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ファンタジー世界でもひとり。  作者: 不覚庵
チュートリアル。
7/11

黒揚和英辞典。

辺りを見回してみると、殆どが平屋建てで二階のある建物は村落の中では今日泊まった宿屋以外に見当たらない。


建物一つ一つは少なくとも都内の一軒家の倍以上の敷地があり、大きい所には馬屋らしきモノも目に付く。


しかし。日本だと電柱に番地が書いてあったり道沿いに○○街道と書かれた標識があったり信号器に名前が付いて居たりするのだが、サッパリ目にする事無くムラに付いてしまった手前、ココが何処なのかすらわからねぇ始末。


せめて店らしきモノは無いのか、公民館ぽいのは無いのか、この際掲示板でもいいからなんか書いてないのかとウロウロしてみるが、狭いムラっぽい割に中々見つかりそうにない。


やがて一際デカい平屋のある方向に行くと、掲示板らしきモノをやっと見つける。

が、相変わらず読めない。


少なくとも日本語じゃなくて英語に近いアルファベットだよな、でもアルファベットでも英語とドイツ語じゃ大違いだしキリル文字系だと更にハードル上がるよな…


とりあえず英語読みだとこうか。


”ヘレ村掲示板”


掲示板に貼られているのは紙っぽいが、羊皮紙の実物は見た事無いが、どう見てもコレは和紙に近い。


書いてる内容も判らぬまま、とりあえずノートを取り出して丸写しする。


改めて一番デカい平屋を見ても”ナニナニ公民館”とか全く書いて居ないしどーも人の気配もない。


コレじゃラチあかんわ、と諦めて一旦宿に戻り、無断で食堂のテーブル占拠した上で日常会話集メクりつつ辞書を引いて緊急性高いモノから聞きたいコトをまず日本語で箇条書きに羅列して、似たような会話文を探して更にノートに書き写す。


更にその上にカタカナでルビ振って、抜けは無いか、間違った修飾子書いてな以外チェックしてカウンターの向こうで迷惑そうなカオして肘をついてるおばちゃんに向かって読み上げる。



”(テーブル勝手に使って)ゴメン”


”聞きたいんだけど”


”トイレはドコ?”


おばちゃん、黙って指差した方を見て、その方向から裏口を出ると丁度ボットン便所が裏庭にあり、用を済ませて指パッチンでトレペを出して、しっかり拭いてから紙を棄てて残ったトレペをしまう。


丁度横手に井戸があり、ココで顔洗ったり手洗ったりするのかと勝手に納得して水を汲んで手と顔を洗う。


冷たくてもいいからアタマもこの際洗いたいが、とりあえず自重しておく。


水を手で拭ってから手を振って水を切りながら、今更タオル位出しとくベキだったかと後悔するが、後の祭り。


顔も手もある程度乾いてから食堂に戻ってもう一度ノートを取り出して読み上げる。


”ココはドコ?”


”ファーレン様の領地。クリス村だよ”


ファーレン、クリス、という固有名詞だけなんとなく聞き取れたので、次に


”今日は何日?”


”16日、6月”


ある程度数を書き写したページをメクッて発音と比べる。


”ココから一番近いギルドのある街はドコ?”


”昨日アンタが入って来た逆方向に向かってムラを2つばかり通り過ぎればそこがファーレン様のお屋敷だね。そこにあるよ。”


具体的にナニがどうなのかはサッパリだが、身振り手振りでどうやら2日?2つ?向こうにギルドはあるみたいだ。


”この辺りの地図は無いのかい?”


そういうとカウンターから出て食堂の壁に貼ってある地図を見せて、


”この村はココ。”と指差して

”ファーレン様のお屋敷のある街はココ”と地図を西側にズラして教えてくれる。


”隣村迄どれくらい歩く?”


”今から出たんじゃ無理だね。20マールは向こうさ。”


20マール。1マール=1マイル、が相場らしいから…ええっと…


32km以上。


おぅふ…今からじゃ完全に日が落ちてまう…

(起きた時間が遅かったのか、完全に太陽は中天に差し掛かりつつある。)


そもそも30km以上も歩けるか自信ネェ…


どちらにしても今日出るつもりはなかったとは言え、明日はかなり早い時間に出ないとマズイぞコリャ。


”買い物したいんだけど、店は無いの?”


おばちゃんは首を振って否定する。


”食いもんなら弁当1食位包んでやるけどね、買い物はファーレン様の街に行かないと。”


そう言ってバスケットを見せてくれる。

(買い物は出来ないというコトだけは理解した。)


とりあえず壁に貼られている地図をノートに書き写して、どうするか考える。


”お昼どうするんだい?ついでだしアンタの分も作ってやるけど?”


”ありがとう。”


どうしたもんだか。


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