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笑わない僕と泣かない花。  作者: 桜ノ宮 妃緩
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疑心暗鬼-ヤドリギと知らせ-

あけましておめでとうございまする。


・肆・疑心暗鬼ヤドリギとしらせ


翌日6月21日土曜日、午前10時17分。


「 …あのぉ、すいませーん? ここはどこでしょう?」


朝起きたら、目の前に小さい女の子がいた。

小さいと言っても、小学生とか赤ちゃんとかそういうレベルではなく、そうたとえば、500mlのペットボトルサイズの女の子だった。

「 …あの?すいません、見えてますかー!?」

「 あ、み、見えてます…けど。」

「?」

「 あ、あ、握手してください。」

「 …えっ!?」

何言ってんだ僕!てゆうか!この子は何おずおずと手を差し出してんだ!!

「 いや、冗談です。」

「あっ……ですよねー…」

沈黙。僕はどうしていいのかわからず動くことができない。


ぐぅぅぅううぅうぅぅ…


「 え?なに、今の音… 」

「 …。」

キョロキョロとあたりを見回しても音の原因がわからない。

パッとその女の子を見ると、女の子は耳まで顔を真っ赤にしてうつむいていた。


「 …え、えっと!これはですね、私のお腹がその、え、エネルギーを補給して欲しいという合図でして…その…」

「お腹空いてるの?」

「 …!!! 」

さっきの音はこの子のお腹が鳴った音らしい。

こんな小さい子に何をあげたらいいんだろうか。

ホットケーキ…とかは大きすぎて食べられないだろうし…


3分後。


「 !なんですか、このちょうどいいサイズの丸くて薄いものは!!こんなもの食べたことありません!!おいひいれふ…モグモグ 」

結局、僕は部屋にあったクッキーをあげていた。

それを美味しそうに1枚食べ終わった彼女は満足そうにため息をつく。

「 それで、キミは一体…?」

「 あっ!そうでした!ここはどこですか?」

「 えーっと、僕の部屋だけど?」

「 ボクノヘヤ?」


女の子はよくわからないと首を傾げる。

この子はきっとあれだ、『天然』だ。


「 じゃぁ、キミは誰? 」

少し呆れながら、質問を変えて女の子に問う。

「 私は名前ありません!あなたの名前は?」

「 …僕は 泉谷 かおる。」

名前が無い人なんているんだな、なんて考えていたが、そもそもこの子は人なのか?という疑問も湧いてきて頭の中がごちゃごちゃする。

この状況はなんだ?僕の夢か?夢なのか?

「…かおる…いい名前ですね!私も名前欲しいです!」

いや、そんなこと僕に言われても。

「 そうですね~…どうせなら可愛い名前がいいです!馨さま!なにかありませんか?」

馨さまって…そんな事言われても思い浮かぶわけがない。 …悪い気はしないが。

「 なにかないですかー?ないですかー?」

「 そんなのすぐ思いつくわけないだろ?」

そういうと女の子は頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまった。


「 それより、キミはどこから来たの?」

「 …。」

「 キミは人間?とても小さいけど、キミの正体は?」

「 …。」

無理やり話を変えてみたけど、答える気はなさそうだ。完全にねている。

「 …どんな名前がいいの? 」

ため息混じりにそう言うと、彼女は頬をピンク色にし、目をキラキラさせてこちらを見た。

「 可愛い名前がいいです!!!できれば花の名前がいいですね〜♡」


花の名前。

そう聞いた途端、嘉影よかげ百合ゆりのことが脳裏によぎる。

風邪はもう大丈夫なのだろうか。

あの近所のお兄さんとは付き合っているのだろうか。それとも、あれは嘉影よかげ百合ゆりの片想いなのだろうか。


「 ……ヤドリギの花言葉 」


「 …え? 」

「 …ヤドリギの花言葉、知ってますか? 」

「 知らないけど。 」

「 “ 困難に打ちつ ”ですよ! 」

「 ……。」

彼女なりに、励ましてくれたのだろうか。

そのあたたかさが嬉しかった。




トゥルルルルル…トゥルルルルル…


珍しく家の電話が泉谷家に鳴り響いた午後5時。

僕はいまだに女の子の名前を考えていた。

「 はい。もしもし。」

『 お、馨か?』

「 ゲッ…その声は… 」

声の主は笹原ささはら 紫季しき。僕の担任であり、義理の叔父だ。

『 ゲッっとはなんだ、ゲッとは!!わざわざ電話してやったっていうのによ。』

「 …。」

『 まぁいつものことだけどな。さすがに慣れたわ。 』

「 そんなことのために電話したわけじゃないんですよね。」

『 お前の敬語はうやまってねぇな〜。』

「 …。 」

『 んじゃ、本題な。』

最初からそっちを言えよ…。という言葉は心の中にしまっておいた。

『 驚くなよ?お前の気になってるあの嘉影よかげのことなんだが… 』



『 2日前の体育の授業で倒れて意識不明、今は入院してる。まだ意識は戻ってな… 』



その後の言葉はよく聞こえなかった。

聞いたのかもしれないが、僕はその言葉を覚えていない。


いつの間にか、受話器が手からすり抜けて、むなしい音を響かせた。







更新遅くなりました!!!ホントにすいませんでしたっ!(੭;´ ꒫`)੭

次の更新はなるべく早く致します!!

笑わない僕と泣かない花。やっと第4話です。

第3話の終わりと繋がってない、と思うかもしれないですが、第3話の謎は読み進めていくとわかりますよ!(たぶん…w)


笑わない僕と泣かない花。を読んでくださりありがとうございまする。

よろしければ、同時進行で進めている『ナミダから生まれたモノガタリ』も読んでいただけると喜びます。飛び上がります。もしかしたら更新早くなるかもです。

感想なども受け付けております\( ˙-˙ )/♥︎


では、また次の話で会いませう!

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