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私はぼんやりと夜の街中を歩いて行く。
明かりは周りを覆っているのに、この隔離感はなんだ。
私は足もおぼつかなく歩く。
今日も一日中進んだ。
止まらずに進めた。
それだけで、いいのだ。
私は無意識のうちに、
細い路地へ、細い路地へと向かっていく。
灯の数も減り怪しげな雰囲気が醸し出てくる。
私と闇は同じ色。
私も真っ黒よ。
泥や埃の塊なのね、ははは、笑っちゃう。
不意に肩を掴まれた。
後ろを振り向くとほんのり赤い顔の男の人が「おい姉ちゃんこんなとこでなにしとんやほんまに」と言ってじろじろ見てくる。
酒の酸っぱいような匂いがぷんときて、思わず私はほっこり笑ってしまう。
男の人はひどくドキリとしてしまって、「ま、ええわな。うん」と言って私から手を離す。
その直後私は男の人の片腕に両腕を絡まして擦り寄っていく。
男の人はとうとう焦りだす。
私はそのまま頭まで腕にくっつける。
男の人は酔いも覚めたように呆然と立ち尽くしていたが、やがて私を抱くようにして歩き始める。
私は、一人なんてことはない。