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笑わない僕と泣かない花。  作者: 桜ノ宮 妃緩
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暗中模索-キミがいない世界-

・陸・暗中模索キミがいないせかい


白くてはかなげな美少女、嘉影百合よかげ ゆり。僕の好きな人。僕が愛した、たったひとりの少女。

……そして、もうこの世にはいない少女。


君は何があっても泣かなくて、誰かの前でもひとりでも笑っていた。最後の最期まで。


「 …………ゆり…ッ……!!! 」


彼女からの手紙を握りしめて、僕は泣き崩れた。


病室に居たはずなのに、いつの間にか僕は自分の部屋にいた。

紫季しきが送ってくれたのだろうか。

何もする気が起きなくて、僕は何日も何日もベッドで泣きながら眠り続けた。


「 ………………!……る!…………お…! 」


遠くから何かを叫んでる?


「 …………おる!!……かおる!!!! 」


呼ばれているのは、僕だった。

聞き覚えのある少女の声。

でも、百合じゃない。百合は僕のことを「かおる」じゃなく「かおるくん」と呼ぶ。


「 かおる!!起きてください!!! 」


重たいまぶたをゆっくり開けると目の前には小さな瞳からボロボロ涙をこぼすあの小さい少女 がいた。


「 ‥‥……ッ 」


声をかけて安心させようとしたのに、数日間何も口にしていない喉は、声を出すことさえできなかった。身体も自分の思い通りには動かなかった。

すぐそこのテーブルにある水の入ったコップにさえ、届かない。

そんな僕を見た少女は、悲しげな顔をした。

少女はとても小さいから、コップを運ぶことができない。つまり、どこかのドラマのように水を飲ませることができないのだ。

少女は一瞬、くもった顔をした。でも、そのあとの顔は可愛いというよりカッコよかった。


そんなことを、考えていた。

なのに、頭は冴えてるはずなのに。身体はとても重く、とてつもない眠気に襲われた。

今、眠ってはいけない気がする。

だけど身体は僕の言うことを聞かない。

僕の身体なのに…。


まぶたを閉じる瞬間に、部屋全体があったかい光に包まれた。まるで、太陽のような優しい光に。

─── 嗚呼、僕死ぬのかな。

死んじゃダメです。

─── 死んだら、ゆりに会える。ゆりに会えるなら死んだっていい。

百合さんに会えるなら、生きることができますか?

─── 当たり前だ。ゆりにもう一度会いたい。まだ伝えてないことが沢山あるんだ。

その願い、聞き届けました。





白い壁、大理石のような床、色とりどりの花が咲き乱れる庭、高くそびえ立ったシンデレラ城に似た見た目のお城の目の前に僕は立っていた。


此処はどこだろう。

もしかして此処が、天国なんだろうか。


「 まぁ、似たようなモノです。 」


聞こえた声はどこかで聞いたような少女の声。

それは、あの小さい少女だった。

けれど、今は小さくない。いや、そりゃあ僕よりは小さいのだが、普通の人間くらいの大きさになっていた。

変わっていたのはそれだけではない。

白くて華奢な身体の後ろ、つまり背中に控えめだが美しい白い羽が生えていた。


「 驚きました?私、此処から ある任務 に地上に降りていた天使だったんです。 」


本当に、天使などという生物は存在したのか。

こんなにも小さいのに、任務だなんて、相当簡単な任務なのだろうな。

僕は何故だか冷静に考えていた。


「 会いたいんでしょう?貴方の大好きな 百合 さんに。 」


会わせてくれるのか!?


「 そのために連れてきたんですよぉ。 」


でも何故?そんなことをしてキミにメリットは欠片もないだろう。


「 これが私の 任務 なので。 」


どういうことだ?これが任務?僕をゆりに会わせることが?


「 正確には“ 百合さんを失ったショックで数日間食事も水分補給もしないという自殺行為をしたかおるを助ける ”任務です。金色の鍵がありましたよね?あれが 地上かおる天界ここを繋ぐ役目をしてます。 」


ふぅん…


「 あのままだと、本当に死んでましたよ? 」


ゆりに会えるなら死んだっていい。


「 ……それで会えなかったじゃないですか。 」


……え?会えなかっ、た?なんで…過去形なんだよ…。


「 私、この任務何回も リトライ してるんです。 」


リトライ?


「 何回やってもかおるは幸福しあわせにならなかった。死んでも死ななくても、幸せそうじゃなかった! 」


少女は、泣きそうな声でそう言った。

瞳からは涙が零れそうになっていた。


「 もう、あんなかおるは見たくないんです……ッ! 」


少女はとうとう泣き出した。僕もそれを見て、もらい泣きをしてしまった。

涙が次から次へと溢れ出て、視界がぼやける。


「 ……百合さんに、会いますか? 」


うん。会いたい。会って伝えなきゃいけないことがあるんだ。まだ届いてない僕の気持ちを、伝えなきゃいけないんだ。



「 ……やっと幸福しあわせにできるかな………… 」

少女は、誰にも聞こえないようにそっと呟いた。








読んでいただけたでせうか?

3話の謎が解けましたね(๑•̀ㅁ•́๑)✧


さてさて!

小説はいよいよラストスパート(?)に1歩くらい入りました!笑

また続きを早めに更新します!!

また読んでくださいね?(✽´ཫ`✽)


評価、ブックマーク、ランキング↓の投票、感想、アドバイスなどなど!いつでもどこでも待っておりまする。

よかったらおねがいします。

今読んで下さってる貴方のおかげで、このサイトに小説を更新するのが楽しくて幸せです(*´・ч・`*)


ありがとうございます!!

また会いませう!!!


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