりと夜の街中を歩いて行く。

明かりは周りを覆っているのに、この隔離感はなんだ。

私は足もおぼつかなく歩く。

今日も一日中進んだ。

止まらずに進めた。

それだけで、いいのだ。

私は無意識のうちに、

細い路地へ、細い路地へと向かっていく。

灯の数も減り怪しげな雰囲気が醸し出てくる。

私と闇は同じ色。

私も真っ黒よ。

泥や埃の塊なのね、ははは、笑っちゃう。

不意に肩を掴まれた。

後ろを振り向くとほんのり赤い顔の男の人が「おい姉ちゃんこんなとこでなにしとんやほんまに」と言ってじろじろ見てくる。

酒の酸っぱいような匂いがぷんときて、思わず私はほっこり笑ってしまう。

男の人はひどくドキリとしてしまって、「ま、ええわな。うん」と言って私から手を離す。

その直後私は男の人の片腕に両腕を絡まして擦り寄っていく。

男の人はとうとう焦りだす。

私はそのまま頭まで腕にくっつける。

男の人は酔いも覚めたように呆然と立ち尽くしていたが、やがて私を抱くようにして歩き始める。

私は、一人なんてことはない。


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