第5話 静かな戦いの始まり
それから数日後、私は日本へ帰国し、新幹線で広島へと向かった。
その道中様々な視線を感じながらも、私はあることで頭がいっぱいだった。
(どう説明しよう…………)
そう、まだ私の両親にはこのことを伝えていなかったのだ。
ただ、ヨーロッパにツアー旅行に行く、とだけ。
私なんかではすんなりいかないことはわかっている。
今なら引き返せれる。
何もなかったことにできる。
手紙をやり取りしたことも、彼と会ったことも、私の家族に嘘をつくことも……
私はどうしたらいいのだろう?
ああは言ったけど、このままでいいのだろうか?
大変な棘だらけの険しい道のりだということはわかっている。
その果てに待っているものは、愛する家族との別れか?
はたまた大好きな彼との別れか?
…………………………
あれ…?なんでだろう?涙が出ちゃった。
ホント、私って弱いね。弱すぎる……
でも、そんな私でも強くなれるのかな…?
…………………………
あ、もうすぐ広島駅だ。降りる準備しないと……
私は…………
なぜこうなんだろう……?
受け入れられて後に拒否される方が、最初から拒絶されるより断然いい。
私はどうして……………なんだろう?