第3話 夢のような
そして、日曜日…
(ハンストヘテルブルク国内某所)
私は彼より早く着いた。その場所は、美しい噴水のある緑豊かな公園で、野鳥たちが心地よい鳴き声を聞かせてくれていた。
(本当に来るのかしら……?)
そんなことを考えていると、後ろから待ち望んだ声が聞こえた。
「真希!!待った?」
その姿を見て、私は思わず言葉を失ってしまった。
凛々しさ、高貴さ、生まれもっての特別なオーラ。世界中の女性が憧れる存在。
そんな人物が、今私の目の前に立っている。
「……王子様みたい///」
羨望の眼差しで見つめる。
彼の白い八重歯がキラっと光る。
「そりゃあ、ハンストヘテルブルク公国王室のファミリーですから、お嬢さん?」
そう言い、彼は私の手を優しく取る。
「止めてよ///私、あなたが思う望むような女性じゃないんだから!!」
私は……洗練された彼に相応しい女性じゃあない……
障害
それは、ロイヤルファミリーには加わってはならない。
いや、普通の家庭にもその血が加わることも嫌がられるだろう。
彼との未来を想像すると、思わず涙が出る。
「嫌、かな……?」
「ううん!!そうじゃないの!!とても不安で……」
彼は私をいきなり抱き締めた。
ふぁっと温かく甘い匂いがする。
自然と涙が止まる。
「ありがとう……私でよければ……これからもよろしくお願いします!!」
木々の木漏れ日の間を談笑をしながら歩く。
とても嬉しく幸せなひと時。
夢みたい……こんな日々が永遠に続いたら……
カシャ
カシャ
私たちは気づかなかった。その時、試練への序章が始まっていたことに…………