狼さんとずきんちゃん2
ハロウィンのつづきです!
思い浮かんでしまったのでつづきです。
ハロウィンパーティーでずきんちゃんにキスをして殴られた。
その腫れが落ち着いたある日、店のバイトの女の子に言われた。
「ハロウィンの次の日顔腫らして来たときはどうしようかと思いましたが引いたみたいで良かったです。店長イケメンなんだから顔が命でしょ。」
「命な訳あるか!仕事しろ。」
「口は悪いは、がさつだは、鬼上司なのに何でこんな繊細なケーキが作れるのか不思議でなりませんよ。」
「ケンカ売ってんのか?そんなの売ってる暇あったらケーキ売れ。」
俺の言葉にバイトは不機嫌そうに頬を膨らました。
「店長。店長のお気に入りのお客様ご来店です。」
違うバイトの女の子がこっそり厨房に顔を出して言った。
俺は慌てて厨房から出た。
ずきんちゃん。
俺の店の常連さん。
何時も幸せそうに俺の作ったケーキを眺め、しぼりにしぼったケーキをいくつか買って帰る彼女がずっと気になっていた。
だからハロウィンのあの日、赤ずきんの格好をした彼女が目の前にいて驚いたし、見とれた。
自分の願望が生み出した幻覚かと思った。
彼女と仲良くなりたくて、頑張って丁寧な言葉を選んだ。
持ってる知識の限りを尽くして彼女を退屈させないようにつとめた。
俺の作ったケーキを食べてほしくて、気持ちを込めて綺麗に並べて持っていくと凄く喜んでくれて本当に嬉しかった。
彼女が俺の顔を見たいと言って何だかんだで顔を見せた時、何時もわざわざ彼女が来たら厨房から出て接客していたのに全然気が付いてない事に少しショックを受けた。
でも、王子様と言う言葉に俺は調子にのってしまった自覚はある。
柔らかい唇の感触も殴られたショックで消しとんでしまった。
「えーと、シュークリームと!」
「本日はイチゴのタルトとミルフィーユ、定番ショートケーキがおすすめになってます。」
「じゃ、その3つもお願いします。」
ずきんちゃんは全然俺に気が付いてない。
俺は言われたケーキを箱にすべて入れると彼女のもとへむかった。
「お品ものになります。」
「え?お会計がま………狼さん?」
「はい。ハロウィン以来ですね。」
「なんで?」
「自分はここの店長けんパティシエをさせていただいております。」
彼女は本当に驚いた顔をした。
「前から知ってましたよ、ずきんちゃん。いつもごひいきにしていただいて光栄です。」
ずきんちゃんは顔を少し赤らめて俺を見ている。
可愛いな~!
「私、狼さんのケーキ大好きです。」
彼女の可愛い笑顔に癒される。
「あの、この前は殴ってしまってごめんなさい。あの、びっくりして…ごめんなさい。」
彼女は困った顔をして頭を下げた。
そんな顔をさせたい訳じゃない。
「自分の作ったケーキがずきんちゃんを幸せにしてくれたら嬉しいんですけど。どうぞ。」
俺はずきんちゃんにケーキの入った箱を手渡した。
「ありがとうございます!おいくらですか?」
ずきんちゃんがあまりに可愛く笑うもんだから、俺はそのまま彼女にキスをした。
驚いた顔をしたままのずきんちゃんに俺は笑顔をむけて言った。
「お代はいただきました。ところでずきんちゃん、俺の彼女になってくれませんか?」
ずきんちゃんは真っ赤になって口をぱくぱくしていて可愛かったのでも一度キスをしたら、バイトに羽交い締めにされた。
「店長が、おかしくなった~!」
「店長!駄目です!彼女じゃない人にキスするなんて、変態にも程がある………って言うか変質者ですから!」
今回は殴られなかった。
バイトに犯罪者呼ばわりされて3時間説教されたが、ずきんちゃんは携帯の番号とメアドを教えてくれたから逆ギレせずに3時間たえている。
俺はずきんちゃんを捕まえるための作戦を練りながら、バイトの説教に頷き続けるのだった。
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