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ファンタジー世界でもひとり。  作者: 不覚庵
チュートリアル。
2/11

所持品検査。

結局、トボトボと道なりに歩きつつ、


(…はぁ、幾ら無能でも社会から見捨てられるどころか、存在自体世界から捨てられるとは思ってもみなかったぜ)


エコバックの中身は


・冒険者カード

・現地通貨

・「はじめての異世界 パンフレット」

・大振りの狩猟用ナイフ

・数枚のコピー用紙


で、まずコピー用紙に書かれていた内容曰く


「現代日本にある貴方の私物の所有権に関し、こちら側の勝手で処分する事は法的に許されませんので”全て”貴方の”インベントリ”に収納致しました。」


なんでも”インベントリ”と言う”無生物なら何でもかんでも異次元にプールして置ける”魔法”のみ、全ての異世界人に権利として与えられており

部屋干ししっぱなしの下着だの本棚で埃被ってる漫画だの、私物全て一切合切放り込まれ、任意のタイミングで取り出せるようになっている。


(て、いうか、処分が面倒臭いだけだろヲマエラ)


現地通貨に関しては簡単なレート(と言っても物価や経済自体が別物らしいから参考値らしいのだが)が書かれたさっきとはまた別のコピー用紙と共に

500mlのペットボトルぐらいの皮袋に準備金として日本円にして30万相当の銀貨銅貨スズ貨と、むこう(日本)の個人貯金を勝手に換金したらしく、同じ大きさにだいたい半分強の貨幣が入っていた。


同梱されていた封筒の中にクレジットカード大のプレートが入っており、この世界の身分証明書代わりに最も使われるモノなので紛失しないように、と書かれている。


(アレか、クルマの免許証とか市民カードとかそんな感じか。)


で、更にズッシリと重くゴツい狩猟用ナイフ。

殆どナタだなコレ。に関しては

「自衛用及び汎用生活ナイフ」

一応日本世界の製品のようだが、如何にも


(なんか売れない在庫品から適当に選んだ臭が…)


イマイチ気に入らんが、なきゃ困る(らしい)ので、カネに余裕がありそうなら改めて買い直し事になりそうだ。


最後のコピー用紙に書かれている内容には流石に参った。


「大変残念な事乍、貴方はこの世界で必須な能力である”魔法適正”が極めて低く、又、貴方特有の固有スキルもお持ちではありません。」


「フィジカルに関しては、現代人の約1.2倍程の成長率が見込まれますが、現地人と比較して今の貴方は”やや一般人より非力”な為無理をしない事をお勧めします。」


「読み書きに関しては同梱の教科書と単語辞書を参考に自力での習得をお願い致します。」


「尚、他の異世界渡来人と比較しても”多分に不利”と認めざるを得ない為、オプションサービスとしてインベントリに以下の品目をこちらから追加致しました。」


一瞬チートアイテムとか、伝説の武器とか期待したが、全然そんな事は無く、リストに挙げられているモノの”投げっぱなし”具合に膝から崩れ落ちた方が良いのか天を仰いだ方が良いのかわからなくなった。


リストの一部

・賞味期限ギリギリの冷食と缶詰とレトルト

・賞味期限ギリギリのミネラルウオーター

・古本の山

・古着(殆どサイズが合わない)の山

・要らないお歳暮の山

・警察がブンどった臭い中古ナイフの山…


(なんつーか、身内の在庫商品掻き集めて予算丸っと横流しした感が…いや、モノが無いよりあった方が良いに決まってるが…)


なんとも締まらねぇなぁ、と思いつつ、把握しきれない”インベントリ”のリストを読むのを諦めて、道なりにトボトボ歩いて人里らしき所に着いたのは日が暮れる寸前の事であった。


世界に在庫処分品と一緒に捨てられた(元)中年の明日はどっちだww

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